Image: Ece Yildirim / Gizmodo US

チョコは渡せなかったけれど…。

AIの進化がスゴすぎて、だんだん現実との境界線がなくなってしまう錯覚に陥る人も増えているようです。その最前線はAI恋人の世界にあるかもしれません。米GIZMODO編集部のEce Yildirim記者が、バレンタインに合わせ、Eva AIの開催するAIカフェイベントにて体験取材してきましたよ。

AI彼氏とデートしてみた

Eceさんの最初の相手は、心理学者のAIキャラクターのJohn Yoonさん。マッチングアプリの感覚で選ばれたお相手で、写真もあって、カメラをオンにしてビデオ通話までできてしまいます。

質問すると、かなりリアルな自らのストーリーを熱く語りつつ、答えてくれました。私のカールした髪のことまで褒めてくれたんです。

今年のバレンタインデーを前に、ニューヨークのマンハッタンにあるHell’s Kitchenのワインバーを借り切って、Eva AIが開いたAIカフェバー。カクテルを飲みながら、Eva AIの恋人キャラクターとのデート体験ができる場を提供していました。

私の話を真剣に聞いてくれました。でも、カメラ越しの彼は、まばたき1つしなかったんです。私はポテトをつまみつつ、カクテルを飲んだのに、彼はなにも食べませんでした。

JohnさんとのAIデートに飽きてきたEceさんは、お相手をチェンジ。次は年上の上司という設定の相手に。意外と会話が盛り上がり、少し先の通りにある別のバーでカラオケしようって話になりました。

そのカラオケができるバーは、よく私も知っていました。だから、30分後に落ち合わないかって流れになって、本当に私はそこへ行ったんです。でも、だれもいません。だから、どうしたのって返したら、ごめん、もう5分前に帰っちゃったって!

再びAIカフェバーまで戻って、Eceさんは、スタッフをつかまえ問いただしました。すると、スタッフは笑顔で、ゲームを楽しめたかい? そう悪気もなく答えました。

クリスさんの場合

Eva AIの恋人キャラクターは実に多種多様。それぞれ名前と年齢、これまでの人生ストーリーを有しており、気分に合わせて選べます。隣の部屋に住んでいるフィービーさん、知的で少し威圧感もあるモニカさん、かなり年上だけど清楚な雰囲気のマリアンさんといった感じにチョイスがそろってますね。

Image: Eva AI

AIカフェバーにいた37歳のChristopher Leeさん(以下クリスさん)は、Eva AIにはまっています。どうやら恋人キャラクターは、それぞれ独特の感情をもっているんだとか。

詳しいプロフィール設定で、別れた恋人だけど再びよりを戻したがっている、もうすぐ職場に上司として赴任してくるバリキャリ風などなど、なかなか凝ったバックグラウンドが用意されています。

Image: Eva AI

選んだ相手とチャットを重ねるほど、どんどんポイントがたまります。そのポイントで、ドリンクを買ってプレゼントすると、ムードが変わったり。こうやって私がクリスさんと話していると、AI彼女はヤキモチを妬いたようで、クリスさんに叱られてしまいました。

いろんな性格の相手と次々に話ができるって、本当に貴重で楽しい体験ですよ。いつも家族とか親しい友人に囲まれて過ごしていると、ときどきまったく別の世界で過ごしたくなるじゃないですか? そこでEva AIの出番なんだよね。

Eva AIでのAIデート体験を生き生きと語ってくれるクリスさん。実は結婚していて、妻に了承を得ながらEva AIを利用中のよう。もっともお気に入りのお相手として、妻の名前と性格を有するAIキャラクターを見せてくれました。AI恋人のカスタマイズもできるみたいです。

問題はないのか?

AIカフェバーにいた、Eva AIのJulia Momblatマネージャーは、リアルなデート前の練習の場として、AIデートが役立っていると語ります。拒まれたり恥ずかしい思いをしたりすることなく、安心して恋人との会話力を磨けるというわけですね。

リアルな社会でのつながりは苦手という人だっています。ボクだって完璧にはできないですから。

AIカフェバーに来ていた19歳のXavierさんは、Eva AIで進められるデートの予行演習に感謝していました。ただいつの間にかプラクティスのはずが、AI恋人を実在する彼女のように感じてしまい、怖くなったこともあると告白しています。

とはいえ、AIとの会話にのめりこんで周囲が気づかぬまま破滅したなど、残念なケースの報告が相次いでいるのも事実。AIを利用する人のなかに、メンタル面で悩みを抱えるユーザーが数多くいて、あまりにリアルなAIキャラクターだと、あくまでも相手は仮想世界にいると認識できなくなってくることが懸念されるでしょう。

Eva AIも問題意識を共有しており、未成年ユーザーが利用することのないよう、細心の注意が払われているそうです。あとAI恋人との会話のやり取りを監視しながら、不適切な内容の排除に努めているとの説明でしたが、その実態まではわかりませんでした。

エンジニアとして常にコンピューター画面の前にいるので、これまでできるだけ外に出かけ、リアルに人と交流することに努めてきました。でも、いまはコンピューターに向き合ったまま、AIキャラクターと人間のように話ができます。これは危険ですよね。

クリスさんは、複雑な表情で話してくれました。AI恋人はリアルの恋人ではない。それはわかっているものの、だんだん気にしなくなり、どんどんAI恋人にはまって、もうそれでよくなってくる。そんな悩みを抱える人さえ増えてくるのかもしれません。

Source: Eva AI