この記事をまとめると

■「バンコク国際モーターショー2026」にいすゞが出展

■ピックアップトラック「D-MAX」をベースにしたレース車両を展示 

■コンセプトカーに見えるがワンメイクレース車両として市販する予定だ

ピックアップトラックをレーシングカーメーカーが魔改造!

 3月25日から4月5日まで、タイのバンコクにて「バンコク国際モーターショー」が開催されている。当媒体でも毎年このイベントの内容をお届けしているので、聞いたことがある人もいるのではないだろうか。

 タイでは日系ブランドのクルマは人気が高いカテゴリーで、憧れをもつ人も多いそうだ。そんなタイでは、同じブランドでも、日本では販売されていない海外市場限定のクルマも多数用意されている。そのうちの1台が、いすゞのピックアップトラック、D-MAXだ。

 日本でいすゞといえば商用車のメーカーというイメージが根強いだろう。しかし、遡るとピアッツァや117クーペ、ミューにビークロスと、いまでも根強いファンをもつ名車を数多く世にリリースしてきた。

 そんないすゞは、現在日本では商用車以外を販売していないが、タイをはじめとした諸外国では、D-MAXというピックアップトラックを展開しており、これがなかなかの人気を博している。実際、日本でもイベントなどで展示されることがあり、多くの注目を集めているので、実車を見たことがある人も多いのではないだろうか?(日本導入のアナウンスはとくにないが……)。

 さて、そんなD-MAXが2026年の「バンコク国際モーターショー」に展示されているのだが、そのなかに、どう見ても異質な1台が紛れ込んでいる。その1台を紹介したい。

 このクルマは、タイいすゞとタイの新興スーパーカーメーカーであるTERA S Motorという2社がタッグを組んで作り上げたレース用のピックアップトラックという、なんとも情報量の多い車両だ。ちなみにこのTera S Motorというファクトリーは、「T63」というカーボン製シャシーに、シビックタイプRのエンジンモデルを搭載した、、サーキット専用車を展開しているとのこと。

 ボディ各所には、現地では仕事クルマな印象が強いピックアップトラックとは無縁のカーボン製パーツを多数装備し、ギリギリD-MAXと見て取れるものの、空力を意識したパーツをふんだんに取り入れ、只者ではない雰囲気を漂わせている。

 メカニズムは、標準車のエンジンがもつ出力である163馬力から、なんとプラス100馬力以上の285馬力を叩き出し、トルクは約507N・mを発揮するという。エンジンは2.2リッター直4ディーゼルエンジンとのこと。ミッションは6速MTとし、LSDや強化クラッチ、ペンスキー製サスペンション、ブレーキもフロントに対向6ポッド、リヤに対向4ポッドのキャリパーを導入する。タイヤは275/40R18サイズのトーヨー プロクセス スポーツ2をインストール。

 車内も本格的で、FIAの公認を受けた本格的なロールケージをはじめ、バケットシートやハーネス、ウインドウネットなどを装備。そのほかにも、エンジンや車両コンディションを確認するインフォテインメントシステムが備わる。

 と、ここまで聞くと「メーカーが本気で作ったコンセプトカーじゃん」と思うかもしれない。実際、「市販しないけど本気で作ってみました」みたいなコンセプトカーは、これまでに数えきれないほど見てきた。メーカーがコンセプトカーに本気になるのはよくあることだ。

ワンメイクカーとして市販予定!

 しかし、ここからがこのクルマの衝撃的なトピックだ。なんとこれ、市販するというのだ!

 とても正気とは思えないこのニュース。どういうことなのか。じつはこのD-MAX、これから始まるという「Isuzu Challenge Thailand 2026」専用のワンメイクレースマシンなんだそう。いまある情報では、限定15台とのことで、最悪のケースを想定すると台数が少ないので、買い戻せないチームが出てきそうなのは心配しすぎだろうか……?

 なお、価格も凄い。ここまでやっておきながらなんとタイの通貨(バーツ)で149万バーツ。ドルだと4.5万ドル程度、日本円で725万円程度だ(原稿執筆時のレート)。レース専用車といえど、D-MAXを買ってきて同じことをしたら、いくらピックアップトラックがベースといえど、おそらく同じ予算での再現は厳しいだろう。いすゞ側は「なるべく安価に、多くの人にレースを楽しんでもらいたくてこの価格にした」と語っている。

 余談だが、チラシには分割払い(48回まで)可能と書いてあるので、カツカツな走り屋でも買えるかもしれない!?

 本来走りとは無縁なピックアップトラックが、バチバチにサーキットで戦いまくるワンメイクレース、難しいかもしれないが、ぜひ日本でも見てみたいものだ。タイの人たちが羨ましくてならない。