『ドラクエウォーク』のストーリーの進行役となるスラミチ

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―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―

 9月12日に配信が開始された『ドラゴンクエストウォーク』。配信以来ほぼ連日、セールスランキング1位をキープする好調ぶりで、開発元コロプラの株価も8月の600円台から、10月1日には年初来高値1930円と約3倍になり、プチバブルの様相を呈しています。

 これまでウォーキング系のジャンルでは『ポケモンGO』が3年間トップを走り続けてきました。グローバル展開していないとはいえ、この状況に風穴をあけたのが『ドラクエウォーク』。数々のウォーキング系ゲームが撤退・苦戦を強いられるなか、なぜ『ドラクエウォーク』はスタートダッシュに成功したのか、その理由を探っていこうと思います。

◆理由その1:地方格差の是正

『ポケモンGO』の一番の不満として挙げられるのが地方格差。地方ではポケモンゲット用のボールを入手できるポケストップの数が少なく、それにともないポケモンの出現数も乏しくなっています。同じくナイアンティックの位置情報ゲーム『ハリー・ポッター:魔法同盟』でも、地方では魔力を補充する宿屋がまばらでゲーム自体が遊びにくい状況です。

 一方『ドラクエウォーク』は、比較的均等に回復スポットであるツボやモンスターが出現し、どの地域でも遊びやすくなっています。プレイ人数が少ないことがメリットになる場合もあり、メガモンスター討伐(いわゆるレイドバトル)は参加人数が減る分ダメージランキングで上位に入りやすく、もらえる報酬も豪華になります。「都会優遇型」と言われる『ポケモンGO』とは異なり、地方ユーザーの獲得にまずは成功した格好です。

◆理由その2:課金バランス

 基本プレイ無料のスマホゲームは、内容自体が面白くても、課金への誘導がうまくいかないとビジネスとしては失敗に終わってしまいます。ドワンゴが昨年11月に配信した位置情報ゲーム『テクテクテクテク』は、画期的なゲーム性を評価する声は多かったものの、思うように収益が上がらずわずか半年でサービス終了となりました。

『ドラクエウォーク』の場合、課金面ですでに成功しているスマホゲーム『星のドラゴンクエスト』の先例があったのがプラスに働いたように思います。『ドラクエウォーク』も『星のドラゴンクエスト』も装備をガチャ(ふくびき)で引くスタイル。レア度が高い星5の武器が手に入ると戦闘が有利になるため、ついガチャに課金したくなるゲームデザインとなっています。

 そのうえで『ドラクエウォーク』は、星4の武器であってもオリジナルの『ドラクエ』と同じ要領でちくちくとレベルを上げ、じっくりボス戦に挑めば、無課金でも十分にシナリオを進められるバランス。課金面での舵取りの上手さが現在の成功の理由のひとつです。

◆理由その3:『ドラクエ』世代の幅広さ

 初代『ドラゴンクエスト』は今から33年前、1986年にファミコンソフトとして発売されました。当時20歳前後でプレイした人は現在50代。非常に幅広い世代が『ドラクエウォーク』の潜在的ユーザーとして存在していることになります。健康のために何か始めようと考える30代以上に響くゲーム性であることも大きいでしょう。

 現在『ドラクエウォーク』では、懐かしい「りゅうおう」がラスボスの『ドラクエI』イベントが開催され、中高年の夫婦が『ドラクエ』世界に浸りながら街を歩いている様子をしばしば目にします。スマホゲームはいかにユーザーを飽きさせないか、先の展開に期待を持たせられるかが成功のカギ。今後も圧倒的なコンテンツ力を誇る『ドラクエ』シリーズ関連イベントが、幅広い世代のユーザーを引きつけそうです。

 モンスターの「こころ」を装備するキャラ強化、フレンドシステム、1都道府県につき4箇所の観光地でゲットできる「おみやげ」、「自宅」の家具のコレクション……と今以上にゲームプレイが深まりそうな種もあちこちにまかれています。『ドラクエウォーク』が現在の勢いをさらに加速させるのか、この先も楽しみです。

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【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲームの紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。著作には『はじめてのファミコン〜なつかしゲーム子ども実験室〜』(マイクロマガジン社)がある。ウェブサイト「ディファレンス エンジン」