韓国への“服従”は日本の“使命”とした旧統一教会 天文学的な富を築いた実態 「解散命令」判決文を韓国経済誌が読み解く
韓国で第20代大統領選挙が行われる直前の2021年、宗教団体・旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の日本における海外送金額が179億円で、同年の円相場基準で約1863億ウォンに達していたことが明らかになった。
これを含め、2018年から2022年までの5年間で656億円、6000億ウォン以上の資金が海外へ流出しており、そのうち90%以上が韓国に送金されていた。実に数千億ウォンもの巨額資金が韓国国内に流入していたことになる。
旧統一教会は同期間中、韓国で実施される教団儀式に関連した「感謝献金」の納付も求めていた。
現在、最大の危機に陥っている旧統一教会は、韓国国内における状況も決して芳しくはない。韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権との政教癒着事件で裁判を受けている。また、李在明(イ・ジェミョン)政権の初代海洋水産部長官を務めた「共に民主党」チョン・ジェス議員らも捜査線上に浮上しており、旧統一教会による政界への全方位的なロビー疑惑が論争の的となっている。
本サイト提携メディア『時事ジャーナル』では今回、旧統一教会の解散を決定した日本司法による1審・2審の判決文の原本をすべて入手し、天文学的な富を築き上げた教団の実体に迫った。
金額・期限を定めて「特別献金」と「感謝献金」を強要3月4日、東京高裁は文部科学省が旧統一教会に対して提起した解散命令請求事件の控訴審において、1審の判決は妥当であるとして解散を決定した。
旧統一教会は以前から献金の強要問題が取り沙汰されており、2009年に「コンプライアンス宣言」を出していた。しかし、その後も日本の信者から過度な献金を集めていたという。実際、旧統一教会の献金額は2006年から2022年まで、毎年400億〜500億円台を記録していた。
これらの資金は海外へと流出した。日本は世界で最も旧統一教会の信者数が多い国である。多額の献金を吸い上げる日本が韓国家庭連合の「資金源」であるという指摘は以前からあったが、今回の判決文を通じて、その数値が公的に確認された格好だ。
判決文に記載された海外宣教援助費の予算は2015年基準で88億円。翌2016年からは毎年93億円、100億円へと増加した。その後の2018年からの5年間は、海外援助費予算は78億〜90億円で推移していた。
注目すべきは2018年から2022年の海外送金額だ。2018年からは毎年順次、83億円、144億円、157億円、179億円、93億円が集中的に海外へ送金された。日本の裁判所はこれについて「主な送金先は韓国(韓国家庭連合のほか、故文鮮明氏が設立した財団やバレエ団を含む)であり、韓国が海外送金額全体の90%以上を占めている」と説明した。
同期間、旧統一教会は「感謝献金の完納」を強調していた。日本の裁判所は、コンプライアンス宣言後も献金を求める圧力が行われていたと判断した。

旧統一教会は1995年から、京畿道加平郡(キョンギド・カピョングン)にある「HJ天宙天宝修練苑(旧・天宙清平修練苑)」で「祖上解怨(そじょうかいおん)」を実施してきた。先祖の原罪を清め、祝福を祈るという儀式だ。
信者たちは、この儀式にかかる感謝献金や祝福費用などを支払う。判決文によると、日本人の場合、1〜7代(両親との関係を1代とし、以降順次遡って計算)前までの祖上解怨に関連する額は70万円などと設定されていた。
これに関連し、旧統一教会は2018年10月、全国の地区長、教区長、教会長らに対し、「真の父母様(故文鮮明氏、韓鶴子総裁)より、2020年2月6日までに、さらに遡って430代前までの祖上解怨を完了させよとの特別指示が下された」とし、「天宙清平修練苑分苑と430代祖上祝福の完了に関する指示事項」と題した文書を送付した。210代前までの祖上解怨の感謝献金が完納されていることが必要条件であるとも記されていた。
そして2021年8月、再び「真の父母様より、430代前までの祖上解怨の申請期限が2022年8月まで延長された」という趣旨の文書を送付した。この文書にも、2022年8月以降に211代前から430代前までの手続きを行う場合、感謝献金を支払う必要があると記載されていた。
このほかにも旧統一教会は、2017年1月から2022年3月にかけて、全国の地区長らに金額や期限を定めて特別献金や感謝献金を案内する事務連絡文書を何度も送っていた。
純資産だけで1兆ウォン「家や土地を売ってでも献金せよ」旧統一教会の純資産は2024年基準で1040億円、韓国ウォンにして約1兆ウォンに達する。2022年の1180億円よりは多少減少した。
日本家庭連合の収入の97%以上は献金によるものだ。しかし、2022年7月に安倍晋三元首相の銃撃事件が発生し、献金が激減した。2023年は前年比で約半分となる229億円、2024年には127億円まで減少した。安倍元首相を自作銃で撃った山上徹也は、母親が旧統一教会にのめり込んで多額の献金を支払い、教団と関係の深い政治家である安倍元首相を狙ったと供述していた。
もともと、旧統一教会は1954年に「世界基督教統一神霊協会」として創設された。
日本進出は1958年。創始者の故文鮮明氏(2012年死去)は自著の中で、韓国と日本を聖書になぞらえ、それぞれ「アダム」と「エバ」と呼んだ。「エバ国家」としての日本の使命は「服従」であるとした。また、「万物を神に捧げて関係を回復する」という趣旨の「万物復帰」の教義を掲げた。これは信者にすべての財産を捧げよという趣旨にほかならない。
実際、文鮮明氏らは信者に対し「借金をしてでも天に捧げようという心がなければならない」と語っていた。また「死ぬことがあっても万物復帰を成し遂げることに合格しなければならない」「100%神に返さなければならない」とも述べた。
ある地区長は1998年1月、信者たちに対し「父の国である韓国を救うため、家や土地を売ってでも今月末までに1万2000ドルを献金しなければならない」というムン総裁の言葉を代読し、献金を要求したという。「真の父母様」の誕生日に飛行機を献上するため、献金を求めた幹部もいた。
東京高裁は、旧統一教会が達成不可能な数値を目標に掲げ、献金や物品の購入などを信者に要求したと説明した。そのうえで「文鮮明が2012年に死去し、妻の韓鶴子が韓国家庭連合の総裁を継承した後も、銃撃事件まで状況に変化があったとは認めがたい」とした。
これに関連する韓総裁の発言は、逸話としても紹介されている。安倍元首相が死亡した翌年の6月、韓総裁が幹部らを集めて語ったとされる内容だ。
「日本という国が恩恵を受け、経済大国になったのは天が祝福したからだ。天から祝福を受けた者は、必ず恩を返さなければならない。日本の政治家たちは統一教会をどうするつもりか? 家庭連合を袋小路に追い込んでいるのではないか。日本政治はどうなると思うか? 滅びるほかないだろう。政治家たちやキシダ(当時の岸田文雄首相)に、教育を受けに来いと伝えなさい」
「信者に要求する行為は極めて悪質」遡れば、1970年代から旧統一教会の規模は本格的に拡大した。キリスト教の教義をベースに、反共思想、世界平和、合同結婚式といった独自の手法で勢力を広げた。
莫大な富を蓄積した過程には、信者らで構成された「企業型」組織が存在する。物品を買わなければ自分や家族、先祖に災いが降りかかると信じ込ませて高額で売りつける「霊感商法」や、無償労働などの事例は何度も問題視されてきた。
端的な例は、1971年5月に設立された「株式会社ハッピーワールド」だ。信者らが設立したこの会社は、高麗人参茶や高麗大理石の壺の輸入販売などを主業としていた。
表面上は家庭連合とは別の法人だ。しかし日本の裁判所は、ここが旧統一教会と人的・物的に深く結びついていると判断した。
まず、信者である会社の役職員は、報酬の大部分を教会に献金していた。彼らは高麗人参茶などのハッピーワールドの商品を営業・販売すると同時に、布教活動(伝道)を行っていた。こうした活動体は「全国しあわせサークル連絡協議会(連絡協議会、信徒会)」と呼ばれた。
布教・教化活動のための「ビデオセンター」は1982年に全国的に設置された。日本家庭連合は当時、ビデオセンターを通じた活動について東京都に相談し、ビデオ受講料を徴収することは宗教法人が行うことのできない「収益事業」に当たるという趣旨の指導を受けた。
しかし連絡協議会は、ビデオセンターを通じた布教活動、会員数や委託販売員の営業・販売売上目標などを定めた。これに関連し、1986年に設定された「月100億円(当時のレートで約504億ウォン)」という売上目標は、同年末に達成された。
献金問題は、こうした状況と相まって表面化した。400ページに及ぶ東京高裁の判決文の後半部分には、過去の信者らとの民事・刑事訴訟の結果などが盛り込まれている。
日本の裁判所は、こうした献金募集の実態や紛争事例、和解金の規模、コンプライアンス宣言後も多額の献金が集まっていた事実、韓国などへの海外送金額の規模、そして祖上解怨に関連する献金強要の指示などを、解散決定の背景として判断した。結果として、文鮮明氏、韓総裁に責任があるという趣旨だ。

「旧統一教会が定めた献金などの数値目標を達成するためにマニュアルを作成するなど、組織的に虚偽の主張を行うといった告発を通じて、対象者(信者)の自由な意思を制限した。また、彼らを献金などをするか適切な判断を下すのが困難な状態に陥れた後、献金などの行為を勧誘した。信者に対し、他人への無償あるいは過酷な物品営業・販売活動、布教教化活動に従事するよう要求する行為は極めて悪質である」
日本の裁判所は、1979年以降、2022年の銃撃事件前までの被害者は少なくとも506人であると判断した。これは「確実に認定できる被害信者」に限った数字であり、旧統一教会の責任が推測される被害者は除外されている。
2006年1月1日から2023年1月6日までに成立した「訴訟外で合意した和解金」の額は約117億円に達する。このうち日本家庭連合が特別対策費を通じて支払いに充てた金額は約14億8000万円にすぎない。残りは和解金などの支払債務者として指定された信徒会の信者たちが工面したという。
日本の裁判所は、被害者本人だけでなくその家族、親族の被害まで考慮すれば、不当な献金勧誘行為の結果は重大であると結論づけている。
(記事提供=時事ジャーナル)
