準々決勝でベネズエラに敗れた侍ジャパン

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 なにしろ前回は優勝だから、侍ジャパンが背負った期待は相当なものだったろう。しかし、準々決勝でベネズエラの猛攻にさらされ、ベスト8で敗退。落胆したファンも多いはずだが、今回のWBCでは場外で明暗を分けた人たちがいた。

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放映権料は約150億円

 大谷翔平(31)の内野フライで幕を閉じた侍ジャパンのWBC。今大会でイレギュラーなのは、なによりも“テレビで見られない”ことだった。

 スポーツ紙デスクの話。

「前回は約30億円だった放映権料が、今回は約150億円にはね上がり、テレビ各局は放映権の獲得を見送らざるを得なくなった。その結果、資金が潤沢なネットフリックスの独占配信となりました」

準々決勝でベネズエラに敗れた侍ジャパン

 通常月額890円の広告付きスタンダードプランを498円で提供するなど、ネトフリは2月から“WBC応援キャンペーン”を展開。これが功を奏したか、

「ネトフリで観戦した視聴者のうち、WBCのために入会した人が40%以上というデータもあります」(同)

YouTuberを“公式クリエイター”に

 ネトフリは著名ユーチューバーたちを“公式クリエイター”として任命。彼らに公式映像の一部を開放し、SNSで大会を盛り上げるよう求めていた。

 公式クリエイターの一人である野球解説者の高木豊氏によれば、

「先方から連絡があったのはWBCが始まる10日ほど前。ユーチューブで野球についてのトークを毎日投稿している点などを評価してくれたのだと思います。日本代表以外のチームも扱うのが条件で、試合映像を使えるので楽しいですね」

 仕事の内容は、

「主に日本の試合の解説ですが、事前に対戦チームの戦力を分析することもある。ギャランティーは動画の再生回数などに応じて決まるので、正確な金額は終わってみないと分かりません」(同)

テレビは“全面降伏”

 一方、ネトフリに試合中継のお株を奪われたテレビ各局は、なんとかおこぼれにあずかろうと、なりふり構わぬ珍作戦に打って出た。

「試合後の報道番組では各局、こぞってWBCを取り上げていました。ところが、試合直後の番組では静止画が映し出されるばかりで、肝心のプレー映像が放送されませんでした。3月7日放送の『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で、安住紳一郎アナが“試合が終わって30分後ぐらいになると映像がいただけるんですよ”と明かしていました」(前出のデスク)

 さらに、ネトフリへの“全面降伏”というほかない演出も登場した。

「番組MCや解説者たちがネトフリで試合観戦している模様を撮影し、後の報道番組で放映していました。試合の映像は流れず、MCたちが一喜一憂している様子が流れるだけ。視聴者にとっては何を見せられているのか意味不明だったでしょう。実際、試合の映像は番組ごとに購入しなくてはならず、使用時間は3分以内。もし時間が超過した場合は、ネトフリから追加料金が請求されるといわれていました」(テレビ関係者)

飲食店の苦闘

 右往左往していたのはテレビ局だけではない。酔客たちで盛り上がれるゆえ、スポーツの国際大会を“書き入れ時”とする飲食店も苦闘していたのである。というのも、ネトフリの番組を無断で“商用利用”することは規約に反するからだ。

 普段からスポーツ中継を放映している、さるダイニングバーの店長によれば、

「1次ラウンドの日本戦では満席になりました。規約のことは知っています。うちの運営会社がネトフリのヘルプセンターに放映したい旨は連絡したのですが、返答がないようで……。もし違約金が発生するなら、支払う覚悟はありますよ」

「ネトフリの中継を放映したら……」

 片や、こんなケースも。

「前回のWBCでは、テレビ中継を流したら売り上げが普段の3倍になりました。今回もネトフリに加入して、店内で放映する準備を進めていたんです」

 そう話すのは、奈良の野球居酒屋「ビークレイジー」の店主である。

「ところが3月1日、店のポストに封筒が入っていた。差出人は“WBC警察”。中には便箋が2枚入っていて“ネットフリックスの中継を放映した場合、店内の様子を撮影して拡散します”と。悩みましたが、ルール違反はよくないし、これまでイベントでうちに来てくれた選手たちに迷惑をかけてはいけないので、放映は中止にしました。結局、試合の日はお客さんがそれぞれのスマホで観戦していましたよ」

 むろん“警察”といっても本物ではなく、ネトフリとも無関係。無粋なイタズラか、義憤によるものなのか。

 こうした騒動も日本の敗退とともに姿を消し、SNSでは“ネトフリ解約”がトレンドに。良くも悪くも、今回、ネトフリは放映権だけでなく話題も独占したようである。

「週刊新潮」2026年3月26日号 掲載