コロナ禍の需要がポケトークに次ぐ大ヒット商品を生みだす! ソースネクストが新たな家電事業を展開

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ソースネクストが2017年に発売したAI翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」は、当時のインバウンド需要の波に乗り、瞬く間に大ヒット商品となった。

その後ポケトークはユーザーの声を反映して改良を重ね第2世代、第3世代の製品も発売し、国内の翻訳機市場で圧倒的なトップシェアを獲得している。

ソースネクスは、PC向けのソフトウェアを企画・開発・販売する企業だ。
これまでにユーティリティソフトの「激速」やタイピングソフトの「特打」、セキュリティソフトの「ZEROウイルスセキュリティ」などのヒット製品を生み出してきた。

近年では、iOSやAndroid向けアプリケーションも手がける一方で、自社のECサイトでPC向けソフトウェアのダウンロード販売や、120本以上のPCソフトが使い放題の「超ホーダイ」というサブスクリプションサービスも展開している。

ソフトウェアを主商品とするソースネクストが、初めて世に送り出したハードウェア商品が、ほかでもないポケトークだ。
翻訳は、翻訳アプリを使うというそれまでの常識を覆し、AIを活用した音声翻訳が可能な「専用機」にすることで、個人から企業まで幅広い利用者を開拓し、新しい市場を作りだした。

ソースネクストは、ポケトークでの成功を足がかりにハードウェア事業の拡大を進めている。
新型コロナウイルス感染症は、インバウンド需要を大きく消失させたが、コロナ禍によって需要が増えたハードウェア市場にマッチングした製品の販売を強化しているのだ。

はたしてポケトークの次にヒットする製品は登場するのだろうか?


●既に大ヒットの兆し 360°Webカメラ「Meeting Owl Pro」
新型コロナウイルス感染症の影響で消失したインバウンド需要に代わって起きているのが、コロナ禍で変化したライフスタイル需要だ。

新型コロナウイルス感染症の影響はネガティブな面だけではなく、新しい市場ニーズやトレンドの登場によるポジティブな面もある。そうした市場のニーズやトレンドに迅速に対応することは、ビジネスを展開する上で、これまで以上に重要になったことは間違いない。

そんな状況を背景にソースネクストは11月開催の発表会において、アメリカの優れた製品やサービスを日本で独占販売するための出資を進めていることも明かした。


アメリカの優れた製品を日本で独占販売する戦略



Meeting Owl Proには500万ドルを出資して日本国内で独占販売している


「Meeting Owl Pro(ミーティングオウル プロ)」は、今年4月に出資金額500万ドルで国内独占販売権を取得した360°のWebカメラやマイク、スピーカーを搭載した会議室用カメラだ。

会議室の中央に設置するだけで、360°カメラで会議室全体を映し出し、AIによって発言者にフォーカスする機能を備えている。また、複数の機材を用意することなくPCに接続するだけで利用できる手軽さも大きなメリットとなっている。

用途としては、企業内におけるリモート会議はもちろん、学校や教育機関などでのリモート授業や、複数人でのトーク番組のなどエンタメ分野での利用も可能だ。


Owl Labs. Inc CEOのフランク・ワイスハウプト氏


Owl Labs. Incは、「すべての人々に平等な会議体験を提供する」を理念に2014年、設立されている。
発表会のビデオレターで登場したOwl Labs. Inc CEOであるフランク・ワイスハウプト氏によると、アメリカでは新型コロナウイルス感染症の拡大以前からリモートワークはトレンドになっていたという。

日本では新型コロナウイルス感染症の拡大でリモートワークやテレワークを採用する企業が急増した。
こうした働き方の変化にともないテレワークに関した商品の需要も拡大している。

Meeting Owl Proはテレワークなどには適した製品ということもあり、中小企業や大手企業問わず様々な企業で導入されている。


国内でMeeting Owl Proを導入している企業の一部


ソースネクストの代表取締役社長 松田憲幸氏は、Meeting Owl Proが既に多くの企業で導入されている事例をアピールした上で、2021年末までには5万台を販売していくと語る。
ポケトークに次ぐ大ヒットへ期待と確信を見せた。


●コロナ禍で需要が高まる空気清浄機で白物家電分野にも参入
ポケトークに続くハードウェア事業の第2弾の製品は、2019年発売の「FamilyDot(ファミリードット)」というGPSを利用した見守り機だった。そして今回の発表会で新たな自社製品として発表された「タブレットmimi(ミミ)」「AutoMemo(オートメモ)」だ。

いずれも生活に密着した情報家電と呼ばれるカテゴリー商品だが、洗濯機や掃除機、冷蔵庫などに代表される「白物家電」の分野にも参入を進めている。

それがアメリカ発の空気清浄機「モレキュル Air Mini+」だ。
Meeting Owl Pro同様に、ソースネクストが日本国内における独占販売権を取得している。


1,000万ドルを出資して日本国内で独占販売しているモレキュル Air Mini+


新型コロナウイルス感染症により、空気中の汚れや除菌を意識するようになった人も増えている。
外出自粛やテレワークにより在宅時間が増えたことも、室内の清浄を気にする傾向に拍車をかけている。


コロナ禍で白物家電の需要が増加


日本電機工業会 民生用電気自主統計調査によると、
空気清浄機は、2020年4月〜9月における民生用電気機器 国内出荷実績において前年比158.8%のホットプレートに次いで、前年比155.6%と大きな伸びをみせている。

ソースネクストでは、そうした市場のトレンドをいち早くとらえて、今年5月にモレキュル Air Mini+の国内独占販売権を取得し、11月から国内での販売を開始した。


モレキュル Air Mini+の仕組み



Molekule Inc. CEOのジャヤ・ラオ氏


モレキュル Air Mini+は、
重さ約3.3kgで部屋間の移動もらくらくできるコンパクト設計ながら、適用面積は約10畳までとパワフルだ。また独自のPECO(Photo Electro-chemical Oxidation)フィルターで、0.0002μm〜0.002μmのVOC(揮発性有機化合物)の分子も分解、除去できるという。

発表会のビデオレターで登場したMolekule Inc. CEOジャヤ・ラオ氏によると、モレキュルは従来の空気浄化とは根本的に異なる新しいアプローチをしており、このテクノロジーをアメリカだけでなく日本をはじめとした世界的なマーケットに展開していくという。


●国内ニーズにマッチした海外製品で大ヒットを狙う
大ヒット商品となったポケトークシリーズは、初代ポケトークはオランダのTravis(トラビス)社が開発した翻訳機を、ソースネクストが日本向けに共同開発して独占販売したのが始まりだった。


2017年12月発売の初代ポケトーク


ソースネクストは、顧客のニーズをすばやく把握した製品の企画と開発、販売に長けており、そう遠くない未来にポケトークに次ぐ大ヒット商品を誕生させるかもしれない。

Meeting Owl Pro(ミーティングオウル プロ)
Molekule(モレキュル)
POCKETALK(ポケトーク) | ソースネクスト企業サイト


執筆:S-MAX編集部 2106bpm