4輪(クルマ)と2輪(オートバイ)どちらが速いのか?それは異種格闘技だった
4輪と2輪の速さ、そもそも比べるには無理が……
“4輪(クルマ)と2輪(オートバイ)どちらが速いのか”という今回のお題を記事制作スタッフから出された私は、とても悩んでいたことを告白することから書き始めます。
それらは根本的に別次元の乗り物であり、同じ土俵に立たせて比べられるものではないものだと考えているからです。
動きも乗り方も全く異なるクルマとバイクが、一般公道を一緒に走っていることは奇跡に近いものがあるとも思っています。
排気量や馬力などのイーブンコンディション下において競い合うことも無いので、異種格闘技戦にもならないのです。はっきり言ってしまうと、この問いは幼稚だと感じてしまっていたのです。
しかし私は2輪に関することも4輪に関することも題材として企画や撮影、執筆などを行い、生業としています。
45歳を迎えアラフィフに一歩足を踏み入れてしまった脳みそは固くなってきてしまっていますが、免許を取得する前のヤングやフレッシュなライダー、ドライバーなどならば、やはり2輪と4輪どっちが速いのかと素直に疑問に思う方もいることでしょう。
現在もクルマバイクを合わせて18輪生活を楽しんでおり、年間2万キロはゆうに走破する乗り物人生を送っている私は、「これは答えを出すしかない!」そう思い、じっくり咀嚼して考えることから始めてみました。
それぞれのコースレコードを比較してみた
■やっぱり最速タイムは4輪のほうが速い…?
サーキットを使ったレース競技では4輪と2輪が混走するものは基本的にありません。そこでそれぞれのコースレコードから見てみましょう。
4輪界最高峰のオンロードレースであるF1が開催される鈴鹿サーキットの場合、2019年10月13日にF1の予選においてセバスチャン・ベッテル選手が出した1分27秒064が最速、対して2輪では2019年11月2日に全日本JSB1000で高橋巧選手が記録した2分3秒592がレコードタイムです。
なんだ4輪の方が速いじゃないか、と思ってしまうかもしれませんが、それは早とちりかもしれません。実は2輪の走行では安全性を考慮しシケインが設けられており、コースの全長も異なっているのです。なのでコースレコードも同一のコンディション下の記録ではありません。
1/4マイル(約400m)を走り切るタイムを競うドラッグレースではどうでしょう。
4輪での最高峰クラスとなるトップフューエル・ドラッグスターでは3.623秒、2輪のトップフューエルハーレークラスでは6.021秒という記録が残っていますが、エンジンそのもののパフォーマンスが大幅に異なっており、一概に記録だけを同列で考えるのは難しいことです。
■両者の状況がほぼ同じのダカールラリーでは?
ならばクルマとバイクだけでなくトラックなども同時に出走するダカールラリーでのレコードを比較してみましょう。
ダカールラリー2022の結果では、クルマ部門ではナサール・アルアティヤ選手が38時間33秒03、バイク部門ではサム・サンダーランド選手が38時間47秒3という記録を残しており、多少クルマの方が速い結果となっています。
この記録は他のレースなどと比べて同一状況下のものとして考えてよいため「4輪と2輪の速さはほぼ同等」という見方もできるかもしれません。
こうして記録や数値だけをもとに比べてみると、4輪の方がやや有利な結果を収めているように見えます。
しかし、ここでもう一度考えてみてください。クルマもバイクも操っているのは人間です。4輪で結果を出した人が2輪で最速かというとそういうわけではありません。
ですから、「2輪と4輪でどちらが速いか」ではなく「2輪と4輪、どちらに乗るとより速いのか」という部分で比較をするべきでしょう。動きも乗り方も全く異なるクルマとバイク。操る人によって全く違う走りを見せるという点は、同じと言えるかもしれませんね。
