7勝目を挙げた西武・高橋光成【写真:荒川祐史】

写真拡大 (全2枚)

辻監督「投手コーチにあと1回行けないのか? と聞いた」

■西武 2ー0 ソフトバンク(16日・ベルーナドーム)

 首位・西武の辻発彦監督がエースの高橋光成投手に求めるレベルは、非常に高い。西武は16日、本拠地・ベルーナドームで行われた2位・ソフトバンクとの首位攻防3連戦の初戦に2-0で先勝。ゲーム差を2.5に広げた。先発した高橋は6回5安打無失点で、6月24日の楽天戦以来、53日ぶりに7勝目(7敗)を挙げたが、指揮官は「6回で降りちゃダメでしょ。エースとしてもっともっと強くなってほしい」と注文を付けた。

 粘りと気迫の投球だった。6イニングを投げ、3者凡退は3回の1度だけ。4回には1死二、三塁のピンチを背負うも、柳町に低めのスライダーを打たせて一ゴロ、続く甲斐は147キロの内角速球で左飛に仕留めた。捕手の森は「先制点をあげたくないという気持ちを、マウンドの立ち姿からも感じました」とうなずいた。味方打線はその裏、森が右翼席中段に5号2ランを放ち先制。すると高橋はさらにボルテージを上げ、6回にも2死二、三塁と追い詰められたが、代打・谷川原をこれまた147キロの内角速球で一ゴロに打ち取った。

 それでも辻監督は試合後「あの子(高橋)に対しては期待値が違う。粘ったのは非常によかったけれど、ランナーの出し方をもう少し考えないといけない。大事な試合だから疲労が大きかったかもしれないけれど、やっぱり6回で降りちゃダメでしょ。せめてあと1回行ってくれればというところ」と話し、「(豊田)投手コーチに『あと1回行けないのか?』と聞いたけれど、『(力を)出し切りましたと言っています』と。もし(救援投手が打たれて)同点に追いつかれて白星が消えたら、悔しくないのかな」と114球での降板に首をひねった。

 もっとも、この日は高橋にも事情があった。「今日は結構暑くて、マジで倒れそうになった。ちょっと危なかった。4回のピンチでモワーッとなって……」と明かした。ベルーナドームには屋根はあっても壁がなく、外気と一体となった“自然共生型”のため、この時期は非常に蒸し暑い。一昨年8月には、中村が熱中症を発症したこともある。高橋は「脱水症状ではなかったと思いますが、シンプルに暑かった。僕にとっては初めての経験でしたが、首を冷やしてなんとか踏ん張りました」と話した。結局、7回以降もリリーフの水上、スミス、守護神・増田が無失点でつなぎ、高橋に無事白星が付いた。

防御率2.29はリーグ3位、被本塁打は昨年の23から8に激減

 今季の高橋には明らかに成長のあとが見られる。この日は大事な場面で真っ向勝負で内角速球を投じ、抑えきった。「今年はインコースに投げ切れていますし、精度も良くなっている。自信を持って放れる球です」と言う。

 最近5試合は相手のエース級との対戦が続いたこともあって、白星から遠ざかっていたが、そのうち4試合でクオリティスタートより上のハイクオリティスタート(7回以上を投げ自責点2以内)をマーク。昨季の被本塁打はリーグワーストのロッテ・二木に1差の23に上ったが、今季は16日現在、最多の楽天・岸の14に比べると半分に近い8にとどめている。防御率2.29はリーグ3位にランクされている。

 辻監督が高橋を辛口で論評するのは、今にはじまったことではない。監督就任後常にレベルアップを求めつつ、昨年は初の開幕投手に抜擢し、自己最多の11勝を引き出し、今季も2年連続で大役を任せた。高橋が日本のエースとして誰からも認められるようになるまで、辻監督が満足することはないのかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)