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販売不振に繋がった直列4気筒エンジン

ライト・ブルーとホワイトのツートーンに塗られたスタンダード・ヴァンガードは、1958年に発表されたフェイズIIIのフェイスリフト版、ヴィニャーレ。フェイズIは1948年の発売で、堅実的なサルーンという評価を短期間に構築した。

【画像】テールフィンは控えめに アメリカンなアッパー・サルーンたち 同時期の英製モデルも 全184枚

フェイズIIIは1955年に発表されるが、デザイナーのジョヴァンニ・ミケロッティ氏によってルーフラインが高められ、ガラスエリアは拡大。フロントグリルやテールライトも、リフレッシュされた。ドン・シマンスキー氏の、1961年式のように。


スタンダード・ヴァンガード・ヴィニャーレ(1958〜1961年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

滑らかなボディが、女性には魅力的に映るとスタンダードは主張した。対して当時のAUTOCARは、180mm近い最低地上高と、賢明な15インチ・ホイールを評価した。

4速MTはコラムではなくフロアで、エンジンは2088ccの直列4気筒。スタンダードは、あえて6気筒を採用しなかったが、それが販売不振に繋がったといえる。モデル終了の3年前、1960年に直6エンジン版が追加されたものの、既にタイミングは逃していた。

タイムスリップしたような運転体験

シマンスキーが、ヴァンガード・ヴィニャーレを購入したのは2021年。「若かった頃に、オースチンA30のバンを下取りに出して、一度買い替えたんです。快適で、ロールス・ロイスのようだと思いましたよ。それは、事故で廃車になりましたが」

「幸いにも、数年前に同じモデルを入手できました。運転はタイムスリップしたかのよう。オーバードライブが便利で、現代の交通でも遅れる事はありません。ファーガソン・トラクターと殆ど同じの、スチール製4気筒エンジンは滅多に壊れませんよ」


スタンダード・ヴァンガード・ヴィニャーレ(1958〜1961年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ベンチシートは、ツヤツヤのビニールレザー張り。半円状のスピードメーターが、フィフティーズしている。

スタンダード・ブランドは、惜しまれつつ、このサルーンで幕を閉じた。1963年に登場した後継モデル、2000はトライアンフ・ブランドで売られている。

ルート66を流れるビッグサルーンへ特に忠実

ヴォグゾールは、豊かさを求める顧客へ応えるべく、2.3L直6エンジンのクレスタ PAを1957年に発表した。英国人の消費欲を掻き立てるように、クロームメッキで飾って。

これ以前から、ヴォグゾールはアメリカ車のスタイリングへ大きな影響を受けていた。その中で、クレスタ PAはルート66を流れるビッグサルーンへ特に忠実だろう。テールフィンの下で灯る大きな楕円形のテールライトは、一度見れば忘れないはず。


ヴォグゾール・クレスタ PA(1957〜1962年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

リアピラーの三角窓で、運転しやすく安全性を高める全方向の視界を得られると、同社は主張した。ボディラインは、低く優雅で機能的だとも表現した。その正当性は別として、地方のロカビリー・バンド・メンバーへ響いたであろうことは、想像に難くない。

ボロボロだった過去を感じさせない今の輝き

クレスタ PAのエンジンは、優れた動力性能と悪くない燃費を実現。シガーライターやアナログ時計、速度に応じて色が変わるスピードメーターは標準だった。ツートーン塗装
にヒーター、ウインドウ・ウオッシャー、レザーシートなどは有償で装備できた。

1960年に、エンジンは2.6Lへ拡大されつつ、楕円形のテールライトは小ぶりな縦型へ変更。1962年に、PB型へモデルチェンジしている。


ヴォグゾール・クレスタ PA(1957〜1962年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ハーモニカ・グリルが特徴的なクレスタ PAは、イアン・ウェルズ氏の1958年式。「自分が購入した時はボロボロでした。ボディパネルは、すべて自分で作り直しています。クロームメッキも酷かったですね」。と振り返るが、今の輝きはそれを感じさせない。

1950年代末の世相を体現したサルーンたち

オーバードライブが後付けされ、長距離ドライブが何よりも楽しいらしい。「本当に運転しやすいクルマです。タイヤは古いクロスプライですが、操縦性も抜群。ドラムブレーキは良く効きます。コラムシフトも、自分の好みに合ってますね」。と続ける。

湾曲したフロントガラスの、飛び出た下端へ足をぶつけたことはないとか。「よほど変な角度で乗り込む必要があるのでは?」。と彼が笑う。


ヴォグゾール・クレスタ PA(1957〜1962年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

今回の4台で、筆者が1番共感するのもクレスタ PA。この時代の世相を、より色濃く体現したサルーンだから。ツートーンカラーと、ホワイトウォール・タイヤが最高に似合う。1959年のミュージカルTVドラマ、「エスプレッソ・ボンゴ」そのままだ。

協力:ギルクス・ガレージ・カフェ、ケンブリッジ・オックスフォード・オーナーズ・クラブ、エディ・フォスター氏、MkIIコンサル/ゼファー/ゾディアック・オーナーズ・クラブ、スタンダード・モーター・クラブ、ヴォクスホール・クレスタ・クラブ

アメリカンな英国サルーン 4台のスペック

ヴォグゾール・クレスタ PA(1957〜1962年/英国仕様)

英国価格:1073ポンド(新車時)/2万ポンド(約420万円)以下(現在)
生産数:17万3764台(ヴェロックス PAを含む)
全長:4521mm
全幅:1740mm
全高:1448mm
最高速度:144km/h
0-97km/h加速:16.8秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1200kg
パワートレイン:直列6気筒2262cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:84ps/4400rpm
最大トルク:17.1kg-m/1800rpm
ギアボックス:3速マニュアル/後輪駆動

オースチンA105 ウェストミンスター(1956〜1959年/英国仕様)

英国価格:1109ポンド(新車時)/1万2000ポンド(約252万円)以下(現在)
生産数:6770台
全長:4330mm
全幅:1630mm
全高:1570mm
最高速度:154km/h
0-97km/h加速:15.4秒
燃費:7.8km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1320kg
パワートレイン:直列6気筒2639cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:103ps/4600rpm
最大トルク:19.5kg-m/2400rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動

フォード・ゾディアック MkII(1956〜1962年/英国仕様)


フォード・ゾディアック MkII(1956〜1962年/英国仕様)

英国価格:1044ポンド(新車時)/1万ポンド(約210万円)以下(現在)
生産数:29万4506台
全長:4585mm
全幅:1753mm
全高:1537mm
最高速度:141km/h
0-97km/h加速:17.0秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1245kg
パワートレイン:直列6気筒2553cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:86ps/4400rpm
最大トルク:18.3kg-m/2000rpm
ギアボックス:3速マニュアル/後輪駆動

スタンダード・ヴァンガード・ヴィニャーレ(1958〜1961年/英国仕様)

英国価格:1044ポンド(新車時)/1万ポンド(約210万円)以下(現在)
生産数:2万6267台
全長:4370mm
全幅:1720mm
全高:1520mm
最高速度:140km/h
0-97km/h加速:17.0秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1170kg
パワートレイン:直列4気筒2088cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:69ps/4200rpm
最大トルク:14.9kg-m/2000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動