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東京駅の構内で「名刺交換はおやめください」とのアナウンスが流れている──。

そんな投稿がSNSで話題となっています。駅構内で「新人研修中で、名刺を集めています」などと声をかけ、名刺を交換したところ、後日、不動産の営業電話がかかってきたケースもあるそうです。

実際、同様の行為がトラブルにつながったとする話が、これまでもSNSで相次いでいます。駅構内でのこうした行為に法的な問題はないのでしょうか。鉄道にくわしい甲本晃啓弁護士に聞きました。

●駅構内での勧誘は「原則禁止」

──企業研修の一環として、駅構内で通行人に声をかけ、名刺交換などをおこなう行為は、法律に抵触する可能性はありますか。

駅構内で通行人に声をかけ、名刺交換を求める行為は、その目的や態様によっては、鉄道営業法35条の「勧誘等」に該当し得ます。

「新人研修」などと称していても、実質的には不動産投資や、その他の営業活動のために名刺を収集しているのであれば、駅構内における無許可の営業・勧誘行為として違法と評価される可能性があります。

また、無許可の営業・勧誘の目的で駅構内に立ち入ったり、駅係員からその中止もしくは退去の要請を受けても従わなかったときは、建造物侵入罪や不退去罪(刑法130条)が適用される可能性にも留意が必要です。

●声をかけられても安易に名刺は渡さない

──声をかけられた側はどのように対処すべきでしょうか。

名刺には氏名、勤務先、連絡先などの個人情報が含まれており、表向きの説明と異なる営業目的でこれを収集するのであれば、個人情報保護法上の適正取得や利用目的との関係でも問題を生じ得るほか、少なくともプライバシーの観点から相当強い問題があるといえます。

実務上は、まず駅員による中止要請や退去措置がとられ、悪質な場合には警察対応に至ることもあり得ます。声をかけられた側としては、安易に名刺を渡さず、執拗な勧誘を受けた場合には、その場で明確に断ったうえで駅員に申告するのが適切でしょう。

【取材協力弁護士】
甲本 晃啓(こうもと・あきひろ)弁護士
弁護士・弁理士。甲本・佐藤法律会計事務所共同代表。東京大学大学院修了。研究者としての経験を基盤に、知的財産法務とアカデミック法務を専門とする。著作権、特許、商標に強みを持つ。『ワーケーション弁護士』を商標登録し、鉄道や船、自転車で各地を巡りながら働くスタイルを実践している。
事務所名:甲本・佐藤法律会計事務所
事務所URL:https://ksltp.com/