警察に対する放屁で約6万5000円の罰金を科されていた男が、その罰金刑を不服として裁判で「おならは表現の自由のもと基本的人権に該当する」と主張しました。裁判官はこの主張を却下し、おならが表現の自由で保護されないことを明言。一方で男は判決を不服とし上訴する意向です。

RIS - Rechtssätze und Entscheidungstext für VGW-031/049/13908/2020 - Landesverwaltungsgerichte (LVwG)

https://www.ris.bka.gv.at/JudikaturEntscheidung.wxe?Abfrage=Lvwg&Dokumentnummer=LVWGT_WI_20210211_VGW_031_049_13908_2020_00

Man Fined for Farting On Cop Argues Farts Are Protected Forms of Expression

https://www.vice.com/en/article/z3xb59/man-fined-for-farting-on-cop-argues-farts-are-protected-forms-of-expression

2020年6月、オーストリアのウィーンで22歳の男が警察に対しておならをしたことで500ユーロ(約6万5000円)の罰金を科されたことが報じられ、大きな話題となりました。

事件が起こったのは6月5日で、男が罰金を科された理由は「公共の品位を侵害したこと」というもの。ウィーン警察は男が挑発的かつ非協力的な態度だったこと、そしておならをしたのは偶然ではなく意図的だったことを説明。警察は、「警察を見てから明らかに意図的に大規模な放屁をしました」「我々の同僚は放屁されるのが好きではありません」とコメントしました。

罰金を科された男はこれを不服として提訴。実際に裁判が行われ、判決が下りました。

裁判文書において「ミスターAB」と記された男は公園で友人と話をしていたとのこと。公園の見回りを行っていた警察が本人確認のためミスターABに近づいたところ、ミスターABは座っていたベンチからお尻を上げ、体を緊張させて放屁。一緒にいた友人が放屁を笑いジョークを言ったあと、ミスターABは警察を見てニヤリと笑ったと、裁判文書には記されています。



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裁判においておならをした男は「おならをしたのは意図的ではなく、またたとえ意図的だったとしても、表現の自由によって保障される基本的人権に該当する行為」と主張しました。

しかし、裁判官は男の主張を却下。おならが表現の自由で守られるのか否かに関して、裁判官は「おならやげっぷは『社会的に不適切な行為』となることがある一方で、『コミュニケーションのコンテンツ』を含みません。たとえコミュニケーションのコンテンツを含んでいたとしても、『品位の境界』を踏み越える表現の形として考えることになります」と述べました。

おならは表現の自由として保障されないことが裁判官によって示されましたが、500ユーロの罰金は100ユーロ(約1万3000円)にまで減額されることになり、犯罪歴としても残らないことになったそうです。

ただし、男の弁護士であるMatej Zenz氏によると、男はこの判決を不服とし、上訴する意向ととのこと。「おならに対する罰金はささいなことであり、これは我々にとって『道徳的信条』の問題です」とZenz氏はコメントしました。