18日、クラブワールドカップ決勝を終え、ミックスゾーンに現れた鈴木優磨はそそくさと通り過ぎようとした。慌てて鹿島の広報担当者が止め、鈴木は大勢の記者たちと向き合った。

180センチ、68キロの恵まれた体格を活かし、今年はリーグ戦に31試合出場し8得点した20歳。ヘディングシュートが多いが、足下も柔らかく、本人も「どっち(足と頭)も出来るのが自分の売り」と自信を見せる。

強気な発言を繰り返すだけではなく、結果も出した。準々決勝では金崎夢生のゴールを演出したり、準決勝ではゴールを奪うと大好きなクリスティアーノ・ロナウドのガッツポーズを真似て雄叫びを上げたのだ。そして決勝では本家の前でポーズを披露し、ユニフォームを交換すると息巻いていた。

この日、鈴木が途中出場したのは88分。延長戦突入を睨み、いつもより遅い投入になったがそれでも全部で32分間プレーするチャンスはあった。その間に彼我の差を感じることは出来たはずだ。そして何より決定機も作ることが出来た。101分、FKに合わせた鈴木は誰よりも高く跳び、ヘディングでゴールを狙った。惜しくもボールはクロスバーを叩くことになったが、通用したと思ってもいいはずだ。

試合前日も鈴木は足早にゾーンを通り抜けた。だがその表情は力に満ち、ため込んでいるパワーをはき出したくないような様子だった。ところが、決勝後は声が小さく、しかも体は差し出されたマイクからどんどん遠ざかっていく。豪放磊落(らいらく)というそれまでのイメージは崩れた。

「質が高いですね。レベルが違うという気がしました」。鈴木の第一声は弱々しかった。ヘディングシュートについて聞かれるとやっと少し元気な声になったが、「決めたかったですね。決めたらまた違った展開になったと思うので、今の(自分の)課題だと思いますです」と反省の弁しか出ない。「まだまだですね。あのレベルを目指さなければいけないと思いましたし、違いを感じました」

自分に何が足りなかったかと聞かれると「すべての面です。メンタルから」と謙虚な答えが返ってきた。通じた部分を聞かれると「通じなかったというのが多かったです」とすっかり自信を砕かれたようだった。

それでも鈴木の前には揚々たる前途が待ち受けていそうだ。20歳にしてリーグ優勝、クラブワールドカップ決勝進出など、めったにできない経験を積んでいる。鼻息が荒いのは頼もしい証拠だし、積み上げた自信を打ち砕かれるのも、次のレベルアップのためには必要だろう。鈴木のブレイクは目の前なのだ。

鈴木にC・ロナウドとユニフォーム交換できたのか、という質問が飛んだ。鈴木はほんの少しうなずく。鈴木がミックスゾーンを去る際に、「ユニフォームがもらえたのに、あまりうれしそうじゃない」と聞かれると、振り返りながら静かに「負けましたから」という答えが返ってきた。

勝って本家のユニフォームを奪うという大胆な夢は叶わなかった。次は鈴木が「本家」になる旅が始まるはずだ。

【日本蹴球合同会社/森雅史】