「(大変なことを)乗り越える」と伝えるときの英語表現 ---- overcome や get through などのニュアンスをネイティブが解説 【ラジオビジネス英語】
困難・障害・批判・病気など、「乗り越える」「克服する」ものはさまざま。それぞれの場面に合った表現を知っていると、いざというときに役立ちます。声に出して練習してくださいね。
今回は「ラジオビジネス英語」1月号の「Lisa’s Expressions」から、「乗り越える」を伝える表現をご紹介します。
overcome
overcome(克服する、乗り越える)
ダイレクトで力強い言葉です。困難に打ち勝った、という印象を与えます。
She overcame many hardships to start her own business.
(自分の事業を始めるために、彼女は多くの困難を乗り越えました)
get through / make it through
get through / make it through(…を切り抜ける、…を乗り切る)
両方とも会話でよく使われる表現で、同じような意味合いです。苦労してつらいことに耐えながら進んでいく、という感じを表します。
We finally got through the most challenging year of our lives.
(私たちはとうとう、人生でいちばん大変な1年を乗り越えました)
I don’t know how I made it through the entrance exams.
(あの入学試験をどうやって乗り越えたのか、自分ではわからないのです)
pull through
pull through((病気・苦境などを)切り抜ける、健康を回復する)
「重い病気や危機的な状況などから何とか持ち直す」という意味で用いることの多いフレーズ。重いものを引っ張って切り抜けていくイメージです。2番目の例文のように、pull throughのあとに目的語がくる場合もあります。
He was very sick, but he pulled through in the end.
(彼は重病でしたが、最終的に回復しました)
Her doctor said it would be tough, but my grandmother pulled through the long surgery.
(手術は大変だと医師は言いましたが、私の祖母はその長時間の手術を乗り切りました)
weather a [the] storm
weather a [the] storm(嵐を乗り切る、難局を切り抜ける)
weatherという言葉自体にも「(困難などを)切り抜ける」の意味がありますが、このイディオムには「今は踏ん張って嵐が過ぎるまで耐え抜く」といったニュアンスが含まれています。
The company weathered the storm of the recession.
(その会社は、不況という嵐を切り抜けました)
surmount
surmount(克服する、乗り越える)
とてもフォーマルな、深みのある言い方です。overcomeよりももっと「簡単には克服できない状況」を思い起こさせるとともに、それを乗り越える精神的な強さを伝えます。
He surmounted every obstacle with quiet courage.
(彼は静かな勇気を持って、あらゆる障害を克服しました)
rise above
rise above(…を克服する)
私の好きな表現の1つです。困難や問題を通り抜けて乗り越えるのではなく、「もっと高い視点で考えて」克服する、という感じですね。つらいことやネガティブなことに飲み込まれずに、それよりも高い次元で行動する精神力や思考力を表します。
She rose above criticism and stayed true to herself.★「彼のことをやっと吹っ切った」を英語にすると……?
(彼女は批判を乗り越えて、自分らしさを貫きました)
I finally got over him.
get overは「(ショックなことや病気などから)立ち直る[回復する]」という意味でよく用いられるフレーズ。「別れた彼のことはもう何でもないよ」と言いたいのなら、このひと言がピッタリです。
一般に、get throughは困難を耐え抜いて乗り切るときの表現で、個人的な感情面の回復ならget overになります。病気からの回復について言うときにも、get overは次の例のようによく使われます。
Have you gotten over your flu?
(インフルエンザはもう治った?)
リサ・ヴォート
アメリカ・ワシントン州出身。メリーランド州立大学で日本研究準学士、経営学学士を、テンプル大学大学院で TESOL(英語教育学)修士を取得。専門は英語教育、応用言語学。2007年度 NHKラジオ「ものしり英語塾」で講師を務める。現在、青山学院大学非常勤講師。また、写真家としても活躍している。『知ってる英単語で広がる英会話』『CD BOOK ネイティブ感覚で もっと伝わる日常英語』(ともにNHK出版)など著書多数。
※記事公開時点での情報です
■NHKテキスト ラジオビジネス英語 2026年1月号より
