米連邦準備制度理事会(FRB)はウォーシュ新議長の下で、情報発信のあり方など運営の改革に乗り出した。

 国際金融市場の混乱を招かぬように丁寧な検討を進めてほしい。

 ウォーシュ氏は、FRBの独立性堅持と内部の亀裂修復、インフレ抑制という課題に直面しているが、議長として初めて臨んだ連邦公開市場委員会(FOMC)では手堅い手腕を見せたと言える。

 FRBは政策金利を4会合連続で3・50〜3・75%に据え置いた。パウエル前議長の下で開かれた4月のFOMCでは反対が4票も出たが、今回の声明は12人全員の賛成で承認した。

 利下げ圧力をかけ続けてきたトランプ大統領も、中東危機が大きく転換する中で、据え置きは構わない、と強い批判を控えた。

 だが、物価高の抑制に向けて、FRB内部の議論をまとめ上げるのは引き続き重い課題だろう。

 FRBはこれまで、年内1回の利下げを想定していたが、インフレへの警戒で、逆に1回の利上げ予想に転換した。ただ、利上げへの慎重論も残っているという。

 一方、市場の注目を集めたのが、ウォーシュ氏の大規模な改革案である。市場との対話方法の見直しや保有資産の縮小策、データ評価の手法、人工知能(AI)が生産性や雇用に与える影響など、五つの作業部会を設置した。

 当面、焦点となるのが情報発信の手法だ。ウォーシュ氏はこれまで、多くの情報を出して予測に固執すると政策が縛られ、柔軟に対応できないと主張してきた。

 この方針に基づき、今回は声明文の文言を半分程度に縮小し、政策の先行きを示唆するフォワードガイダンスも削除した。自身は経済見通しの提出も見送った。

 さらにウォーシュ氏は17日の記者会見で、物価高の抑制を約束したものの、政策の方向性の手がかりは、ほとんど示さなかった。

 FRBは2008年秋のリーマン・ショックを受けて、バーナンキ元議長の主導の下に、記者会見の定例化などで透明性を向上させ、歴代議長も引き継いできた。市場の安定や国民からの信頼醸成に効果を発揮してきたはずだ。

 情報発信の簡素化という新たな方針に対し、市場には不安視する声もある。市場の安定が揺らげば経済にマイナスだ。建設的な対話手法を練ることが重要になる。

 特に、FRBの独立性がトランプ氏に脅かされている中だけに、国民や市場の信頼が適切な政策運営を行う上で不可欠だ。