まさに『チームを勝たせられる』活躍ぶりの廣井。写真:安藤隆人

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 好調を維持する名門・筑波大で、重要なゴールを連発している男がいる。

 3年生MF廣井蘭人は、帝京長岡高時代からサッカーセンスに溢れ、1年時には選手権ベスト4入りの原動力に。正確な足もとの技術と豊富なアイデアを駆使して、中盤で空間を支配していくゲームメーカーとして注目されていた。

 筑波大に進学してからもU-18、U-19日本代表に選出され、フェイエノールトの練習に参加するなど、大学屈指のMFとなっている。だが、昨年9月以降は年代別日本代表から遠ざかっており、少し伸び悩んでいる時期もあった。

 しかし、今年の廣井は一味も二味も違う。右サイドハーフでボールをキープして起点を作ったり、中に絞ってFWやボランチと関わってゲームメイクをしたりと、これまで通りのプレーを見せる一方で、チャンスになると点が取れるポジションにスッと入り込んで冷静に決め切るという、まさに『チームを勝たせられる』パフォーマンスを見せている。

 5月10日の天皇杯茨城県予選決勝で、チームを本大会に導くゴールを挙げると、25日の1回戦・RB大宮アルディージャ戦(1−0)では値千金の決勝弾をヘッドで沈めた。
 
 そして、2回戦のV・ファーレン長崎戦を3日後に控えた6月8日、関東大学サッカーリーグ1部の第11節・明治大戦(2−0)では、開始5分にDF小川遼也からのパスに抜け出して先制弾を叩き込んだ。このゴールは、結果として明治大の2023年11月19日から続いていたリーグ戦無敗記録を途切らせる一撃となった。

 試合後、廣井はそのことを知ると、「本当ですか? そんな歴史的なゴールだったのですか? それはめちゃくちゃ嬉しいです」と屈託のない笑顔を見せた。

「調子が良いというより、意識の変化と、何より周りの選手たちのクオリティのおかげだと思っています。たとえば大宮戦のゴールは、ウッチー(内野航太郎)の動きで相手ディフェンダーやゴール―キーパーを引き付けてくれたからこそ、僕が空いたスペースに入ってヘッドすることができた。

 ウッチーの存在感が凄まじすぎて、相手の目線がそっちに行くので僕がフリーになれています。他も(徳永)涼や矢田(龍之介)、清水(大翔)などが僕の動きを見てくれて、良いパスをくれるおかげです」

 こう謙遜するが、それだけ廣井の動き出しの質が高いということであるし、周りの選手の動きや狙いを把握しているからこそ、連係がバッチリ取れているとも言える。

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 明治大の無敗を止めたゴールは、最終ラインのボール回しから、左CBの小川が受けた瞬間に相手の左CBの裏のスペースに走り出すと、そこに小川からのロングフィードが届く。GKも前に飛び出してきたなかで、廣井は冷静に頭で合わせてゴールに流し込んでみせた。

 このゴールに関しても、廣井は「事前のスカウティングで、戸田(伊吹)コーチから相手の左センターバックの背後を狙えと言われていたので、その指示通りに動いたら遼也から良いボールが来て、僕は合わせるだけでした」と口にしたが、自陣深くの位置からフィードが来ることを予測して、相手の視野から外れて走り出したタイミング、コースは完璧で、頭で合わせるのは相当な技術が必要なシーンだった。

 それをいとも簡単にやってのけた。ただ指示を受けていたからでは片付けられないハイクオリティなプレーだった。
 
「みんなのおかげで、僕はゴール前に入っていこうという感覚を昨年以上に持てている。次はいよいよ天皇杯のV・ファーレン長崎戦。応援しに来てくれる筑波大の仲間が70人くらいいると聞いているので、スタンドとピッチで一体となって勝利を掴み取りたい。自信を持って臆することなくゴール、アシスト、意外性のあるパスをどんどん狙っていきたい。必ず良い一日にします」

 輝きを放つワンダーボーイは、「準備はできています」と満を持して長崎の地に乗り込んでいく。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)