日経ネットが伝えたところによると、チベット亡命政府は17日、対中国政策を議論するためダラムサラで開かれた亡命チベット人総会で、開会前に中国在住チベット人の意識調査を実施したことを発表した。その結果、「今後もダライ・ラマ14世の決定に従う」と答えた人は調査対象の47%であった。今年三月のチベット騒乱にも象徴されるように、ここ数年、ダライ・ラマ特使と中国政府との対話における行き詰まりにより、中国からの分離独立を強く望む若年層の不満が表出しており、確固たる支持を集めていたダライ・ラマ14世の求心力が低下しつつあることを示す結果となった。
既に73歳と若くはないダライ・ラマ14世から次期指導者への交代がチベット問題の趨勢を占う分岐点になるのは衆目の一致するところだが、そもそもチベット仏教最高指導者の後継者選びはどのように行われてきたのだろうか。

ダライラマの後継者選びは世襲制でも民主的な投票によって行われるのでもない。というのもチベット仏教の世界では、高僧の死後、その魂が転生し(生まれ変わり)、そのことがごく少数の僧侶たちに直感的に伝えられることが「常識」になっているからだ。先代が死ぬと高僧らが観たビジョンをもとに方角、地域を特定し、捜索隊の僧侶たちが派遣され、誕生時の特徴的な出来事や幼少時の癖などをもとに候補者が絞り込まれる。次に真の化身であることを見極めるために前世の記憶を検証する。具体的には先代の遺品に対する反応や、側近しか知らないはずの癖を引き継いでいるかが判定の目安となる。

ちなみに現在のダライラマ14世は、小さな農家に生まれた九人目の子供であったが、三歳の頃、いくつかのお告げ(安置されていた13世の遺体が14世の住む地域の方角に首をかしげたこと等)に導かれた捜索隊に会うと、隠されていた彼らの素性を見ぬき、セラ僧院の僧を「セラ・ラマ」(ラマは教師、指導者の意)と呼んだ。さらに判定のために用意された先代の遺品とそれにそっくりな模造品との真贋をことごとく見分け、「これ、ぼくのだ」と言ったという。
このような輪廻転生の生命観が実際に後継者選びのシステムとして機能していることにまず驚いてしまうが、このおとぎ話のような制度ももはや終焉を迎えつつある。

中国政府は89年1月、ダライ・ラマに次ぐチベット仏教第2の指導者、パンチェン・ラマ10世がに死去した際、ダライ・ラマ側が認定した転生者を正統と認めず、独自に探し出した少年を後継者として擁立した。さらに正統なパンチェン・ラマ10世を拘束し、現在も解放していない。これはダライ・ラマ14世が死去した場合、中国が認めたパンチェン・ラマ10世により、中国政府の傀儡的なダライ・ラマ15世を擁立するための布石とみなされている。そうした事情を考慮してか、近年ダライラマは転生による後継者選びは自分の代で終わりになると明言しており、ローマ法王のように民主的に選びだす方法も検討しているという。
【参照サイト:NIKKEI NET

(編集部:こてつ)

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