「毎日面倒見られればいいなと思います」常連と支え合う山形市のげそ天名物スーパーの日常
山形市郊外にある地域密着スーパーの日常を追いました。店では常連のおばあちゃんたちが井戸端会議を開き、交流スポットとなっています。
山形市長町、JR山形駅から2駅目。無人駅の羽前千歳駅を降りて徒歩1分の場所にあるスーパー「エンドー」。
店に入ると香ばしい匂い。看板商品の「げそ天」です。
考案者は店の3代目・遠藤英則さん(46)。
そして「げそ天」と並ぶ名物が…。店内の3分の1を使ったイートインスペース。イスは酒のケースに野菜の箱を乗せただけ。
「うん、おいしい」
お店には、常連が毎日やってきます。
常連「毎日来るんだ」「毎日来るんだよ」「夜食べるの買い来るんだもん」「何食ったらいいかって買い来るんだ」「毎日だね」「大概毎日だ」
常連は英則さんが子どものころから顔なじみの近所のおばあちゃんたち。そんな関係だから井戸端会議にも花が咲きます。おしゃべりをしながら、店のお手伝いも。
「おいしいもの食べったいとかよ、新聞の世の中のこととか一切、いろんな話。1日話して笑っていくのが1番楽しみ」
遠藤英則さん「自分が継いだころとかはお客さんいなかった。ばあちゃんたちがいたからここもやっていけた。支えてもらってた感謝は忘れずにいます」
「エンドー」の近所に住む常連の武田ケイ子さん(94)。20年ほど前に夫を亡くしました。その後は息子夫婦と住んでいましたが、いまは1人で暮らしています。
リビングに寝転がって読書をするのが、ケイ子さんのスタイル。
「うちの主人です。優しい人だっけ。やっぱり1人は寂しいですよ」
でも「エンドー」にいけば、人とつながることができます。
「楽しいね。年取るとよ出かけらんないべした。だから近いところにあるとうれしいね。だからエンドーは私らにとって神様みたいなもの」
2025年10月。
「芋煮だよ。熱いからね」
定期的に英則さんが声をかけ会費制で開かれる女子会。常連のおばあちゃんたちが一堂に集まります。
「大変結構です。おいしいです」
「うまい。プロ作るのは違うやっぱり。おいくてご馳走になった」
「同じくらいの年齢だから話も合うの」
英則さん・みんな食べられた?
一同「おいかった」
シタラさん「出汁うまい」
英則さん「かつお出汁。ちゃんと取ってたよ」
2026年に入り英則さんは、ある常連のおばあちゃんのことが心配になりました。
遠藤英則さん「高橋さん元気かな?」
もうだって半年だからね。電話してみましょう。
電話機の音「もしもし。千歳駅前のエンドーです。お世話様です。いまばあちゃんって元気なんだかなと思って。そんなになっちゃったんですね。まあ寝たきりだとね、体力も。んだかした」
「病院でもう多分出れない。だってもう半年くらい入院しているし、体力も落ちているし寝たきりだし、って言ってました。しょうがないよね」
店の常連から、孫のように可愛がってもらってきた英則さん。当たり前のようにおばあちゃんたちを気遣ってきました。
遠藤英則さん「おばあちゃん4人くらい連れてドライブ行ったこともありますよ。病院に連れて行ったり、夜連れて行ったりとか。頼るところがうちしかなかった。ほかに頼る人もいないので電話くれたりする」
遠方への買い物が困難なケイ子さんたちにとって、身近にある「エンドー」は大切な居場所です。
「はいはいはいありがとう。でもこのげそ天おいいものね」
冬を越えて春を迎えた2026年4月、花見の日。
常連のおばあちゃんたちが続々と「エンドー」に集まってきました。一堂に顔を合わせるのは久しぶりのことです。
店員「お待たせしました」
山菜やちらしずしなど、春らしさを詰め込んだ常連向けの特別メニューです。
ケイ子さん「大変結構です。お花も見たし。みんなと話すのどう?それが一番だね。生活していくに生きていくに」
英則さん「長生きしてほしいんですよ。死ぬまで面倒見られればいいなと思います」
ここは、人と人とがつながる、みんなの居場所のスーパー。入力日も井戸端会議が開かれています。
