めろちん 「踊ってみた」のカリスマが目指すは「誰にも真似できないダンスと音楽の世界」
およそ5年前。ニコニコ動画の人気カテゴリのひとつ「踊ってみた」に彗星のごとく現れ、いまなお絶大な支持を集めている踊り手のめろちん。一度はやめたダンスを再開し、ニコ動のカリスマにまでのぼりつめた経緯とは? 彼は何のために踊り続けるのか? ニコ動、そして「踊ってみた」の発展とともに歩みを進めてきた現在までとこれからについて、じっくりと話を聞いた。

撮影/平岩亨 ヘア&メーク/神林匠
取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

始まりはEXILEの『Choo Choo TRAIN』



――めろちんさんのルーツをたどるため、まずは子ども時代のお話から伺っていきます。どんなお子さんでしたか?

新しいもの好きなところはいまと一緒ですね。とにかく他人と同じことはイヤで、やんちゃでわがままな子どもでした。学校でも目立つ…いや、目立ちたいタイプで、委員長とかにもいつも立候補してました。



――ご兄弟はいらっしゃいますか?

姉が2人います。だから、女性になじみやすいというか…。高校で所属していたダンス部でも男子が数人だったのに対して女子は50人以上いました。そういう環境の中で、自然と女性らしさが身についたというか、僕が考える振付も女性的な要素はすごく強いなと思います。

――子どものころは何に熱中してましたか?

野球にサッカー、剣道、水泳。習い事では習字、ピアノ。あと、家がお茶の教室をやっていたのでお茶も少々。どれも広く浅く、中途半端なんですけどね。あとはゲームが大好き! そこからゲーム音楽も好きになりました。

――どんなゲームをやっていたんですか?

『ファイナルファンタジー』。あとは、発売時はリアルタイムじゃないんですけど、親の影響で『MOTHER 2』にハマりましたね。いままでに10回以上クリアしてると思います。当時はゲームやゲーム音楽を作る人になりたかったんです。



――ダンスを始めたのはいつ、どんなきっかけで?

中学生のころ『ミュージック・ステーション』(テレビ朝日系)のクリスマススペシャルでEXILEの『Choo Choo TRAIN』を見て、近所のダンススクールに通い始めました。ただ、それ以前から…たとえば小学校の運動会で踊ったりしていたころから、踊りに対する潜在的な欲求は持っていたと思います。

――いまではストリートダンスを習うのも珍しくないですが、当時はいかがでした?

スクールには同世代はいなくて、年上ばかりでした。90年代にZOOやTRF、MAXなどの影響でダンスを始めた人たちですね。当時はそういう年上の人たちとばかりつるんでました。

――通い始めたときはまったくの初心者? 一から習い始めたんですか?

そうです。ただ、当時は自分がヘタクソだって感覚がなかった。ひとつ新しいこと教えてもらうと「オレってスゲー!」と思う勘違いタイプだったので(苦笑)。怖いもの知らずでしたねぇ…。



――高校に進学してからはダンス部にも所属されたんですね。

はい。でも、だんだんと情熱が薄れてしまって…。大学に入ってからはダンスサークルではなく、ゲーム好きが高じてパソコン部に入ってました。当時はダンスを仕事にするなんて思ってもなかったし、飽きてしまって、なんとなくやめちゃったんです。

――そのまま、普通に就職活動をして、働き始めることになるだろうと?

実際、周囲よりはちょっと遅めでしたが就活も始めていました。正直、熱心だったかというとそうでもなくて、「やりたくないな…でも始めなきゃ」って感じでとりあえずはスーツを2着買ったんですよ。

――ちょうど最初の『ハッピーシンセサイザ』を投稿した時期ですね?

はい。1回だけ嫌々ながらも説明会に行って、その後、初めて投稿をしてみました。そうしたら思いがけず、あんなふうにワッと盛り上がって…結果的にその後、就活スーツにそでを通す機会はなかったんですが。

ゲーム音楽で踊っていた経験が『ハッピーシンセサイザ』につながった?



――そもそも、なぜ動画を投稿してみようと思ったんですか?

昔からニコ動は知ってたし、「踊ってみた」も見たことはありました。やめたとはいえ、自分もダンスをやっていたので、そこにアップされている動画を見て、負けたくないって気持ちがムクムクとわいてきて…自分ならもうちょっと上手くできるんじゃないか? って思ったんです。



――『ハッピーシンセサイザ』を選んだのはなぜですか?

素直にいい曲だな、踊ってみたい曲だなと思えたんですよね。それから、僕自身のダンサーとしての経歴も影響していると思います。

――といいますと?

ダンスを最初に始めたころは、どう練習していいかもわからず、テレビでEXILEが踊っているのを録画して、振付をマネして覚えたりしてたんですよ。楽曲も本来はヒップホップとか使うべきなんですけど、中学生だからそんなの持ってなくて…。

――代わりにどんな音楽を?

『MOTHER 2』のサントラとかを使ってたんです(笑)。そのころの経験もあって、ヒップホップに合わせて踊るんじゃなくて、違うことがやりたかった。そういう意味でも「踊ってみた」は自分にとってすごく面白い環境だったんです。

――記念すべき初投稿『ハッピーシンセサイザ』の動画はあっという間に火がつき、いまでは累計再生回数は250万回以上を誇っています。



街中にある自分の姿が映るガラスを鏡代わりにして、深夜に振付を作ったんです。マイリストへのお気に入り登録が100とか超えたらいいなぁくらいに思ってたんですが…。

――ユーザーの反応を気にするタイプですか?

すごく気にするタイプです(笑)。投稿後、こまめにコメントを確認してたんですが、見るたびに増えてて「ん?」「マジで?」という感じ。僕の振付を見て踊ってくれる人がいることが何より嬉しかったですね。