『ばけばけ』最終回は“タイトルバック”から生まれた 笑って泣いてのクランクアップ秘話も
髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が、本日放送の第125話で最終回を迎えた。
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ヘブン(トミー・バストウ)が亡くなり、彼の弔いに訪れた編集者・イライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)の言葉をきっかけに、トキ(髙石あかり)が語り伝えた『思ひ出の記』。
制作統括の橋爪國臣は「トキが『思ひ出の記』を書くところをドラマの終着点にしたい、と最初から決めていました」と明かし、「『日本滞在記』以降、ヘブンにはそれを超える作品は一作もなくて。作家として何を書けばいいのか、どう生きていけばいいのか、さらには日本に住み続けるのかと、彼はとても迷っていたんですよね。一方トキとしては、ヘブンがフィリピンに行かなかったことや、最後に『怪談』を書かせたことで、『この人を自分のせいで変えてしまったのではないか』という贖罪の気持ちが残り続けていた。その思いが、どう『思ひ出の記』につながっていったのかを描きたかったんです」と説明する。
「この物語は、第1週から第25週まで(小泉セツの著書)『思ひ出の記』にかなり頼っていて。放送後に読む方もたくさんいると思いますが、『このシーンは「思ひ出の記」から取ったんだな』『「思ひ出の記」のエピソードが散りばめられているんだな』とわかるはずですし、本当に素敵な本なんですよ。若い頃の小泉八雲との関係性がわかる不思議な本で、それをドラマでできたらいいな、という思いが出発点でした。ですから、ドラマが『思ひ出の記』と重なって見えてくれたとしたら、この作品がうまくいったということかなと思っています」
最終回のタイトルバックは、トキとヘブンの息子たちが『思ひ出の記』の表紙を開く仕掛けで始まる。
夫婦の日常を捉えた静止画が、アルバムのように連なっていくオープニング映像。その演出は「このラストにつながっていたのか」と思わされたが、意外にも最終回のギミックは、タイトルバックが完成してから生まれたものだという。
「『思ひ出の記』で終わりたいという話は、最初からプロット上にありました。ただ、具体的にどう終わらせるかは、ペンディングにしたまま進めていたんです。そんな中、このオープニング映像がとても素敵で、『これって実は「思ひ出の記」そのものなのでは』と思うようになって。そこから、『オープニング映像が「思ひ出の記」に見えるラストになればいいな』と、この演出を考えました。ですから、写真家・川島小鳥さんのオープニングにインスパイアされて、最後を作ったということになりますね」
そんなタイトルバックを終え、映し出されたのは第1話の冒頭に繋がる世界。トキが『思ひ出の記』をヘブンに語り、ヘブンが「スバラシ」とほほえむ、温かな結末が待っていた。
「最初にあのシーンから始まり、最後に同じシーンへと戻る構成については、我々も脚本のふじき(みつ彦)さんも、自然とそう考えていました。特殊メイクもしていないので、きっと若い頃の2人が夜な夜な楽しい話を続けて、散歩に出かけていく。『なんかいいな』と感じる場面になっていると思いますし、あの世界がどんな世界なのかは、皆さんのご想像にお任せしたいと思います」
髙石とバストウは、同シーンでクランクアップ。橋爪は「本当に最後ですから、みんなが笑って泣いて、という感じでした。スタッフも集まっていましたし、このクランクアップに向けて、出演者も東京から日帰りで10名以上が駆けつけてくれて。素敵なラストだったと思います」と現場の様子を振り返った。
あらためて橋爪は、ヒロインとして走り切った髙石の芝居を「投げられたボールをしっかりとキャッチして、自分の芝居で返すことができる。このキャッチボールが素晴らしいと思います」と称賛する。
「台本をもとに演技プランを立てて、それをその通りにこなすだけではなく、ちゃんと役を生きてくれる。だからこそ、相手との芝居に化学変化が生まれていくんです。今回は幸いなことに、トミーさんを含めて周りの出演者の皆さんもそれができる方ばかりが揃ったので、現場でどんどん化学変化が起きていって。台本のセリフ通りに喋っているのに、リハーサルと本番で全然違って見えるほどでしたし、それが『ばけばけ』らしさにつながったと思っています」
さらに、「座長としても本当にすごいなと思いました。これだけ長い作品は過去にやったことがないはずですし、そもそも一人で主演をはって番組を引っ張るような経験も、ほぼ初めてだったと思うんです。最初はどうなるかなと心配しながら見ていましたが、そんなのは杞憂に終わるくらい、本当にみんなを引っ張っていました。ベテランの方々に支えられた部分もあるとは思いますが、そういった人たちすら引っ張っていくような姿勢もありましたね」と語り、こう続ける。
「何より、最後まで楽しそうだったんですよ。辛い時期もあったのかもしれないですけど、最初から最後までずっと楽しそうで、撮影が終わったあとにも『楽しかった』と。そんな彼女の姿に救われましたし、彼女の“楽しい”をそのまま走らせていかなきゃいけない、という思いが周りにもあったと思います」
「朝ドラヒロイン」という夢を叶えた髙石を中心に、『ばけばけ』が丁寧に描き続けた夫婦の何気ない日々。
橋爪は「最初から最後まで、トキ自身は何も変わっていないんですよね。こういう作品がどのくらい受け入れられるだろうと思いながら始めたのが、このドラマでした。放送が始まってからも様々なご意見をいただきましたが、それ以上に『2人の関係が素敵だ』という声を数多くいただいて。たくさんの方に見ていただけたことが嬉しかったですし、僕らのやろうとしていた物語が皆さんに響いたのであれば、本当によかったなと思います」と総括し、感謝の言葉で締めくくった。(文=nakamura omame)
