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戦後間もない頃の雰囲気を漂わせる内装

今回は2台のW111型メルセデス・ベンツを並べてみたが、筆者はV型8気筒エンジンを積んだ280 SE 3.5カブリオレより、直列6気筒の220 SEbカブリオレの方へ共感したくなる。半値近い、最近の取引価格を抜きにしても。

【画像】時代を超越した美貌 W111型カブリオレ 同時期のメルセデス・ベンツ 最新CLEとSLも 全111枚

前期固有の存在感の強いフロントグリルや、ウォルナットが用いられたダッシュボードにドアパネルなど、W111型として好きになる要素が多い。コラムシフト・レバーとアイボリーのステアリングホイールも、戦後間もない頃の素敵な雰囲気を漂わせる。


メルセデス・ベンツ280 SE 3.5カブリオレ(1969〜1971年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

V8エンジンの280 SE 3.5と異なり、220 SEbのサイドウインドウは手動のワインダー。ソフトトップは、どちらも手で開閉することになる。アメリカ市場向けの上級カブリオレでありながら、電動ではない。

2台とも、長く重いフレームレスドアは、滑らかに閉まる。ロングデッキのプロポーションがスポーティな、キャビンは居心地がいい。シートは肉厚で、クロームメッキは1960年代のドイツ車的といえる。荷室は広い。

ゆったりとした後席側にはソフトパッドが多く用いられ、安全性への配慮にも抜かりない。ソフトトップを閉めると、斜め後方の視界はほぼ得られないが。前方に広がるボンネットは、280 SE 3.5の方が大きなパワーを示すように肉付きがいい。

明らかに活発で運転しやすい280 SE 3.5

公道で流暢に走るのは、案の定280 SE 3.5カブリオレ。明らかに活発で、現代の交通の流れへ問題なくついていける。運転しやすく、追い越すこともできそうだ。

V8エンジンは、燃料ポンプの動作音を確かめながらキーを捻れば、即座にお目覚め。シフトレバーは軽く動かせ、1990年代のモデルのように、余裕のパワーで加速してみせる。180km/hくらいの速度で、アウトバーンを終日巡航することもできるだろう。


メルセデス・ベンツ280 SE 3.5カブリオレ(1969〜1971年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

反面、丁寧に運転すれば、燃費は7.1km/Lほど。普段使いできない数字ではない。

4速ATは、この280 SE 3.5で最もぎこちない部分。シフトダウンは、現代のモデルへ乗り慣れていると、不安になるほど唐突に行われる。キックダウンさせるには、アクセルペダルを想像以上に踏み込む必要もある。

ブレーキは力強い。ステアリングホイールは軽いものの、路面との設置感がある程度伝わる。殆どの状況で、優れた操縦性といっていい。低速のカーブでは、フロントノーズの動きにお釣りがあるものの、高速の緩いカーブでは、安定していて自信を抱ける。

過度に攻めると、スイングアクスルが支えるリアタイヤは乱れるだろう。優雅な見た目のとおり、大人しく流暢に走らせるのが正解。レザーの香りと豊かなトルクを味わいながら、粗野な振動が排除された、しなやかな乗り心地を謳歌するのが望ましい。

長時間の高回転運転が想定されたM127ユニット

そんな印象は、220 SEbカブリオレでも概ね当てはまる。速度域は低く、ノイズはやや大きく、同等のパフォーマンスを引き出すには少し気張る必要はある。ステアリングは僅かに軽い。乗り心地は同じくらいしなやかで、変速はよりマナーが優れる。

2195ccが発揮する最高出力は、121ps。車重が1408kgあるカブリオレには物足りなく思えるが、遅いわけではない。こちらも現代の交通へ問題なく交われ、100km/h以上での巡航もコンフォートゾーンにある。


メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961〜1965年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

シュツットガルト生まれのSOHC直列6気筒、M127ユニットは、ショートストロークで高回転域まで綺麗に回る。6000rpmで173km/hへ届くよう、ギア比は調整されている。長時間の高回転運転は、予め織り込み済みだ。

燃料噴射が実装され、冷間時でも始動は1発。タイミングを図ってガソリンを送り、周囲の温度にも配慮した、ツインインジェクション・ポンプも組まれている。

W111型の2ドアモデルで、最も多く生産されたのは220 SEbだった。クーペとコンバーチブルを合わせれば、1万6902台がラインオフしている。それにも納得できる、好バランスだといえる。

ポール・ブラック氏が描き出した美しい姿

1961年から1971年にかけて製造された、2ドアのW111型は、1972年にSLCクラスへ道を譲った。現在でも支持を集める理由の1つは、ポール・ブラック氏が描き出した、時代を超越した美しいスタイリングにあるだろう。

1969年から1971年に作られた、280 SE 3.5へコレクターの注目が集まることには理解できる。フラッグシップの2ドアモデルとして、2気筒多いエンジンが追加された後期型は、W111型で最も高性能でありつつ、落ち着いた威厳を放っている。


メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961〜1965年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

しかし、同等に享受できる開放感を踏まえると、直6エンジンの220 SEbの優れた価値は見過ごすことができない。前期固有の、ディティールにも惹かれる。

こちらも、広いガレージへ複数の愛車を収めるような人が選ぶ価格帯にはある。それでも美貌と技術、運転体験を総合的に俯瞰すれば、より魅力的な選択だと筆者は思う。

協力:SLショップ

2台のW111型カブリオレのスペック

メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961〜1965年/英国仕様)

英国価格:4414ポンド(新車時)/15万ポンド(約2925万円/現在)以下
生産数:1万6902台(クーペとカブリオレの合計)
全長:4883mm
全幅:1848mm
全高:1422mm
最高速度:173km/h
0-97km/h加速:12.4秒
燃費:6.4-9.2km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1408kg
パワートレイン:直列6気筒2195cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:121ps/5400rpm
最大トルク:18.2kg-m/5400rpm
ギアボックス:4速マニュアル/オートマティック(後輪駆動)

メルセデス・ベンツ280 SE 3.5カブリオレ(1969〜1971年/英国仕様)

英国価格:7249ポンド(新車時)/30万ポンド(約5850万円/現在)以下
生産数:4502台(クーペとカブリオレの合計)
全長:4883mm
全幅:1848mm
全高:1422mm
最高速度:201km/h
0-97km/h加速:9.4秒
燃費:5.0-10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1569kg
パワートレイン:V型8気筒3499cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:202ps/5800rpm
最大トルク:29.1kg-m/4000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/オートマティック(後輪駆動)