ライブ開始予定の6分前にオンステージして、アマダシンスケ(Vo, B)の「おはようございまーす! 「風」!」のひと声からサウンドチェックを開始。まだサウンドチェックであるにもかかわらず1曲丸ごとを全力で歌い上げ、本番前から「サタニック!」と煽るアマダの目つきが鋭い。

これはSATANIC CARNIVALに出演するすべてのバンドに言えることだが、楽しさよりも勝負の緊張感に向き合い、盛り上がることよりも己の刀を見せつけることを自分に課しているような。それはおそらく、ハードでラウドで獰猛な音楽が一堂に会しているというジャンル的な要因よりも、“自分の居場所は自分自身で作る”という精神性によって育まれてきたストリートカルチャーを伝承するフェスであることが大きいのだろう。SATANIC CARNIVALの1アクトとしてライブをするのではなく、自分は何を突き詰め、何を研ぎ続けてきたのかを証明せねばならない──そういった鋭い姿勢を呼ぶ磁場が、SATANIC CARNIVALにはあるのだ。サウンドチェックから早速トップギアに入っているFOMAREを観て、このフェス自体の魔力を思う。

「今年もやって参りました、サタニック! 調子はどうだ!」とピットにひと声かけてから披露されたオープニングナンバーは「80%」。カマタリョウガ(G, Cho)と細川千弘(Support Dr)が笑顔をかわし、緩やかな8ビートに乗ってアマダが晴れやかなメロディをドーンと打ち上げていく。ハードコア、パンク、ポストハードコア、オルタナティヴロック……ラウドミュージックが一気に集うフェスティバルであるにもかかわらず、FOMAREが始まりに選んだのは“ポップス”と言ってもいい軽やかな1曲である。で、これぞまさにFOMAREというバンドの面白さであり強烈な個性の所以と言っていいだろう。2000年代のメロディックパンクやポップパンクから音楽衝動を授かり、その衝動をライブハウスで炸裂させるうちに、大きく伸びやかな歌声に似合う音楽がパンクロック以外にもあると気づいていき、アグレッシヴなライブが封じられたコロナ禍を契機にして「長い髪」や「愛する人」などのポップなメロディがライブハウスの外で歓迎された。さらに、群馬を出自にするバンドとして地元のライブハウスシーンに着火し続けることを己に課し、<FOMARE大陸>を主宰してさらに多様なジャンルと交わるようになった。そうしてFOMAREは、パンクが故郷でありながらもずっと旅をし続けるバンドとして音楽的な表情を増やし、結果としてジャンルとジャンル、ライブハウスとライブハウス外の間に橋を架ける存在として成長してきたのだ。そういう意味で、オープニングに鳴らされた「80%」はバンドとしての真っ向勝負を宣言するものであり、上述した“自分の刀”を堂々と掲げる1曲だったと言っていいだろう。

さらに「FOMARE行くぞ!」という発声から「Frozen」に雪崩れ込み、こちらは2ビートで一気に加速。この1、2曲目のコントラストがそのまま、FOMAREというバンドの個性を端的に表していると言っていいだろう。あまりに多彩で豊かな響きを持っているメロディがあるからこそ様々な音楽を自由に泳げる。そしてその旅がまた新しいメロディを呼び、ロックのギリギリ、パンクロックのギリギリ、ポップスのギリギリに次々にタッチしながら疾走していくのだ。

「愛するPIZZA OF DEATHへ、愛するサタニックへ、愛するみんなへ」

そんな口上からプレイされた「愛する人」はまさに、上述したFOMAREの変遷を証明し、FOMAREの歌の力を天高く掲げる1曲である。観客が肩を組んで跳ねているピットの光景自体がSATANIC CARNIVALの中では新鮮だが、衝動に従順かつ直情的でありながら、歌によってユナイトできるのが彼らの武器。アグレッシヴな面と優しい歌を次々に交錯させていくライブによってピットは1曲ごとに異なる色を見せているが、どれもこれも、最終的にはでっかいシンガロングの花火に収束していくところがいい。

「ラウドロックのフェスとも言えるし、メロディックハードコアのフェスでもある。だけど僕達みたいなギターロックのバンドもいて。今やミクスチャーなフェスだと思っています。FOMAREのバラードを聴いてください」という言葉に続けて、全然バラードじゃない疾走チューン「Grey」を披露するなど、バラードもポップスも全然アリなキャラクターを逆手にとるひと幕もあり。「いろんなシーンのバンドが出ているフェスだからこそ、底力が試されると思っています。FOMARE、本気で行きます」と言って端的にSATANIC CARNIVALの本質を表したMCに続き、雄大なバラード「花火散って、君がちょっと遠くなる」を全力で歌い上げる場面もあり。“橋を架けるバンド”とは書いたものの、楽曲自体がミクスチャーかと言ったらそうではなく、この曲はパンクロックとして鳴らし切る、この曲は真っ直ぐなバラードとして歌い切る……というふうに、楽曲に対して潔くて素直なところがこのバンドの稀有な部分なのだろうなと思う。さらに「Lani」では冒頭の1ラインを観客に預け、その歌声を聴いてアマダの歌がさらに昇っていく。歌の誘爆が暇なく繰り返されるというか、歌と歌の対話がずーっと持続しているというか、何しろ歌、歌、歌である。

そして、ラストに鳴らされた「over」は“ど”がつくほどのJ-POP。左右のLED映像にリリックが載るところも含めて、ロックバンドのままジャンルを超え続けていくバンドの姿勢がハッキリと提示されるライブだった。自身の歌とメロディを素直に受け止め、歌の輪郭を丁寧に象ってきた結果として巨大な音楽広場となったFOMARE。その旅の証を真正面からぶつけ続ける様が痛快だった。

……そう締めくくろうと思ったら、時間が余ったのか、「最後にもう1曲やっていいですか!」との声が。最後の最後でプレイされたのは、メロディックパンクの王道をズバリと鳴らす「宝物」。観客の大合唱に包まれ続けたライブを総括するように、目の前の人、これまでの歴史のすべてが宝物だと宣言する歌である。音楽行脚はまだまだ続く。しかし、FOMAREがどこから来たバンドなのかということもまた、彼らは鳴らす。来た道と行く未来、その両方を全力で音楽にし続けるバンドであることを、あまりにも潔く鳴らすアクトだった。

文◎矢島大地
撮影◎中河原理英

◆BARKS内<SATANIC CARNIVAL 2026>特集

◾️セットリスト(SATAN STAGE)
1.80%
2.Frozen
3.愛する人
4.Grey
5.花火散って、君がちょっと遠くなる
6.Lani
7.stay with me
8.over
9.宝物

 

■<SATANIC CARNIVAL ’26>
6月6日(土) 千葉・幕張メッセ国際展示場1-3ホール
6月7日(日) 千葉・幕張メッセ国際展示場1-3ホール
◯物販 / FOOD AREA:open9:00
◯ライブ観覧エリア:open10:00|start11:00 ※予定
▼6月6日(土)出演者
10-FEET / バックドロップシンデレラ / FC FiVE / Fear, and Loathing in Las Vegas / FOMARE / ハルカミライ / HERO COMPLEX / HEY-SMITH / Ken Yokoyama / Maki / MAYSON’s PARTY / MONGOL800 / サバシスター / SCAFULL KING / SHADOWS / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / Suspended 4th / ヤバイTシャツ屋さん / 山嵐 / [OA] カライドスコープ
▼6月7日(日)出演者
04 Limited Sazabys / Age Factory / dustbox / ENTH / 花冷え。 / HIKAGE / Knosis / マキシマム ザ ホルモン / OVER ARM THROW / Paledusk / ROTTENGRAFFTY / SHANK / SHE’ll SLEEP / SiM / 四星球 / THE FOREVER YOUNG / 打首獄門同好会 / View From The Soyuz / w.o.d. / [OA] Launcher No.8 

 

関連サイト
◆BARKS内<SATANIC CARNIVAL 2026>特集
◆<SATANIC CARNIVAL> オフィシャルサイト
◆PIZZA OF DEATH オフィシャルサイト