総額はなんと640兆超!「OpenAI」「スペースX」「アンソロピック」上場で明らかになる「AI競争の不都合な真実」

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イーロン・マスク氏の宇宙開発企業スペースXが、早ければ今月12日頃にもナスダック市場に上場(IPO:株式初公開)する見込みだ。

想定される時価総額(企業価値)は約1兆7500億〜2兆ドル(約270兆〜310兆円)で、2019年上場の「サウジアラムコ(サウジアラビアの国営石油会社)」を抜いて史上最大のIPOになると見られている。

この上場では750億〜800億ドル(12兆〜13兆円)規模の資金調達を目指しており、集めた金は衛星通信「スターリンク」の拡充や次世代宇宙船「スターシップ」の開発、そしてこれまでとは畑違いのAI(人工知能)開発などに充てられるという。

なかでも現在マスク氏の最大の関心事項は「AI」であり、今後のスペースXは「宇宙開発とAI開発を完全に融合させること」を目指している。その戦略の核心は「宇宙のインフラを使ってAI覇権を握る」ということだ。

【前編】→【イーロン・マスク】スペースX「史上最大の300兆円規模上場」でこれから世界に起こる大変化」よりつづく

AI関連のメガIPOが連続して起きる

マスク氏、つまりスペースXと競合するOpenAIも早ければ今年9月の上場(IPO)を目指して、その準備を進めている模様だ。

その最大の引き金となったのが、先月下された連邦地裁での判決だ。「OpenAIが創業当初の非営利団体という約束を裏切った」という理由でマスク氏がアルトマン氏らを訴えていた裁判で、陪審員・判事らは事実上の「時効」を理由にマスク氏の訴えを全面的に斥けた。

この勝訴によって、OpenAIはそれまでIPOの足枷となっていた法的リスクが解消され、上場への手続きが劇的にスピードアップした。その時価評価額は1兆ドル(約160兆円)を超えると見られており、先に上場することになるスペースXには及ばないものの、やはり桁外れのメガIPOになることは間違いない。

このOpenAIに続いて、同社のライバルであるアンソロピックも今年10〜12月にかけて上場を目指していると見られ、その時価総額はOpenAIをも上回ると見られている。

恐らく、これら3社の上場時の評価額(時価総額=企業価値)の合計は4兆ドル(640兆円)を超えるだろう。このように今のウォール街は、歴史上で類を見ない「AIメガ・ディール」の競合状態となっている。

これほどの巨額IPOが連続すると、市場の投資資金が枯渇する恐れもある。このため「先に上場して資金を確保した方が有利だ」との思惑から、各社が1日でも早い上場を目指して火花を散らしているとも言われている。

株式市場をリードしてきた「MAG7」が再編成される

これらAIトップ3社が立て続けに上場することによって、今年後半から来年にかけてアメリカの株式市場には大激変が起きると見られている。まず、これまでマスク氏への期待で買われていた「テスラ」から、今後はAIインフラの本命となる「スペースX」に莫大な資金がシフトする可能性がある。

そして市場の主役は、従来のMagnificent 7(Nvidia、アマゾン、アルファベット、マイクロソフト…)に「最先端モデルのOpenAI」と「同アンソロピック」そして「AI宇宙インフラのスペースX」(いずれも評価額1兆ドル超えのAI企業)が加わる一方、そこから脱落するビッグネームも何社か予想されるなど、これまで米国市場をけん引してきたトップ企業のリストが再構成されるだろう。

また投資家がスペースXやOpenAI、アンソロピックなどの新規上場株を買う原資を作るため、業績の悪いハイテク株や、AIの恩恵を直接受けない伝統的な銘柄が広く売られ、一時的に市場全体の足を引っ張る可能性もある。

さらに、これまで生成AIブームに乗って過大評価されてきた中小のAIスタートアップ、あるいは今年4月「スニーカーのメーカーから突如AI企業に生まれ変わって株価が爆上がりした」アメリカの某企業など、AIを前面に押し出しただけの「名ばかりAI企業」の株価も(市場からの資金を奪われて)暴落する恐れがある。

AIバブル崩壊の引き金にもなり得る

以上のようなメガIPOは、現在のAI相場(バブル?)をさらに膨張させた後、中長期的にはバブル崩壊を引き起こすトリガーになるとの見方もある。

確かにスペースXやOpenAI、アンソロピック等の上場直後は、株式市場の熱狂が最高潮に達し、AI株を中心に市場は最高値を連続して更新するかもしれない。いわゆる「FOMO(Fear of Missing Out:乗り遅れる恐怖)」に背中を押されて、個人投資家や巨大ファンドなどが資金を全力で注ぎ込むだろう。

しかし、これらの目立ったAI企業が上場して公開企業になること自体が、バブル崩壊の最大の引き金となり得る。なぜなら非上場時代はブラックボックスにできた「不都合な真実」が、これからは四半期ごとの決算発表で白日の下に晒されるからだ。

これまでは言わば「未来の夢」で買われていた、これらのAI株が、上場後は「本当に利益を出せるのか? それなら証拠を見せろ」という株主の厳しい目線で監視されるようになるのだ。

もちろんメガIPO後の各社が、本当に「その証拠」を皆に見せる事が出来るなら何ら問題はない。しかし逆にそうでなかった場合、それは言わば「審判の日」をいたずらに早める結果となり、そこから堰(せき)を切ったようにバブル崩壊が始まる恐れもあるだろう。

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