ビジャレアルでの活躍が期待されるMF久保建英【写真:Getty Images】

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かつてビジャレアルでプレーしたエジミウソン氏は、久保のスペイン1年目に“合格点”

 日本代表MF久保建英は来たる2020-21シーズン、レアル・マドリードからの期限付き移籍で“イエローサブマリン”ことビジャレアルでプレーする。

 ウナイ・エメリ新監督の下、スペイン代表FWパコ・アルカセル、コロンビア代表FWカルロス・バッカ、スペイン代表MFダニエル・パレホ、ナイジェリア代表MFサムエル・チュクウェゼら実力者が揃うリーガ・エスパニョーラの強豪でどのようなパフォーマンスを見せるのか期待は高まる。

 久保のビジャレアルでの可能性を探るべく、現役時代にリヨンやバルセロナ、現在MF香川真司が所属するサラゴサ、そしてビジャレアルでもプレーし、2002年の日韓ワールドカップではブラジル代表の一員として世界一にも輝いた元ブラジル代表DFエジミウソン氏を直撃。現在は日本からの投資によるサッカークラブ「FC SKA(スカ)ブラジル」の会長を務め、日本の若い選手や少年たちを積極的に受け入れるなど、スペインと日本の両国と関係の深い守備職人の“久保評”を訊いた。

 2019-20シーズンをマジョルカで過ごした久保は、リーグ戦35試合に出場して4得点4アシストを記録。クラブはリーグ19位に沈んで2部降格となったが、個人としては世界最高峰のスペイン挑戦1年目で堂々たる成績を残した。エジミウソン氏も「とても良くやっていたと思う」とパフォーマンスについて語る。

「久保はその才能を見せ始めることができていた。ただ、彼にとって厳しい状況だったのは、所属していたマヨルカ自体が難しい時を過ごしていたということ。何年も2部にいて、2年前には2部B(3部相当)にもいたチームだ。今季に関しては、投資できる予算も少なかった。久保がレベルの高いプレーを見せられたのは良かったけど、チームのレベルが低い中でプレーするのはすごく難しいんだ。そしてさらに、高いレベルの中に戻った時には、適応するのがまた難しくなる。とはいえ、良いシーズンにできたと思う。彼自身の持つレベルの高いサッカーを維持できていたからね」

小さな街であるビジャレアルの特性も追い風か「落ち着いて仕事に取り組める環境」

 バレンシア州にある人口5万人の小さな町に拠を構えながら、ビジャレアルは2005-06シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ、15-16シーズンにはUEFAヨーロッパリーグでともにベスト4に進出しており、欧州カップ戦の常連と言っても過言ではない。自身も2008年5月から約8カ月、ビジャレアルに所属していた経験を持つエジミウソン氏は、古巣の伝統や特徴についてこのように語る。

「ビジャレアルでは、フェルナンド・ロッチ会長がクラブを大きく成長させた歴史があるんだ。彼がクラブの施設や組織などの基盤を整えたし、長期的なプランによってチーム作りを進めることを知っている。そういう会長がいるから、今も成長を続けているんだ。とはいえ、レアル・マドリードやバルセロナなどに比べたら、まだそれほど大きなプレッシャーがかかるクラブじゃない。ビューティフルゲームを好み、実際にチームはそれを実現してきた。今回、バレンシアの良い選手たちとも契約した。キャプテンだった(ダニエル・)パレホがその一人だ。クラブは選手補強にも長けているよね」

 また、エジミウソン氏はビジャレアルの地域性も久保にとってはプラスだと話す。

「ビジャレアルは小さな街なんだ。多くの選手はビジャレアルには住まずに、隣町のカステリョンや、僕が住んでいたベニカシムに住む。ベニカシムはクラブから車で30分のビーチの街だ。どこに住むにしても、適応しやすい穏やかな地域だ。大都市じゃなく、周辺はどこも小さな街だし、落ち着いて仕事に取り組める環境だと思うよ」

久保の才能を認めた上で、「即興でプレーしていい」とアドバイス

 エメリ新監督の下で新たな挑戦に臨む久保に対し、リーガ・エスパニョーラで計7年間戦ったエジミウソン氏は「もっと大胆になっていい」とエールを送る。

「久保に言いたいのは、彼が実際に持っているものを、すべて実戦に生かしてほしいということ。彼はとてつもない才能を持っていて、その片鱗をもう見せ始めているんだからね。臆病にならずに、彼がすべきプレーをすること。勇気を持つこと。もっと大胆になっていい。例えば、彼にはクリエイティビティーもある。予測不可能なプレーもできる。そういうアドリブを効かせるべき時は、どんどん即興でプレーしていいんだ。

 久保だけでなく、外国でプレーしたいと夢見ている、すべての若い選手や少年たちに通じることなんだけど、『自分を信じろ』と言いたい。日本人は時々、何かあったらすぐに自信をなくしてしまったり、そもそも自信が持てなかったりするところがある。信じていいんだよ。それが久保を含めたみんなへのメッセージだ。応援しているよ」

 日本サッカーにも精通するエジミウソン氏は、久保が秘める才能を伸ばし、さらに開花することを楽しみにしている様子だった。(藤原清美 / Kiyomi Fujiwara)