就職活動中の女子大生を狙って行員の犯行が行われた

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   三菱東京UFJ銀行の行員が、「リクルーター」(採用担当者)を装い、同行の採用試験を受けた女子大生に無理やりキスをしたなどとして強制わいせつの疑いで逮捕されるという事件が起こった。何とかして採用してほしい就職活動中の学生の弱みに付け込んだ悪質な犯行だが、就活中のわいせつ行為やセクハラはめずらしくなく、女子大生にとって事態は深刻だ。

「リクルーター面接」と称してカラオケ店に誘い込む

   大阪府警曽根崎署は2007年5月19日、大阪府貝塚市二色、三菱東京UFJ銀行難波支社行員の白石真也容疑者(24)を、同行に就職活動中の女子大生に無理やりキスするなどしたとして、強制わいせつの疑いで逮捕した。

   調べによれば、白石容疑者は「リクルーター」を名乗り、女子大生にわいせつな行為をしようと企て、07年4月頃に「リクルーター面接」と称して大阪市北区にあるカラオケ店に女子大生を誘い込んで、同行の内定がもらえるなどと言った上、わいせつな行為に及んだという。

   三菱東京UFJ銀行広報部はJ-CASTニュースの取材に対し、若手社員は採用にあたって補助的な業務を行っているとしたうえで、「採用に当たってリクルーター面接などは行っていない」としている。つまり、白石容疑者が採用時に女子大生の連絡先を入手し、勝手に「リクルーター」を名乗って犯行に及んだと言えそうだ。にもかかわらず、ほかにもこうした手口による被害が同署に届けられており、白石容疑者に余罪があると見て捜査が進んでいるという報道もある。「リクルーター」の立場を偽り、さらにそれを利用した、悪質な犯行だ。

   この就職活動時の立場を利用しての悪質な犯行にネット上でも批判の声が上がる。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「mixi(ミクシィ)」でも就職活動経験者やリクルーター経験者から批判の声が上がっている。

「9年連続でリクルーターをやりましたが、少なくとも自分のチームではこんなことは絶対にありませんでした」
「内定もらいたいという学生の弱みに付け込んで、こんなわいせつ行為やるなんぞ絶対許せん。今、学生にとって企業からの電話はリクルーターや選考通過の連絡であれば嬉しいものであり、疑うことなんて全くない」

   しかし、就職活動時の女性を狙った犯行はあとを絶たない。過去にはこんな事件が報じられている。

個人的に食事やお酒に誘う、という例もある

   軽井沢で開かれた就職内定者への研修会で、参加した長野県内の私立大学4年の女子大生に、研修後の懇親会で抱きついたとして会社役員高瀬紀明容疑者を強制わいせつ容疑で逮捕。(07年1月18日毎日新聞、朝日新聞など)

   面接に来た女性(23)に採用をちらつかせて、カラオケボックスに連れ込みひざの上に座らせて胸に触るなどのわいせつ行為を行ったとして、人材派遣会社「アイ・アイ・ピー」社長、安田民雄容疑者を逮捕。(06年10月18日産経、東京新聞など)

   採用してもらいたい女性に対して立場を利用して悪質なセクシャルハラスメントにおよぶケースは結構あるようなのだ。セクシャルハラスメントなど企業法務に詳しい山田秀雄弁護士も就職活動時の「悪質なセクシャルハラスメント行為」について「めずらしいことではない」として、次のように語る。

「就職活動中のセクシャルハラスメントは極めて発生しやすい。たとえば、採用する人が既に決まっているのに、採用する気がない人を面接に呼んで、スリーサイズや性体験を聞く。答える側は、採ってもらいたいから答えざるを得ない、というケースも実際にあった。また、採る気がないのに履歴書の写真・携帯電話の番号をみて、『検討中だから』と言って、個人的に食事やお酒に誘う、という例もある。会社に入ってからのハラスメントもあるが、入る前のハラスメントも珍しくなく、小さい会社ならいくらでもある状態だ。いわば、入社してない状態での立場の強弱を利用してのハラスメントで、たちが悪い」