『マンスリー彼氏』はなぜ世界を魅了するのか? 疲れた心を癒す“極上の恋愛体験”
BLACKPINKのジスとソ・イングク主演のNetflixシリーズ『マンスリー彼氏』が、3月6日の配信開始後、世界約70カ国でランキングTOP10入りを果たし、世界中から熱い視線を集めている。また、日本でも堂々の1位を記録した。比類なき輝きを放つ二大スターの共演に加え、仮想空間でバーチャル彼氏との恋愛を体験できる「恋愛サブスク」という斬新な設定が、視聴者の期待を鮮やかに超えて話題となっている。(以下、ネタバレを含みます)
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主役級スターによる、至高の“イケメンビュッフェ”
本作の最大の魅力は、なんといってもサブスク内に現れる「仮想彼氏」の存在感だ。ソ・ガンジュン、イ・スヒョク、イ・ジェウク、オン・ソンウ、キム・ヨンデら主役級のスターが勢ぞろいの豪華な顔ぶれ。
韓国ドラマ界の最前線が浮かび上がる、圧倒的な輝きを放つオーラと気品が溢れる「仮想彼氏」たち。そのあまりに贅沢なスターのキャスティングは“スタービュッフェ”のようなものだ。
本作の最大の見どころは、この“スタービュッフェ”の部分であり、次々に現れる「仮想彼氏」にテンションが上がる。男性主人公のソ・イングクを筆頭に、理想的な彼氏像を体現するスターたち。「誰が次に眩い姿で現れるのか」という期待感は、まさにヒロインと視聴者が一体となって恋に落ちる瞬間を演出している。
忙しすぎる主人公ソ・ミレの等身大の日常
物語は、ジス演じるウェブトゥーンPDのソ・ミレの多忙な日常から始まる。仕事と通勤に追われ、食事や入浴をこなすと、自由に使える時間はごくわずか。忙しさから恋人セジュン(キム・ソンチョル)に振られ、恋愛をする余裕も失った彼女の姿は、現代女性のリアルな疲労感を映す。ミレの姿に自身を重ねる視聴者も少なくないだろう。
ジスが全編に渡り演じるのは、まさに等身大のミレそのものだ。仕事に追われ、恋愛に迷い、日常に疲れながらも前向きに生きる彼女の心情を、ジスは細やかな表情や仕草で時に丁寧に、時にコミカルに表現している。忙しさの中での小さな喜びや戸惑い、仮想彼氏との恋愛に心を躍らせる瞬間まで、観る者が自然に感情移入できるリアリティをもたらし、ミレの魅力を最大限に引き出している。
「映画2本も観られない」時間の中で、動画サブスクで映画やドラマを楽しむミレの姿は、視聴者自身の日常と重なるようなリアリティがある。Netflixの視聴履歴に並ぶホラー作品や、『キングダム』のようなタイトルも、現代女性のストレス解消として自然に描かれている。湯船に浸かりながら動画を楽しむさまは、すでに多くの現代人にとって馴染み深いライフスタイルだろう。
ソ・イングク演じるPDのパク・ギョンナムは、口数が少なくぶっきらぼうでミレのライバルだ。2人はそれぞれライバル同士の作家を担当し、険悪な雰囲気。メガネ姿の彼の初登場シーンは、エレベーターの中で、乗客が降りた後に登場するという演出で存在感を際立たせる。登場の瞬間にはテンションが上がるが、彼は素っ気ない。
険悪な関係から始まるミレとギョンナムのやり取りは、ロマンティックコメディの定番だ。ここから2人が惹かれあっていくプロセスが、ドラマの真骨頂でときめく瞬間だ。だが本作では、そのプロセスの前に、豪華人気俳優たちとの「仮想恋愛」の美しく幻想的な極上の時間がたっぷりと用意されている。
乙女ゲームの世界が現実に? 魅惑の仮想彼氏
作家ユン・ソン(コン・ミンジョン)の作品を使用した仮想恋愛サービス「マンスリー彼氏」のモニターを引き受けたミレは、デバイスを装着して夢のような世界に没入する。乙女ゲームを実写化したかのような仮想空間では、多彩なイケメンたちが次々と登場し、彼女を翻弄する。その「仮想彼氏」の人気は現実世界でも白熱しており、韓国では人気ランキングも実施されている(1位はピンク色があまりにも似合うソ・ガンジュン演じるソ・ウノ先輩! 納得のランキング……!)。
最初に登場するイ・スヒョク演じる財閥御曹司シウは、浮世離れした佇まいと完璧なルックス、重低音でベルベットのように滑らかに響く声で存在感を示す。豪華な金を随所にあしらった宮殿で王子のように登場する彼が、纏う空気感はまさに「貴公子」そのもの。その一挙手一投足は、画面に現れるだけで作品全体の格調を押し上げる力がある。ゴージャスな金色の輝きは、シウを象徴しているようだ。
続いて、ミレと甘い恋をするソ・ウノ先輩としてソ・ガンジュンが登場。「マンスリー彼氏」の中で、多くの視聴者の胸をときめかせたソ・ガンジュン。彼の色素の薄い透明感のある琥珀色の瞳は、光を孕むたびにその色調を変え繊細な感情を映し出す。元カレとの淡い思い出や失恋の痛みを抱えるミレの心を優しく揺さぶり、彼の眼差しと微細な演技が彼女の心を溶かしていくさまは圧巻だ。ピンク色の桜の舞い散る中に現れた、ピンク色のジャンパーを纏うウノは、まさに「恋」を担当するのにふさわしい。
短い時間で強烈なインパクトを残したイ・ジェウクにも触れずにはいられない。「インターン!」と叫ぶ白衣姿の彼のカッコいいこと! ツンデレ男子として、ミレに告白する姿はリピ必至だ。さらに短い時間ながら、声と眼差しで強い磁力を放ったのは、キム・ヨンデだ。黒装束に身を包んで放つ、低音ボイスにドキッとさせられ、覆面から顔が現れた瞬間には、さらにキュン度が上昇する。短い時間の中で、これだけ強烈に心を掴むことができるのは、彼らが主役としてそれぞれ作品を牽引する力があるスターの証だ。
“キス職人”ソ・イングクが魅せる至福のときめき
そして、視聴者に最も深いときめきを届けるのは、やはりソ・イングクだ。長身で広い肩幅の彼は、低音ボイスに魅惑的な三白眼を持つ。本作では、ロングコート姿やブラックスーツにブルーのスーツ姿、革ジャンと多彩な衣装で魅了する。彼が持つ、「ロコキング(ロマンティックコメディ界の王者)」、「キス職人」の称号にふさわしい、ジスとの息の合ったケミストリーが画面に溢れる。
ミレとギョンナムは、バーチャルとリアルの境界を行き来しながら、心を通わせていく。コミュニケーションのすれ違いや、不安な心も恋愛のスパイスとなり、醍醐味だ。想いが最高潮に達した瞬間、ギョンナムとしてのソ・イングクのキスは、観ている私たちの胸まで甘く震わせる。
ミレをそっと抱き寄せ、テーブルに座らせるギョンナムの所作の一つひとつが、まるで絵画のように美しい。指先の熱情が見えるように伝わり、ミレの手に優しく触れる瞬間、画面の向こうの私たちも、まるで息を止めるように心を奪われる。柔らかい温もりと、切なく甘い緊張感が伝わってくる――ソ・イングクという変幻自在な俳優は、観る者を限りなく夢中にさせる。「キス職人」の名を欲しいままにするだけでなく、その存在そのものが、誰もが憧れる美しい恋の瞬間を紡ぎ出す。本作は、そんな至福のときめきを改めて私たちに届けてくれる。
そして本作の映像美は、鮮やかな色調をふんだんに取り入れた仮想空間と、ミレが何着も着替える華麗な衣装に煌めく景色や優雅なインテリアの数々で、目を存分に楽しませてくれる。加えて、彼氏たちとの恋の高まりを演出するために、劇中では韓国ドラマならではの美しい「雨」や「雪」「桜」といった自然の描写が巧みに用いられている。キャラクターの心情を映し出す象徴として、叙情的なシーンは効果的に機能し、「純愛の尊さ」をそっと染み込ませる。
王道ロマンティック作品は、心にキラキラとした輝きを補充する滋養強壮剤のようだ。ミレとギョンナム、そして「マンスリー彼氏」たちが、画面の向こう側で繰り広げる恋の煌めきは、見る者を高揚させながら、心のときめきタンクを満たしていく。「マンスリー彼氏」に900人の仮想彼氏がいるならば、シーズン2もどうだろう。多くの視聴者と同様に筆者も「マンスリー彼氏」に課金する心づもりはできている。(文=にこ)
