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史上最大のルール変更

今年もF1の時期がやってきた。しかし、わたし達が知るこれまでの姿とは大きく異なる。

【画像】メルセデスが投じる最新世代F1マシン【W17を詳しく見る】 全10枚

新しいルール、新しいマシン、新しいレーススタイル……。F1の人気はますます高まっているが、今後も成長し続けるのだろうか、それとも突然の破綻を迎えるのだろうか? 一部の人々の間では、新時代を迎えたF1が自滅的な方向に向かっているのではないか、という懸念も見受けられる。


マクラーレンMCL40    マクラーレン

F1のレギュレーション(規定)は今年、過去最大規模の刷新を迎える。レギュレーション変更はこれまで何度も耳にしてきた話題だが、今回はまさに前例のないレベルのものだ。

アストン マーティンの新チーム代表、エイドリアン・ニューウェイは「2026年は、おそらくF1の歴史上初めて、パワーユニットの規制とシャシーの規制が同時に変更される年になるでしょう。まったく新しいルールセットが適用されるのです」と述べている。

一言で言えば、新世代マシンはより軽量、より小型、より機敏になり、わたし達の目には均整が取れた美しい見た目になっている。シャシーの幅は100mm縮小、ホイールベースは200mm短縮され、最低重量は30kg減の768kgとなった。

ピレリのタイヤも小型化されている。フロントは25mm、リアは30mm幅が狭くなり、直径もわずかに縮小された。これにより重量と空気抵抗の低減が図られている。総合的にダウンフォースは2025年モデルから最大30%削減され、空気抵抗はほぼ半減した。「まったく別のマシン」という表現は決して誇張ではない。

市販車に即したハイブリッド

エンジン規定を改定した理由は、基本的には自動車業界全体の要求に沿うようにするためだ。アウディ、フォード(レッドブルのパートナー)、ゼネラルモーターズ(キャデラック)が新時代の幕開けとともにF1への参入を決めた事実が、このレギュレーション変更の正当性を証明していると言える。

内燃機関は引き続き1.6Lターボチャージャー付きV6エンジンで、エネルギー回収はリアアクスルに限定されている。しかし、燃料は食用に適さないバイオマスから作られた完全持続可能な燃料(非化石燃料)を使用し、電気のパワーはより強力になった。ただし重量も増加し、151kgから185kgに増えている。


メルセデスAMGのパワーユニット    メルセデスAMG

F1は従来の熱エネルギー回生システム「MGU-H」を廃止した。自動車メーカーのニーズにそぐわないと判断されたためだ。しかし、運動エネルギーを回生する「MGU-K」は大幅に強化されている。昨年の約160psから、今や驚異の470psを発揮する。エンジンの530psと組み合わせれば、最高出力1000psに達する。

オーバーテイクボタン、可変エアロ、フラットボトム

内燃機関と電気の出力比率がほぼ50:50に近づいたことで、レース手法も革命的に変化した。2011年から使用されてきた従来のDRS(ドラッグ低減システム)可変リアウィングは廃止され、フロントウィングとリアウィングの両方に可変エアロダイナミクスが導入された。

さらに「オーバーテイク」ボタンも追加された。サーキットのどこでも、1秒以内の差で先行車を追走している場合、337km/h未満なら全速域で350kWのエレクトリックパワーを解放できる。その結果、これまでまったく考えられなかった区間での追い抜き(オーバーテイク)が期待されるようになった。


メルセデスAMG    メルセデスAMG

可変エアロは長年の議論の末、ついに実現した。「ストレートモード」と「コーナーモード」(チームが当初使っていた「Xモード」、「Zモード」といった専門用語よりはるかに理解しやすい)の登場だ。フロント&リアウィングは指定のストレートでトリムアウトし、ブレーキング時には高ダウンフォース仕様に戻る。

レースに新たな表情を加える一方で、可変エアロには別の目的もある。ストレートでの空気抵抗を減らすことで、レース中にバッテリーが切れてしまう懸念を軽減するのだ。

燃料使用量の制限に代わり、現在1時間あたり3000MJのエネルギー流量制限が適用されている。

そして、我々はF1用語辞典から「ポーポイズ現象」という言葉を削除できるようになった。

ドライバーにとって頭痛の種だった2022-2025年世代のグラウンドエフェクト・ベンチュリートンネルを廃止し、1983年から2021年までのF1マシンに見られるフラットボトム(平らなアンダーフロア構造)を採用している。少なくとも、不格好なグラウンドエフェクトマシンに満足していなかったルイス・ハミルトンにとっては朗報と言えるだろう。

(翻訳者注:この記事は「後編」へ続きます。)