画像(NASA/Bill Ingalls)

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◎ロケットはいつ打ち上げられているのか?
2014年2月27日、羽田から飛行機で鹿児島に向かう。そして、さらに鹿児島空港からフェリーで種子島へ。そう、28日未明に行われるH2Aロケットの打ち上げを見るため、だ。

H2AロケットはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と三菱重工が開発した人工衛星の打ち上げ用液体燃料ロケット。つまり人工衛星を軌道に乗せるためのブーストする部分のことだ。ちなみに正式表記は「H-IIAロケット」という(ここでは、メディアで使われる表記「H2Aロケット」とする)。

現在は、三菱重工が製造および打ち上げを行うこの人工衛星事業、実は一般の人でも気軽に見学に行くことができる。もちろん、至近距離(3km以内)には入れないが、何しろロケットは大きいので、見晴らしさえよければ十分に見ることができるわけだ。

純国産大型ロケットの歴史は、1994年(平成6年)のH2ロケット打ち上げからなんと今年で20年になる。初期のH2ロケットの頃は「悲願の」という枕詞つきで、準備のごく早い段階からニュースにも大きく取り上げられたが、成功が積み重なるとメディアでニュースになるのは「新型」であったり、何か話題性のあったりするものに限られてくる。結果、私たちからすると「いつの間にか」ロケットが打ち上げられていたということになる。

でも、それはもったいない!ロケットの打ち上げ自体、それだけでも本当はすごいことなのに……。このせっかくのイベントで盛り上がらないなんて、ない。

◎いざ、種子島!カウントダウン、そして…
そんな思いで向かった種子島だったが、見学に際しては注意も必要だ。ロケットの打ち上げにはいくつもの条件判定があって、延期の可能性もあるからだ。事実、2013年に打ち上げられた新型ロケット「イプシロン」は延期に継ぐ延期で9月まで打ち上げが延びた。今回も当然、予備日が用意されており、種子島に向かう最中も「GO/NO GO判断」のチェックは欠かせない。「GO/NO GO判断」とは、ロケット打ち上げの準備段階での主要イベントごとに、各系の準備状況・気象状況の確認を行うものだ。このGO/NO GO判断を何回か経て準備は進み、最終のGO/NO GO判断は打ち上げの30〜40分前となる。

期待と不安を胸に、鹿児島空港から種子島行きのフェリー「はいびすかす号」が出る港まで向かう。種子島に向かうフェリーは1日1便(フェリーは2種類あるのだが、この時期そのうちの1つが運休していた)、もちろん飛行機もそれに合わせた便を選ぶことになる。ちなみに、飛行機は複数の航空会社が運行しているのでそれほど困らない。一番困るのは現地での宿だ。ロケット打ち上げの日程が公開されるとまず宿からおさえる(もちろん、予備日も含めて)のがコツだという。なお今回の打ち上げは種子島だったが、プロジェクトにより異なるので、場所の確認は必須だ。

はいびすかす号で揺られること3時間40分、やっと現地入り。このときすでに22時近い。ここから地元の人に聞いたおススメのポイントを目指す。パブリックビューというほどではないが、公式扱いされており誘導の係りの人もおり、仮設トイレもある(重要!)。

ここのポイントは、ちょうど発射台が対岸に見える位置だ。この時点ですでに発射台にロケットが移動しており、想像以上の近さ、遮るもののない視界に一気に期待感が盛り上がる。徐々に人も増えてきて、実際にはここから打ち上げまでが長い長い待ちだったのだが、私たちの待つH2Aロケットは予定通り、打ち上げられた。


H2Aロケットの打ち上げられた 画像(NASA/Bill Ingalls)


◎私たちにとっての「ロケット」って?
ロケット打ち上げの瞬間は、実際に体験しないとその凄さはわからないだろう。もちろん、テレビのニュースやJAXAの公式サイト、あるいは動画サイトで臨場感にあふれる映像がアップされている。しかし、その場に居合わせて体験することがこんなにも別物と思いもしなかったというのが実際のところ。事実として、人間が1つずつ形にしたものが無事に軌道に乗り、人工衛星として宇宙に存在するという、何ともいえないワクワク感はたまらない。

日本の人工衛生プロジェクトはいま、挑戦の時代から、「どう私たちの生活を豊かにするか」という次のステップに移行している。今回の人工衛星の目的は世界中に降る雨を宇宙から見極めるGPM計画の中心となるGPM主衛星を軌道に乗せること。GPM主衛星に搭載された雨雲スキャンレーダー(DPR)は、3月2日に電源が投入され、すでに起動している。このDPRにより、従来の衛星では観測できなかった小雨や豪雨の観測や、雲の中にある雨滴や雪・氷粒子の大きさなどの詳細情報を得ることができるという。GPM主衛星以外にも小型の人工衛星が相乗りで搭載され、大学など7つのプロジェクトが宇宙に飛び立った。その中には、あなたが身近に利用することになるものがあるかもしれない。

宇宙はもう遠い未来ではない。そして、ロケットはもっと身近になる。まずは打ち上げを見に出かけよう。運・不運もあるけれど、現地に出かけること自体は難しくない。

大内 孝子