整列するPL学園ナイン=15日、大阪・花園中央公園野球場(C)KYODO NEWS IMAGES

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◆ 輝かしい歴史に幕...

 高校野球界屈指の名門・PL学園高の“最後の夏”が終わった。

 甲子園は庭だった。春は20度の出場で3度の優勝、夏は17度の出場で4度優勝――。輝かしい成績を残し、プロ野球選手を多数輩出してきた押しも押されぬ強豪校。それがPL学園である。

 しかし、近年は激戦区・大阪で苦戦。2009年の夏を最後に甲子園からは遠ざかり、このところは相次ぐ不祥事に監督交代と、徐々に嫌な話題の方が増えていった。そんな中で下された、「新入部員の募集停止」……。今年の夏を最後に、「休部」することが決定した。

◆ 最後まで貫いた“PL野球”

 最後の夏は、11人での挑戦。それも大会直前に2人が負傷したことから、実質9人での戦いとなった。

 しかも、初戦の相手は東大阪大柏原。2011年の夏、激戦の大阪を勝ち抜いて甲子園へ出場した実績を持つ強豪校である。

 いきなり厳しい相手との対戦になったが、PLは初回に2点を先制。幸先の良いスタートを切る。直後の1回裏に追いつかれ、2回にも3点を失って逆転を許すも、6回に2点を返して1点差に迫ると、7回には藤村が値千金の逆転2ラン。6-5で終盤戦へもつれこむ。

 ところが、7回裏に追いつかれると、8回にも1失点を喫して6-7。9回表、最後の攻撃は三者凡退で終わり、PL学園の夏が終わった。

 それでも、“逆転のPL”の名に恥じぬ粘りを見せ、最後まで諦めない野球に徹したナインには、詰めかけた観衆から温かい拍手が贈られた。

◆ 「もう一度、PL野球部の復活を...」

 この日、試合が行われた花園中央公園野球場のスタンドは超豪華。宮本慎也氏や橋本清氏、吉村禎章氏といったOBたちが、誰が声をかけるでもなく集結していたのだ。

 皆の思いはひとつ。自らも袖を通して戦ったあのユニフォーム姿を、目に焼き付けるために……。

 現在プロの世界で戦う選手たちも、戦いを終えた母校の野球部へメッセージを寄せている。

 楽天でプレーしている松井稼頭央は、「監督不在などいろいろとあった中、最後まで諦めない気持ちを持って戦ってくれたことを誇りに思います」と後輩たちの奮闘を称え、同じく楽天の今江敏晃も「逆転もしましたし、最後までよく頑張ってくれたと思います。選手達にはお疲れ様と言いたい」と後輩たちをねぎらった。

 この試合を最後に、「休部」となるPL学園高校の野球部。いつかまた復活するその日まで、OBたちの戦いはつづく。

【楽天・PL学園OBたちのコメント】

松井稼頭央

監督不在などいろいろとあった中、最後まで諦めない気持ちを持って戦ってくれたことを誇りに思います。

3年生は本当によく頑張ってくれたと思うし、次に向けて頑張って欲しいです。

▼ 今江敏晃

注目され、プレッシャーのかかる中、逆転もしましたし、最後までよく頑張ってくれたと思います。

選手達には、お疲れ様と言いたいですね。

今回休部になることは、OBとしても非常に残念。悲しいですが、もう一度PL野球部の復活を見たいですね。

▼ 平石洋介(二軍監督)

休部は残念ですけど、最後まで選手たちはPL野球を貫いて全力プレーをしてくれたと思います。

彼らを誇りに思います。