とてつもない強さを発揮したアンディ・リスティ。自らのチームを結成したことで戦術面が飛躍的に変化した(C)MMAPLANET

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23日(土・現地時間)、ニューヨーク州ニューヨークのMSGのザ・シアターで行われたGLORY12 NEW YORK、ライト級ワールド・チャンピオンシップ・トーナメントは2試合連続でKO勝ちを収めたアンディ・リスティが優勝し、賞金15万ドルを獲得した。

圧巻の優勝、今大会最大の衝撃は準決勝=ジョルジオ・ペトロシアン戦でいきなり訪れた。初回からペトロシアンの間合いを潰して、パンチを入れるリスティ。ペトロシアンも2Rに入ると、サイドに回りに右カウンターを打ち込むなど勝負を互角に戻す。勝負の3Rにリスティは初弾はフェイント、続いてペトロシアンのバックステップに合せて思い切りワンツーを打ち込み、間合いを潰していく。ペトロシアンも組んで投げを見せるが、リスティに気圧されたようにロープに詰まると、右を打ち抜かれて大の字に。そのまま10カウントを聞くこととなった。

実にキック界の帝王に6年11ヵ月振りの黒星、生涯初のKO負けを与えたリスティは、準決勝でダビド・キリアを判定で下したロビン・ヴァン・ロスマーレンと対戦。ペトロシアン戦と打って変わり、前蹴りで距離を作ってロスマーレンを攻略していく。ロスマーレンはガードを固め、相手の攻撃が止ると、パンチや蹴りを放つ。そんなロスマーレンがガードを解き、動き出したところでリスティはパンチを入れていく。アッパーや前蹴りで動きを止めて、一気にラッシュを掛けたリスティが初回からダウンを奪うと、2Rに入っても劣勢なロスマーレンは、自らヒザをつき血の塊をキャンバスに吐き出すシーンも。何とかローやパンチの応酬で逆襲に出ようとしたロスマーレンだったが、ヒザ蹴りでロープに詰まり左ストレートでマットに沈んだ。

ペトロシアン戦と決勝で、完全に戦い方を変えてきたリスティ。文句のつけようもない強さを見せつけ、キックボクシング70キロ世界最強の座についた。12月に日本大会を行うGLORY、今年は米国に活動拠点を置き、このニューヨーク大会もSPIKEでライブ中継された。MSGザ・シアターは4500人のファンで埋まり、観客席にはフロイド・メイウェザー、イベンダー・ホリフィールド、クリス・ワイドマンらの姿も見られた今大会。視聴者数如何だが、会場の雰囲気に限っては、華やかかつ豪快なKOも多く生まれ、古くて新しい観賞用スポーツ=キックボクシングの米国定着が、一歩進んだように感じられた。