「家宅捜索=犯罪関与」とは限らない 京都11歳男児の遺体めぐる捜査と注意点
京都府南丹市で行方不明になっていた小学生、安達結希さん(11)の遺体が山林から見つかった事件で、京都府警は4月15日、同市園部町にある安達さんの自宅に、死体遺棄容疑で家宅捜索に入ったと時事通信などが報じました。
この動きから、現時点でどのようなことがわかるのでしょうか。ポイントを整理します。
●司法解剖では死因がわかっていない
安達さんは4月13日、小学校から約2キロの山林で、あおむけになった状態で見つかりました。
遺体は木の葉などで覆われた形跡はなく、靴下だけ履いていたとされます。また、安達さんのものとみられる靴は、前日の12日に別の場所で見つかっていました。
4月14日に実施された司法解剖では、目立った外傷は確認されず、死因は特定できなかったとされます。一方、死亡時期は3月下旬ごろと推定されています。
こうした状況の中で、司法解剖の翌日に自宅の家宅捜索がおこなわれたことになりますが、この捜査は何を意味するのでしょうか。
●かならずしも「家宅捜索=犯罪への関与」ではない
家宅捜索は、警察が裁判官に「この場所に証拠がある」として令状を請求し、裁判官がそれを認めた場合に初めておこなうことができる強制捜査です。
令状には、捜索する場所や差し押さえる物が具体的に記載されています。令状がなければ、警察が勝手に家に入ることはできません。
令状が出たということは、裁判官が「その場所に証拠が存在する可能性がある」と一定程度認めたことを意味します。ただし、あくまで「証拠がそこにある」可能性を認めたということにすぎません。居住者の犯罪への関与の可能性を認定したわけではないことには注意が必要です。
今回のケースでは、被疑事実は死体遺棄とされています。そのため、裁判所は「死体遺棄に関する証拠が存在する可能性」を認めたということになります。
通常の死体遺棄事件で想定される証拠としては、遺体を包んだとみられる布やビニール袋などの資材や、血痕や体液などの微物証拠、遺体の運搬に使用されたとみられる物品や車両との照合のための資料、さらには死因や死亡状況に関連する可能性がある薬物や器具類などが考えられます。
●「わかっていること」と「わかっていないこと」冷静に
先にも書きましたが、家宅捜索を受けたからといって、その家の居住者が犯罪に関与しているというわけではありません。
たしかに、遺体が「自宅近くの山林」で見つかっていることや、被害者の卒業式当日の朝以降の行動が不明であることから、捜査機関が自宅と遺体発見場所の間に何らかの関連があると見ている可能性がある、ということは、捜査の論理として自然なことです。
しかし、家宅捜索はあくまで「証拠があるかもしれない場所に立ち入る」という捜査に過ぎません。捜索の結果、何も出てこないこともあります。起訴や有罪を意味するものでもありません。
刑事訴訟法は、被疑者本人だけでなく、第三者の自宅についても、そこに証拠品があると認められる状況があれば捜索できると定めています(刑訴法222条1項、102条2項)。
また、今回の捜索が、自宅の居住者を「被疑者」と位置づけたうえでのものなのかどうかも、現時点では明らかではありません。そもそも令状には、被疑者の明示が必ずしも求められているわけでもありません。「被疑者不詳」の段階で捜索がおこなわれることもあります。
