アクティブウエア勢が リーバイス を脅かす。アスレジャー鈍化でデニム市場参入加速

記事のポイント
アクティブウエアブランドが相次いでデニムコレクションを発売し、市場参入が加速している。
アクティブウエアの成長が3〜5%に鈍化する一方、デニムの成長率は0.7%から2%に上昇した。
専門家のあいだではアクティブブランドのデニム参入の成否について意見が分かれている。
デニム戦争はますます過熱の一途をたどっている。
アメリカンイーグル(American Eagle)、ギャップ(Gap)、リーバイス(Levi's)などのブランドがしのぎを削るなか、すでに飽和状態のこの市場に参入しようとする新たなブランド群がある。アクティブウエアブランドだ。
彼らは近年デニムコレクションをリリースしたルルレモン(Lululemon)やハララ(Halara)などのアクティブブランドに加わることになる。
ファブレティクスにとって、この決定は200万人以上の会員を対象としたアンケートに直接着想を得たものだ。
「100万人以上のVIP会員が、ファブレティクスのデニムがほしいと言ってくれた」と、ファブレティクスのチーフマーチャンダイジング&デザインオフィサーであるケリー・デュガン氏は述べた。
「このコレクションでは、フィット感、シルエット、生地、スタイルに関して非常に綿密な検討を重ね、ファブレティクスの魅力をそのままに、クラシックなデニムで再構築した」。
アクティブウエアの需要鈍化がデニム参入を後押し
専門家らは、アクティブブランドのデニムへの動きは、米国の消費者のあいだでアクティブウエアの需要が減退していることが背景にあるとみている。
「より広い市場でいま起きていることを見れば、この動きは非常に理にかなっている」と、ゴルフとファッションの交差点に焦点を当てたメディア企業、ザ・ティーリスト(The Tee List)の編集長ジェン・バースマ氏は語った。
デニムは通常、多くのゴルフクラブのドレスコードに反するが、レッドバンリー(Redvanly)のようなアクティブゴルフブランドはデニム製品の販売で限界に挑戦し始めている。
「アスレジャーはパンデミック期に爆発的なブームを迎えたが、成長は鈍化しており、賢いブランドは次に制覇すべきカテゴリーを探している。デニムはいま本当に注目の的であり、これらのブランドも気づいている」とバースマ氏は語った。
パンデミック後、アクティブウエアブランドは売上が徐々に低下している。ギャップは、傘下のスポーツウエアブランドであるアスレタ(Athleta)の既存店売上高が前四半期に10%減少したと報告した一方、ギャップのほかのブランドはすべて成長を記録した。
ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)のデータによると、アクティブウエア全体はまだ成長しているが、今後3年間の成長率は3〜5%と予測されている。これは2020年代初頭の2桁成長率を下回る数字だ。
一方、デニムはアクティブウエアの台頭に伴う成長鈍化を経て、より健全な成長を遂げている。市場調査会社ユーロモニター(Euromonitor)によると、デニムの成長率は過去1年で0.7%から2%に上昇した一方、アクティブウエアは同期間に3%から2%に低下した。
スイスの金融サービス企業UBSは2025年夏のレポートで、デニムの復活は単なる循環的なファッショントレンドではなく、当面のあいだ安定した成長が続くと予想していると述べた。
専門家のあいだで割れるデニム参入の評価
しかし、デニム市場は競争が激しく、ファブレティクスやヴオリのようなブランドは、リーバイスのような大手と、エーゴールドイー(Agolde)のようなニッチなプレミアムブランドの両方を相手に厳しい戦いを強いられる。
一部のスタイリストは、デニムに参入するアクティブウエアブランドが市場を突破できるかどうか懐疑的だ。
「アクティブウエアブランドは自分たちの領域にとどまるべきだと思う」と、スタイリストのアマンダ・ハラー氏は語った。
「アクティブウエアで新鮮な新しいアイデアを考え出すべきだ。デニム市場は飽和している。ここが一部のアクティブウエアブランドが苦戦するところだ。デニムを追いかけなくても、ワークアウトから日常着へとシームレスに移行できるアクティブウエアには、まだまだイノベーションの余地がたくさんある。多くの大手デニムブランドは、すでに自社の素材をより快適にする革新的な方法をすでに模索している」。
しかし、ほかの専門家は、アクティブウエアブランドがデニムにおいて予想以上に競争力を持つ可能性があると考えている。
「多くのアスレジャーブランドは、デニムの世界で主要プレイヤーになる態勢が整っている」と、シカゴを拠点とするファッションイベント企業、ザ・キュリオ(The Curio)のファッション専門家でプリンシパルのマギー・ジレット・ソウィスロ氏は語った。
ソウィスロ氏はハイエンドデニムショップでの長年の経験を持つ。同氏は、アクティブブランドが持つ高いロイヤルティ(ファブレティクスには230万人以上のアクティブ会員がいる)が強みになりうると述べた。
「レギンスがほぼ10年にわたって定番パンツとなっているため、20代の人にとっては、典型的な老舗デニムブランドから買うよりも、アクティブウエアブランドからジーンズに手を伸ばすほうがより親しみやすいアプローチに見えるかもしれない」とソウィスロ氏は語った。
もうひとりのスタイリスト、ウィメンズウエアブランドのラ・ピオニー(La Peony)でデザインディレクターも務めるメロニー・フーバー氏も、アクティブウエアブランドの大規模で忠実なフォロワーが強力な資産である点に同意した。
「ヴオリ、ファブレティクス、シェイペルクス(Shapellx)、ルルレモンのようなブランドは、すでに強固で確立された忠実な顧客基盤を持っている」とフーバー氏は語った。
「彼らはすでに消費者のロイヤルティと、ブランドやウエアを愛する大規模なフォロワーを持っている。そのためデニムへの拡大は、より完全なライフスタイルブランドへと進化することを可能にする。ワークアウトブランドの枠を超えてリーチを広げる点で賢明であり、すでに忠実なフォロワーにより多くの選択肢を提供する方法でもある」。
ヴオリとファブレティクスの両方に、ブランドとは無関係のレディット(Reddit)専用フォーラムがある。
レディットでの反応はまちまちで、ファブレティクスのデニム発表にはより好意的なコメントが寄せられた。ヴオリのサブレディットの購読者は、同ブランドの拡大に対してより懐疑的だった。
素材コストとマージンが参入の動機に
アクティブブランドの差別化ポイントのひとつは素材にある。ヴオリのデニムは30%の合成繊維を使用しエラスタンを含んでいる一方、ファブレティクスのデニムはより伝統的な100%コットンだ。
ワシントンD.C.を拠点とするブティック、キャピトルヒル・クロージャーズ(Capitol Hill Clothiers)のオーナーであるアンソニー・ボロネーゼ氏は、デニムと合成素材の両方のマージンが、ブランドにデニム市場への参入インセンティブを与えている可能性が高いと述べた。
「デニムは生地としてすでにかなり安い」と同氏は語った。
「ブランドが主に、あるいは専らポリエステルブレンドのデニムを製造または購入している場合は、さらに安くなる。これらのブランドはポリエステルを大幅なマークアップで顧客に販売することに慣れている。ストレッチデニムに進出しない手はないだろう」。
素材価格に関する知識に基づき、ボロネーゼ氏はヴオリの200ドル(約3万円)のジーンズのうち、約180ドル(約2万7000円)が利益だと推定している。しかし、掲載までにヴオリからの回答は得られなかった。
[原文:Can activewear brands launching jeans really compete in the denim category?]
Danny Parisi(翻訳、編集:藏西隆介)
