これは当社でも意識している部分です。例えば、クリーンルームで仕事をする人間を選ぶ際、優秀か、優秀でないかではなく、そういう性分の人間を選ぶようにしているんです。

 ─ どうやって見極めているんですか。

 庄野 選抜を担当している社員に、駐車場を見に行かせるんです。車を綺麗にしている社員をチェックして、その人間をクリーンルームの仕事に回していこうと。車を綺麗にしている人間は、そういう性分なんです。

 他にも、工場で宴会をした際に、乾杯した後、コップの下の雫を拭っている人間を全てメモしたこともありました。仕事はやはり適材適所だと思うんです。そういう性分でない人間を当てても、本人が苦労しますし、会社にとってもプラスにはなりません。適性を見抜いておけばお互いにプラスです。


トップダウンではなくボトムアップで

 ─ 庄野さんが07年に社長に就任してから、特に意識してきたことは何でしたか。

 庄野 本業で勝負すること、そして組織づくりです。特にトップダウンというより、ボトムアップをする組織を意識してきました。そして社員がアイデアを出して、それを利潤に変えるという循環をつくることを常に考えてきたんです。

 私自身は化学の専門家ではありません。アイデアは現場が持っていますから、それを出してもらうことができるような「場」をつくることが仕事だと考えています。

 もう1つ、我々はBtoBの会社ですから、お客様は企業です。そのお客様の課題を聞き取ることを意識してきました。ただ、これは簡単なようで難しい。

 ─ どういう点に難しさがありますか。

 庄野 我々の営業担当が勘違いしていて、6つの言葉しか使っていないケースがあったんです。「多い」、「少ない」、「高い」、「安い」、「早い」、「遅い」という言葉を言うのが営業だと思っているわけです。

 私はこういう営業担当に対しては「これは営業ではない。受発注係じゃないか」と伝えています。私自身、商社時代に営業をしていて、お客様が何に困っているか、課題を解決することが自分達の仕事なんだということを痛感したこともありました。極端な話、お客様の愚痴をお聞きするわけです。

 そして我々の技術、生産、営業の力で、その課題を解決するためのソリューションを考え、提案していくことが大事です。ですから私は、中興化成工業は「課題解決型企業」で行こうと決めました。そして、その課題を解決した後、商品を売るのではなく「責任」を売る姿勢をお客様に見せようということを社内に訴えたのです。

 ─ こうした仕事を担う人に必要な要素は何だと?

 庄野 入口は「親切」であることです。「この人を何とかしてあげたい」という思いの強い人間を選んで、営業を担当してもらいました。

 いくら頭がよくても、不親切だったり、上から目線の人間に、お客様は自分の課題、本音を話してはくれません。

 そうした親切心を持った営業が聞き取ってきた課題に対して、我々の社内に数多くいる「工夫好き」が解決方法を提示するという形になれば、いい循環になります。工夫好きは、無愛想な人間も多いですから営業はできないかもしれませんが、お客様のために解決方法を考える職人気質なんです。やはりそこは適材適所だと思います。


上司は部下のことを「よく見る」ことが大事

 ─ 昔は「愛社精神」などと言われましたが、近年は「エンゲージメント」(働きがい)などと言われます。社員と会社との関係を今、どう考えますか。