“リアル”南葛SCを軸にした信頼関係があってこそ。『キャプテン翼』の新感覚ゲームはどのようにして生まれたか?――特別鼎談・前編

写真拡大 (全5枚)

 南葛SCのGMにして株式会社TSUBASAの代表取締役である岩本義弘。KLab株式会社の取締役にして株式会社BLOCKSMITH&Co.の取締役/Creative Directorである藤好俊。そして株式会社フィナンシェの代表取締役CEOにして株式会社Thirdverseの代表取締役CEOでもある國光宏尚。

 この三者が、新たなゲームを立ち上げた。業界も専門も異なる彼らを結びつけたのが、南葛SCだ。未来のJリーグ入りを目指すサッカークラブの存在があったからこそ生まれた新たな形。その内容を鼎談形式でお届けする。

――◆――◆――

 南葛SCのパートナーであるKLab株式会社には、世界的大ヒットスマホアプリ『キャプテン翼〜たたかえドリームチーム〜』を運用しているゲーム技術と経験がある。そして南葛SCのクラブトークンを発行している株式会社フィナンシェは、ブロックチェーン技術に関して先行している。そして今回、KLab株式会社の子会社である株式会社BLOCKSMITH&Co.と、株式会社フィナンシェ同様、國光氏が代表を務める、株式会社Thirdverseが共同開発し、南葛SCの象徴でもある『キャプテン翼』がかけ合わさって新たに生まれたのが、1月12日から始まる新感覚ブロックチェーンゲーム『キャプテン翼 -RIVALS-』だ。

岩本 今回のようなNFTを駆使した新しい形のゲームの提案は、じつはたくさん話をいただいていました。ありがたいことですが、『キャプテン翼』という作品を扱う以上、失敗はできないわけです。しかも暗号資産を扱う以上、簡単にはできないし、やめられない。だから怖かったですし、すごい慎重だったんです。

國光 その中で、我々の座組でできたらいいですね、という話になっていきました。株式会社フィナンシェで展開しているサービスでは南葛SCのトークンを発行していましたし、藤好さんとは以前から仲良くさせていただいていましたから。それぞれの領分がうまく交わった感じでした。

藤好 結果、ブロックチェーンゲームとしては類を見ない、『キャプテン翼』という有名な作品のゲームができました。

岩本 今回のゲームの成り立ちに関して、南葛SCの存在は大きいですね。KLabさんにはずっと南葛SCのパートナーになっていただきつつ、『キャプテン翼』のゲームも継続して運用していただいているという絶大な信頼があります。フィナンシェさんにも、南葛SCのトークンを発行していただいた実績と信頼があります。

國光 ブロックチェーンを含めたWeb3の理解は、世間一般ではまだまだ広がっていません。でも南葛SCでトークンを発行したことで、岩本さんを含めチームに知見が蓄積された。それも大きかったと思います。

岩本 南葛SCのオーナーであり『キャプテン翼』作者でもある高橋陽一先生が理解を示してくださったのも、普段から南葛SCを通じて関係値を積み重ねてきていたからこそです。
 
 専門用語を極力排して簡単にゲーム概要を伝えると、『キャプテン翼 -RIVALS-』はまず暗号資産を購入しキャラクターを手に入れる。そして最初はキャラクター同士の1対1の対決やミッションを勝つなどして得た報酬で育成していく。それを続けていき、ゆくゆくは自分だけの最強チームを作る。これまでのゲームと違うのは、手塩にかけて育てた自分のキャラクターを売買できること。さらに、貯まった報酬はキャラクター強化に充てるだけでなく、実際に換金することもできる。
(詳細はこちら→https://tsubasa-rivals.com/ja/

藤好 今までのゲームは、可処分時間の奪い合いという、自由な時間に遊ぶものでした。でも今回のゲームはその点で一線を画しています。まず、自分だけの『キャプテン翼』キャラクター(NFT)を育成してもらいます。最初は1対1のサッカー対決で勝負。勝てば報酬(トークン)が得られるのですが、その報酬を用いてさらにゲームでやれることを広げていく感じです。そして、自分だけのキャラクターが強くなればなるほど価値が高まっていくという。この「価値を上げる」という点が従来型とは異なります。

國光 今回はウェブゲームなので、アプリゲームとは違いダウンロードをする必要がない。スマホでもパソコンでも遊べます。作りも非常にシンプル。

藤好 たしかにゲーム自体はわかりやすいんですけど、初めてブロックチェーンゲームを遊ぶ方には暗号資産の購入は低くないハードルになります。

岩本 そこが一番の壁になると思うんです。南葛SCのトークンであれば、すぐに購入できますが、そうはいかないんですよね?「0から始めるブロックチェーンゲーム」みたいなやり方説明を繰り返し発信した方がいいですね。

 これまでのゲームと違い、ブロックチェーンゲームは暗号資産を介した新しい形のゲームになる。だからこそ挑戦するには絶対的な信頼関係が不可欠になるのだ。

岩本 それだったらアンバサダーである南葛SCがその役割を引き受けますよ。アンバサダーの対価はチームに対して払われるので、選手たちもみんなやる気になります。

國光 TwitterのSpaceやYouTube動画でやったらいいかもしれない。

藤好 南葛SCが教える『キャプテン翼 -RIVALS-』……いいですね。
 
岩本 「0から始めるブロックチェーンゲーム」を強調することでサッカーファンの関心も集めることができるかもしれません。そうしたら南葛SCの試合と連動した企画もしたいですよね。試合時の時にしかできないことだったり、南葛SC主催のゲーム大会をしたり。

藤好 例えば試合会場に来たらゲーム内のなにかしらプレゼントを入手できる、みたいなことは技術的に可能です。ただ、ゲームが目的でスタジアムに来る人が増えるかもしれないですよ。

岩本 でも、そういう人たちが南葛SCの試合を見てファンになってくれるかもしれない。今後Jリーグを目指すうえでより集客を増やさないといけないことも考えると、やっていきたいですね。

 話している間にも次々と議題が立ち上る。まるで会議にお邪魔したようだ。何より、思ったことを次々と議論する姿からは南葛SCで培われた信頼関係が見える。

藤好 『キャプテン翼 -RIVALS-』はサッカーというよりキャラクターに焦点を当てています。キャラクターを育成して戦い勝っていく。その満足感が得られることを中心にしているんです。

國光 そこは強調したいところです。今あるブロックチェーンゲームは、お金稼ぎが目的になってしまっている。

岩本 ゲームとして遊ぶのではなく、もはや作業になってしまっていると。

國光 そう。でも、ゲームの本質は楽しむことで。『キャプテン翼 -RIVALS-』は「play to earn」ではなく「play and earn」でありたい。ゲームを楽しんで、なんだったら報酬ももらえるという。我々が目指しているのはそこなんです。

 新感覚ブロックチェーンゲーム『キャプテン翼 -RIVALS-』は、ゲーム業界でも注目されているという。なぜ他に先駆け、今回このような新たな挑戦に踏み込めたのか。そのベースには南葛SCというサッカーチームがあった。単なるサッカーチームにとどまらない、その存在意義を、後編でさらに掘り下げていく。
※前編了。後編は1月5日(木)に公開予定です。

取材・文●伊藤 亮