『THEバトルSHOW』MCを務める嵐・櫻井翔

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 櫻井翔が進行を務めるアトラクション型ゲームバラエティ『THEバトルSHOW』(フジテレビ系)がスタート。櫻井が起用された背景や番組の狙い、ゲームバラエティーを取り巻く最新事情などについてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 20日夜、新番組『真剣遊戯!THEバトルSHOW』(フジテレビ系)がスタートします。

【写真】“アイドル俳優軍”として出演する本郷奏多、齊藤京子、角田夏実のスリーショット。他、番組に主演した全身ピンクの女優・大友花恋なども

 同番組のコンセプトは、「各6人で構成される"アイドル俳優軍"と"芸人バラエティ軍"が番組オリジナルのゲームで真剣勝負を繰り広げるゲームバラエティ」。"主宰"を櫻井翔さんが務めること、アイドルを軸にしたゲームバラエティであること、さまざまなオリジナルゲームでチーム戦が行われることから、かつて放送されていた『VS』『VS魂』(フジテレビ系)を思い出す人が多いようです。

 なぜ今春の新番組に『VS』『VS魂』を思わせるアトラクション型のゲームバラエティが選ばれたのか。どんな勝算があって月曜20時に編成されたのかなどを掘り下げていきます。

事実上のメインは"アイドル俳優軍" 

 まず注目すべきは"俳優アイドル軍"ではなく"アイドル俳優軍"であること。これは「アイドル主導の番組」という意思表示であり、やはりSTARTO ENTERTAINMENTのアイドルが軸になっていくのでしょう。

 実際、初回の出演者を見ると、アイドル俳優軍は、Snow Man・宮舘涼太さん、KEY TO LIT・猪狩蒼弥さん、齊藤京子さん、Aぇ! Group・末澤誠也さん、角田夏実さん、本郷奏多さんの6人。宮舘さんがリーダーを務め、後輩の猪狩さん、末澤さんを加えた3グループの3人が出演するという点では『VS魂』に近いムードなのかもしれません。

 進行役を櫻井さんが務めるだけに、の後輩グループはすべて出演の可能性が高いでしょうし、この番組でしか見られないメンバーの組み合わせが話題になることもありそうです。さらに近年の音楽番組がそうであるように、他事務所のアイドルグループも出演して、STARTO勢とのコラボも見られるのではないでしょうか。

 ちなみに芸人バラエティ軍はリーダーの劇団ひとりさん、あのさん、あばれる君、ハリセンボン・近藤春菜さん、DAIGOさん、中澤佑二さんの6人が出演。強烈なキャラクターを持つメンバーがそろえられ、それぞれが笑いを取りに行くという様子がうかがえます。

 番組内で行われるゲームは、無作為に出現する敵を剣で退治する"忍者斬りパニック"、駆け引きと戦略性が重要な"カケヒキあっち向いてホイ"、ランダムに並んだ文字を正しい順番に並べ替える"ゴチャ文字さんが並んだ"の3つ。瞬発力系、駆け引き系、ひらめき系と毛色の異なるゲームをバランスよくそろえたところに「どれか好きなものがあるはずだから家族そろって見てほしい」という狙いが見て取れます。

各グループをつなぐメンバーたち 

 さらに櫻井さんが助っ人として参加できる"櫻井チャンス"もハイライトシーンの1つ。櫻井さんは勝負の鍵を握る存在となるほか、時に「チャンスがピンチとなって笑いを誘うことが期待されています。これは「番組最大のスターである櫻井さんを進行役だけでなくプレーヤーとしても生かしたい」という意図によるものでしょう。

 ちなみに同じフジテレビではの盟友・二宮和也さんが今年元日13年ぶりに放送された特番『クイズ$ミリオネア』の2代目司会になりましたが、新たなライフラインとして二宮さんにクイズの答えを問う「アスク・ザ・ホスト」が設定されました。これも「番組最大のスターである二宮さんを進行役だけでなくプレーヤーとしても生かしたい」という意図が感じられます。

 は5月31日の東京ドーム公演で活動終了するため、今後各メンバーは"アイドルのレジェンド"という立ち位置での活躍が増えていくのでしょう。STARTOはすでに業界トップクラスの影響力を持つSnow ManとSixTONES、着々と支持を広げるなにわ男子とAぇ! Group、勢いのあるtimeleszとTravis Japanら後輩たちが順調に育っています。

 それだけに彼らを起用したい民放各局にとってのメンバーは「各グループをつなぐ」という意味で重要な存在。進行に長けた櫻井さんはその筆頭格だけに、本人としても新番組を成功させたいところでしょう。

「アトラクション型」は通用しないのか

 もう1つふれておきたいのは「今、アトラクション型のゲームバラエティをスタートさせる」ことの意味。

 の活動休止で『VS』が終了したのは2020年12月。年をまたいだ2021年1月にほぼ同じコンセプトのアトラクション型ゲームバラエティ『VS魂』がスタートしたものの、わずか半年あまりでリニューアルが行われ、さらに2022年4月には番組名が『VS魂グラデーション』に変更され、内容もクイズ要素が濃いものになりました。

 それ以外でも2020年から2021年にかけて特番の『超水上サバイバルオチルナ!』『モノノケハント』を制作したものの定着せずに終了。時折、特番の『逃走中』が放送されるのみに留まっていました。

 他局を見ても、日本テレビは『密室謎解きバラエティー 脱出ゲームDERO!』『宝探しアドベンチャー謎解きバトルTORE!』を2010年代前半で終了。その後いくつかの企画がパイロット番として試されたもののレギュラー化には至っていません。

 TBSは2021年スタートの『オトラクション』をわずか1年弱で終了させたほか、特番の『究極バトル"ゼウス"』『THE 鬼タイジ』も定着しませんでした。また、『関口宏の東京フレンドパーク』ですら『それSnow Manにやらせて下さい』内での不定期放送に留めています。

 つまりアトラクション型のゲームバラエティは視聴者が取れず難しい状況が続いていたのです。

"月曜夜"とゲームや櫻井は好相性

 ゲームバラエティ全体に目を移しても、現在の主流は"音楽系"。『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)のサビだけカラオケ、『バナナサンド』(TBS系)のハモリ我慢ゲーム、『オオカミ少年』(TBS系)のハマダ歌謡祭が人気を集めていますが、すでに飽和状態となっていました。

 だからこそ「局内に一定のノウハウがあり、櫻井さんの進行に期待でき、かつての『VS』ファンを喜ばせられるアトラクション型ゲームバラエティに回帰する」というフジテレビの狙いは納得できるところがあります。

 特に週はじめの月曜ゴールデンタイムは「あまり考えずに楽しめるタイプのバラエティが好まれる」と言われ、かつて『東京フレンドパーク』が放送されていた時間帯。また、櫻井さんは『news zero』(日本テレビ系)で20年にわたって月曜のキャスターを務めてきたように、さわやかな印象から週明けとの好相性を感じさせられます。

 それでもアトラクション型のゲームバラエティは、やはり「ヒットゲームを生み出せるか」が重要であることは間違いありません。制作サイドがどんなゲームを生み出せるのか力量が問われていますし、YouTubeチャンネルやTikTokでマネされるようなブームにつながれば番組も右肩上がりで人気を獲得していくでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。