「一億総活躍担当大臣」はどう略して呼べばいいのか?(写真:AP/アフロ)

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第3次安倍改造内閣が2015年10月7日に発足し、安倍首相が「一億総活躍」社会の実現に向けた目玉の一つとして、加藤勝信衆議院議員(59)が新設の「一億総活躍担当大臣」に任命された。しかしこの「一億総活躍担当」、名前が長く、しかも言いにくい。

メディアによっても短縮のされかたはまちまちで、どんな略称が適しているのか、ネットで議論になっている。

内閣府は「まだ部局がなく、そのままフルで呼んでいます」

現在ネット上で一番多く出ている短縮は、ずばり「1億相」。これは時事通信が15年10月7日に配信した「1億相・加藤氏が拉致兼務=島尻氏は沖縄・北方―改造内閣、今夕発足」という見出しの記事が元になっていて、ヤフーニュースなど様々なサイトが取り上げたことで一気に広まった。ただ、メディアによって「1億相」「一億相」など、アラビア数字や漢数字など統一されていない。

一方、「1億相」では何をする大臣なのか意味不明だとして、ツイッター上では、

「一億相って今までで一番すごいネーミングの大臣だよね」
「『一億相』と略されるのでしょうか?(思い切って「一相」とか?)」

などといった意見が出ている。

また加藤大臣は拉致担当大臣も兼ねているから、短縮すると「一億総拉致大臣」になるとしている人もいる。8日の各全国紙の短縮形は、多くが「一億総活躍」となっていていた。

略称については、ツイッター上でも様々な案が出ていて、「一億相」、「活躍相」、「総活相」、「一躍相」、「一相」、「一億総括相」などが乱れ飛んでいる。

それでは大臣のいる現場ではどんな呼び方をしているのか、管轄している内閣府に電話してみたところ、新設のためまだ部局が設置されておらず、担当者もいないということだった。で、内閣府の電話受付ではどう呼んでいるのかと聞くと、

「現在は一億総活躍担当とフルで呼んでいまして短縮はしておりません」

という話していた。

大臣は旧大蔵官僚から故加藤六月氏に婿入りした首相側近

そもそも一億総活躍担当というのは何をするところなのかというと、第三次安倍内閣が掲げる政策「1億総活躍社会」を実現するための核になる部局だ。少子化を食い止め、50年後も人口1億人を維持する政策で、2020年までの道筋として国内総生産(GDP)600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロなどの実現を目指している。加藤大臣はこれから国民会議を早急に発足し、目標実現のための具体亭な政策の検討に入る。

その加藤大臣とは何者なのか。1955年11月生まれ。東京大学を卒業後、旧大蔵省勤務を経て2003年の衆院選で初当選した。父親は日野自動車工業の元副社長だった室崎勝聰氏。妻は地元岡山が選挙区の故加藤六月元農水大臣の娘で、婿入りして姓を加藤に改姓した。趣味はセーリングとオートバイで、4人の娘と妻の6人家族だ。

安倍首相の側近としても知られ、12年9月に安倍首相が自民党総裁に返り咲いた後は総裁特別補佐、官房副長官として支えた。

そんな加藤大臣の事務所では「一億総活躍担当大臣」をどう短縮しているのか。議員事務所に問い合わせてみたところ、

「私どもは身内なので代議士と呼んでおります。秘書課では大臣と呼んでいまして、役職名や、その役職を短縮させて呼ぶ、ということは普通、ありません」

という答えが返ってきた。