中日・根尾昂【写真:荒川祐史】

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「優先順位は1番上」今キャンプでは練習試合でアピール続ける

 プロ3年目のレギュラー奪取に向け、練習試合で猛アピールを続けている中日の根尾昂内野手。チーム事情や秘めたポテンシャルを考えると、外野の方が1軍への道は近いとの声もあるが、自身はあくまで遊撃での定位置を目指す。ともすれば頑なにも映る思いは、プロに入ってさらに増した追い求めるアイデンティティでもある。

「試合に出られるなら、どこでも」。1軍定着を目指す選手たちは、よくそう口にする。結果が求められる世界で、なりふり構っていられないのも当然。チームにとっても、複数ポジションをこなせる“ユーティリティ選手”は重宝される。ただ今の根尾に、“どこでも”という思いは見当たらない。

「できるならショートでやりたい。そこで試合に出たいというのが1番の思いなので。そのために今自分にできることをやっています。優先順位は1番上ですね」

 もちろん首脳陣から外野転向を命じられれば従うのみだが、チャンスをもらえている間はこだわりたい。「1軍のレギュラー」ではなく「遊撃のレギュラー」をピンポイントで狙いにいく。「そのためには、守備でもバッティングでもアピールしていかなければいけないのは分かっています」。春季キャンプでは、立浪和義臨時打撃コーチと「間合い」をテーマに振り続け、荒木雅博内野守備走塁コーチとは守備の基本動作を何百、何千と繰り返してきた。

 誰もが心待ちにする、最短距離でのブレーク。遠回りする可能性もあるのに、なぜそこまで遊撃にこだわるのか――。

倒すべき相手は名手・京田「近くに指折りのショートストップ」

「内野の1番上手い人がやるところですし、憧れがあります。単純にファーストに1番遠いポジションで、その分脚力や肩の力もいる。外野からのカットプレーもセカンドより優先的に入ることが多いですから。プレーによく関わるという意味でも、チームの大黒柱のような存在かなと」

 守備の屋台骨を支えるセンターライン。さらに遊撃手はカバーしなければいけない範囲も広く、内野の中心と言える。その分負担も大きいが、華のあるポジション。大阪桐蔭高時代から、投手との“二刀流”で担ってきた。その思いは、プロに入ってさらに強くなった。

「去年は(2軍で)たくさんセカンドや外野などをやらせてもらって、やっぱりショートがいいなと思いました」

 2020年のウエスタン・リーグでは、遊撃で37試合出場しただけでなく、二塁も37試合、三塁は10試合で、外野も4試合経験した。それぞれの場所から見える景色や役割も違い、チームにとっては欠かせないポジション。自らの中で“優劣”をつけるというより、遊撃の魅力を再発見したようだった。

「何より、1番近くにNPBでも指折りのショートストップがいますから」

 2017年からレギュラーを担う京田陽太は、リーグ屈指の名手の域に達しようとしている。その存在を誰よりも近くで感じ、壁の高さを感じるとともに意欲を掻き立てる。「首脳陣からも、ファンの皆さんからも、結果を求められていると思います」。その期待に応える場所は、今はひとつしか考えられない。(小西亮 / Ryo Konishi)