『タイムレスマン』総合演出・当麻晋三

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 timeleszの地上波初の冠番組『タイムレスマン』(フジテレビほか)が、番組初の全国放送ゴールデンに進出。9月27日21時~23時10分の土曜プレミアム枠で放送される予定だ。「全力で、汗をかく!」を合言葉にメンバーがさまざまなロケに挑戦するこの番組。今回のゴールデンスペシャルでは、伊勢神宮を目指しながら途中でメンバーがリタイアしていく脱落旅「東海道中!脱落旅」が企画された。timeleszの奮闘の姿が放送されることになる。

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 4月から放送がスタートしてから約5カ月、timeleszの8人と番組『タイムレスマン』はどのように成長し、どのような未来を今見せているのだろうか。総合演出を手掛ける当麻晋三氏が得た実感とメンバーそれぞれの強み、そしてゴールデンスペシャルの見所まで話してくれた。(編集部)

14時間収録のゴールデン放送、スタッフが感じたtimeleszのあり方「8人で完全体」

――今年4月に始まって5カ月で、土曜プレミアム枠、初のゴールデン帯での放送になります。今回のスペシャル回の内容はどのように決まっていったのでしょうか?

当麻晋三(以下、当麻):そもそも『タイムレスマン』はあえて“企画企画”したものをやる番組にはしておらず、特番が決まった時点では、水の入ったペットボトルを投げて、回して、立てるというオリジナル競技の“立道”(たてどう)など、いろんな要素が少しずつできあがっていった頃だったんですね。2時間の特番を作るうえで、強いヒット企画がないなか、どういうことがやれるのかを考えた時に、どこか旅に出るというのは視聴者のみなさんも観たくなるのかなと思ったんです。この番組のへんてこな男子校のノリが8人には似合うので、普通に旅に出るのではなく、誰かが目的地に行けない、“脱落旅”というのはどうかと。『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ系)のノリですよね(笑)。脱落していくんだったら、(ご利益があるような)ありがたいところがいいと考え、目的地は伊勢神宮に決めました。脱落者を決める競技も急ピッチで新しく作ったりしながら準備していき、旅に出ることも本人たちにはギリギリに伝えました。「西のほうに行く」ということはなんとなく打ち合わせで事前に伝えてはいましたが、伊勢に行くことは当日に佐野(瑞樹)アナウンサーが発表しています。

 一日の収録スケジュールには「朝○時オープニング、夜○時終了」ということと、台本には「ゴールデンです。おめでとうございます。今日も楽しく頑張りましょう」とだけ書かれていて。彼らが知らないほうがいいリアクションができると思って、あえてそうしているのですが、(佐藤)勝利さんは早朝に楽屋入りされた時に、すごく不安そうな顔をしていて。「楽しいから、大丈夫ですよ!」とだけ伝えました。ゴールデンで何をやるかは当日まで何も言わなかったので、そういう意味では彼らは受け身なんですけど、仕組みを理解した瞬間にエンジンがかかってくるんですよ。その場で言われて瞬発的にやるほうが面白くなるメンバーが多いと思ってるんです。事前に伝えても逆にリアクションを考えすぎて鈍っちゃうことがあったりするので、彼らの素を大事に考えています。勝利さんの「何をやるかは事前に知っておきたい」という気持ちももちろんわかるんですけど(笑)。かたや、猪俣(周杜)さんは「OKです、OKです」という感じで。キャラがいろいろで面白いです(笑)。

――今回の放送の見どころ、ロケでのエピソードを教えてください。

当麻:「やっぱり脱落したか!」というのも当然ありますし、「この人が落ちたか~!」というのもあります。旅は分刻みで移動しているので、あるメンバーなどは寝癖が直せていないままロケをしていたりするので、ファンの方には楽しんでいただけるシーンかなと思います。あとは、ゴールデンなのでお金がかかってます。新幹線を一車両貸し切ったり、クルーザーやリムジンに乗ったり、今まで“立道”などの競技はリハーサル室のような狭いところでやることも多かったので、「これがゴールデンか!」とみんなびっくりしています。ワーッ!と喜んだ直後に脱落を知る落差が面白いのと、朝の情報番組『スイッチ!』(東海テレビ)の生放送にサプライズ出演したり、あとは(橋本)将生さんがずっと吠えてます(笑)。

――脱落していったメンバーのなかで印象的なコメントはありましたか?

当麻:当日は14時間くらい収録していたので、スペシャルには全然入り切ってないんですよ。その後の放送にいっぱいこぼれていくと思うのですが、脱落した人は「自分がいなくて大丈夫かな~」というムードでやって、残った人たちは最初「あいつがいなくなったら落ち着くな」「快適だな」「あいつがいないから広くなったな」と軽口を叩いているんですけど、(次第に)「あいつ、大丈夫かな」とか寂しい空気を出し始めるんですよ。それがかわいらしく、微笑ましく見ていました。8人で完全体なんだな、と。

――レギュラーの放送も踏まえたうえでの新メンバー5人の印象や成長したと思う部分を教えてください。

当麻:将生さんにはいちばんびっくりしました。彼が消極的なのか、斜に構えているのか、ともすればバラエティにやる気がないのか、(最初は)ちょっとわかりかねる部分があったんです。番組初期にやった“反省会”は最初の取っ掛かりとして、大きく変わった回で。もう様子を見てるような暇はないという、(菊池)風磨さんが全力でやるんだということを常々背中で見せてくれているので、どんどん変わっていきましたよね。9月9日に放送した芸人の永野さんを相手に“覚醒”している将生さんの姿はぜひ見てほしいです。もう最初の彼とは、似ても似つかないところまで行き着いているので、僕らも楽しくなっていろいろと仕向けたりしてるところもあるんですけど、これどこまでいけるんだろうと思う人ですね。原(嘉孝)さんは、あのまんまです。でも、実はいちばん気にしいで、裏ではセンシティブで。面白いですね。明るい原さんが好きなので、みんなが迷ったらワッと行く、『タイムレスマン』のザキヤマさん(アンタッチャブル・山崎弘也)みたいなイメージでやってほしいと、裏では話していたりします。火が点いたら勢い付く人なのですが、「どうするのが正解かな?」と今手探りのなかにいるのが原さんかなと思います。

――(笑)。

当麻:篠塚(大輝)さんは最初、編集をしないと気づかないボリュームで的確にツッコんでいたんです。そのことにディレクター陣が気づいて、セリフフォローのテロップを入れていくことでだんだんと打ち解けてきたのか、今は完全に自信を持ってビシッとツッコミを入れてくれるようになりました。現場では風磨さんに次いで面白いコメントを言うのは、篠塚さんですよね。やる気もあって貪欲ですし、MCも落ち着いていて上手いですし、末恐ろしいですね。猪俣さんとは、ふたりきりでしっかりとした打ち合わせをしたことはありません。猪俣さんは、次元を超えてると思っています。初回の放送の時に、嘘の企画用の打ち合わせを一度したんですよ。その時の受け答えで、もうこのままでいいなと思いました。天才です。僕らが「こうしてくれ」とか言うのがおこがましいというか、彼は彼のままがいちばん面白いと思うので。普段、何を考えているのかいちばんわからないです。でも、どんな時でもホームランを打ってくれるので。

 寺西さんは、まだちょっと掴めきれてないですね。バラエティに対して前向きなんですけど、どうしたら面白くなるのかを探っている最中というか。『タイムレスマン』のポスタービジュアルを唯一イヤがったんですよ。男前なのに料理がかっこよく仕上がらないとか、振り幅があって面白いんですけど、僕からするとどうしたらいちばんいいのか、手探りな部分もあるんです。とにかくかっこいいことをやってもらえればいいのかな、という。逆の結果が出た時に自然と面白くなるので。すごく考えながらもっと面白くしたいということに対して貪欲で、嬉しく思います。

「木梨憲武さんの現場以来かも(笑)」――timeleszが生み出す自然体の面白さ

――佐藤勝利さん、菊池風磨さん、松島聡さんの3人についてはいかがですか?

当麻:勝利さんは、お笑いが好きなんですよね。普段はお兄ちゃんのようにメンバーを見守っていたり、茶々を入れたりしているんですけど、企画によって自分がいきなりスポットライトを浴びた時の反射神経がすごいです。キャリアもあるので、しょんぼりしたり、ブチギレ返したり、いろんな方法でその場の正解を出す勝利さんはすごいと思いますね。松島さんは、周杜さん寄りの天才肌かなと思っています。爆発力がすごいというか。初回のMCをクジで決めた時の松島さんがすごく面白くて、あれですべて始まった感じがしていて、何事も松島さんから始まると勢いが付くイメージがあります。英語でロケをする企画(アーユーハングリーマン)の時も松島さんが引っ張ってくれたり、『タイムレスマン』に欠かせないキーマンなのかな、と。ちなみに、ゴールデンが放送される日の『相葉◎×部』(フジテレビほか)に“前哨戦”として松島さんに出てもらって、頑張ってくれています。

 風磨さんは、もう覚悟が別格ですよね。初めて会った時も、「何でも教えてください!」と言われて、スターなのにすごいなと思いましたけど、今も常にそのまんまのスタンスなんです。ボケたり、ツッコんだり、回したり、ひとりで何でもやって場を盛り上げる、とてつもないプロ意識を感じます。初めてのロケで腹筋運動を8人で合計450回達成できるかという企画を撮った時、途中で「達成は難しいかな」という空気になって……「減らそうか」という提案もしたのですが、風磨さんが「減らさない」と言ってくれて。時間はかかったんですけど残りの141回を彼ひとりでやり切って、度肝を抜かれました。ほかの7人もそうだし、僕ももちろん、現場のスタッフも、もっとギアを入れなきゃ風磨さんに置いていかれるという感覚になった。その感覚は今も番組には漂っています。『タイムレスマン』は、スタッフもまだ少人数なんですけど、ここまでみんな頑張っているのは全部風磨さんに魂を見せられたからかなと思います。僕も学ばせてもらっていますね。

――演出する立場から見て、timeleszのグループとしての魅力はどういったところにあると感じていますか?

当麻:男子校の休み時間みたいな8人なんですよ。収録中も、休憩時間も、取材を受けてる時もずっとあの感じ。最初に会った瞬間から僕も大好きになっちゃって。かっこいいんですけど、かっこつけてないんですよね。

――作るよりも素を出してあげたほうがいいんですかね。

当麻:今のところはそれがいちばんいいんじゃないかなと思ってやっています。いろんな彼らの面が出るのが番組としては面白いと思ってるので、いろいろと試してはいるんですけど、とりあえず芝居の企画(名作ドラマ長ゼリフマン)はもう二度とやりたくないと風磨さんには言われました(笑)。またやる時は必ず説得したいと思いますが、8人がはしゃいでいるのが楽しいんでしょうね。初めてやる企画の時は大盛り上がりするんです。そこから2回目、3回目以降になると「あれね!」という大人の顔になってやってるんですよ。新しい遊ぶ場所を提供してみんなで「なんだ! これ、なんだ!」と新鮮にやっていくのが、彼らのよさが輝くのかなとは思っています。

 何かをやるたびに企画替わりでスターが出るんです。毎回将生さんで笑ってるわけじゃないんですよね。「今日は寺西さんがめちゃくちゃ言われてたな」とか「勝利さんがしょんぼりしてたのも面白かったな」とか。日替わりでスターが出てくる番組というのは、なかなかないんじゃないかなと思います。勝手にスターが生まれていく空気感が好きですね。高校生の休み時間って、そんなだった気がするんです。“立道”も当初はFODのプレミアム限定コンテンツとして、ファンの人が喜んでくれればいいかなと思い、演出ゼロの状態で彼らがキャッキャ楽しむだけの場を用意したら、それがとんでもなく跳ねて、地上波でオンエアされることになったんです。勝手にはしゃいでたら、めちゃくちゃ面白いという。これはすごいことなのかな、と。ほかの番組のディレクターからしたら「楽をしている」と思われるかもしれないんですけど、そんなつもりはなくて。こっちが何もしてないのにどんどん面白くなるのは、木梨憲武さんの現場以来かもしれません(笑)。

――今回、ゴールデン帯での放送となるわけですが、『タイムレスマン』が番組として目指すところはどこですか?

当麻:今回の放送がもし好評であれば、また『タイムレスマン』をゴールデンでチャレンジしたいですし、テレビである以上いろんな方に観ていただきたいと思って作っています。みんなの意識はそこにあるので、そのために頑張ろうと始めていますし、今回のゴールデンが決まった時も大喜びしていました。個人的には今自由にキャッキャやってる深夜が好きだったりするのですが(笑)、この成長の時間も楽しみながら。一人ひとりのバラエティ能力も初期とは比べ物にならないくらい面白くなってきてると思うので、こういうことが続けば彼らが普通にいろんなタレントさんと肩を並べたり、本当にゴールデンも夢じゃないのかなと。彼らのポテンシャルはすごいので、あとは我々が頑張って企画を考えて、ゴールデンを目指したいなと思っています。

(文・取材=渡辺彰浩)