「プレッシャーで気が狂いそう」脳溢血寸前になった30代漫画原作者が語る、週刊連載で「心身が削られる」過酷な現実
◆原因不明の難病に。原因はストレス?
第一線で活躍する漫画家が突然命を落とすケースは珍しくない。『満州アヘンスクワッド』の作画を担当していた鹿子(しかこ)氏が、2025年11月に希少がんのため37歳で逝去。『坂本ですが?』などの作者・佐野菜見氏も進行がんのため2023年8月に36歳で急逝し、2021年5月には『ベルセルク』の三浦建太郎氏が急性大動脈解離のため54歳で他界した。
「原因不明と言われました。有名大学病院の脳外科医から、手術は難易度が高く、半身不随などの後遺症が残るリスクが1%ほどある。自然治癒する可能性にかけるべきとアドバイスされました。現在は半年に1度、MRI検査を受けて経過観察中です。個人的にはストレスが理由だと思っています。ストーリーを考える作業に、脳のリソースと可処分時間のすべてが奪われ、プレッシャーで気が狂いそうでしたから」
◆心身ともにボロボロに「死ぬかも…」
作品の性質上、綿密なリサーチでの消耗も激しく、編集者からの細かい指摘に晒されることもあって、常にイライラしている時期も。食事や睡眠などの生活習慣も乱れ、ファストフード店や牛丼屋でのドカ食いが辞められず、体重は最高記録を更新中だ。
「ストレスの発散方法が食べるくらいで、自分の意志では食欲が止められないんです。最近はマシになってきましたが、不眠症気味で布団入っても6時間ぐらい眠れないのもザラでした」
人間ドックを定期的に受けているが、昨年から数ミリ単位の小さなポリープが急増。胃腸の調子が悪く、便秘と冷え性も深刻らしい。身体の不調はそれだけではない。
「腰痛とは無縁だったのに、漫画の仕事をしている時だけ鋭い痛みが走ることも。加齢の影響もあると思いますが、創作のストレスがきっかけで一気にガタがきたような。周りは特別な才能の持ち主ばかり。僕のような凡人の中年が週刊漫画に挑戦することはおすすめできないです。普通に死ぬかもしれません」
◆身体の不調よりメンタルの不調が増加傾向
出版科学研究所の集計(2025年度)によると、電子コミックの売上は5273億円と電子出版の9割を占める。伸び率こそ鈍化しているが、電子コミックは2014年以来、右肩上がりの成長市場でこの6年間で売上は倍増した。
「締め切りがタイトな紙の漫画雑誌と違い、Web媒体の連載漫画は掲載日を調整しやすく、いざとなれば締め切りをスキップできる。働き方はホワイト化しています」
そう語るのは、ベテラン漫画編集者の森本弘明氏(仮名・50歳)。週刊漫画誌に長年携わり、現在は総合出版社のWeb媒体でエッセイ漫画などを担当している。
「Web媒体の連載ペースは隔週や月1が主流。デジタル化で作業が効率化された上、例えば隔週連載でも平均で月30〜40万円ほどの原稿料が入ります。昼夜問わず激務をこなす人は、複数の媒体を掛け持ちする一握りだけです」
連載開始前の準備期間を長く設けて十分な話数のストックを用意し、柔軟に休載できる体制も浸透。一般常識から外れた働き方は炎上リスクもあることから、徹夜を辞さない働き方は紙媒体も含めて業界全体で減っているという。
