「台湾原住民」定義する現行の法律は「違憲」 大法官会議が判断

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(台北中央社)憲法裁判所に当たる司法院大法官会議(憲法法廷)は28日、 台湾原住民(先住民)を定義した「原住民身分法」(原民法)の一部条文が憲法に違反するとして、3年以内に法改正または特別法の制定をすべきだとの判断を下した。事実上、これまで国から保障を受けていなかった原住民の人々が、一定条件を満たせば国から台湾原住民として承認されることになる。

台湾原住民は政府の承認を受けた原住民の総称。承認されていない原住民は「平埔族」と呼ばれ、その一部が長年にわたり、政府に公認を訴えていた。

現在、台湾原住民は原住民身分法により「山地原住民」と「平地原住民」に分類され、同法第2条第2項では、平地原住民を「台湾光復前の戸籍が平地の自治体内にあり、戸籍調査簿に本人または直系尊属が原住民として登録され、戸籍のある郷、鎮、市、区の役所・役場に平地原住民として登録申請をした者」と定義している。

平埔族のシラヤ族である総統府原住民族歴史的正義・移行期の正義委員会の万淑娟委員らは、日本統治時代の南部・台南県に本籍を置き、当時の戸籍調査簿には原住民を意味する「熟」または「平」と登録されていたため、2009年に同県に平地原住民としての登録申請を行った。

同県はこの申請を受理したものの、行政院(内閣)原住民族委員会は、政府が承認するのは1956、57、59、63年に、台湾省政府に申請した者に限るとして万氏らの申請を拒否。さらに原民委は同県が申請を受理したことは原民法の解釈に抵触するとの見解を示したことから、万氏などはこれに不服として台北高等行政法院(裁判所)に提訴。同院での敗訴や最高行政法院での破棄を経た差し戻しの裁判で違憲の恐れがあるとされ、大法官に憲法解釈が求められた。

大法官は、現行の原民法が台湾原住民の定義を山地原住民と平地原住民のみとし、その他の台湾原住民には触れておらず、一部の原住民が国の保障を受けられないのは、全ての人民の自由と権利を保障する憲法22条などに違反すると指摘。法改正や特別法制定が期限までに行われなかった場合は、原住民主管機関への申請を経て原住民としての身分が承認されるとした。

(林長順/編集:齊藤啓介)