米国は核、イランは資金…関心事が大きく異なる「スイス談判」
米国とイランは21日(現地時間)、スイス・ビュルゲンシュトックで終戦了解覚書(MOU)締結後初めて対面した。17日に両国が終戦了解覚書(MOU)を締結してから4日後のことだ。
米交渉団を率いるJ・D・バンス副大統領は前日に米国を出発し、この日スイスに到着した。バンス副大統領は出発前、記者団に対し「2日ほど協議を行う予定だ」とし、「核問題とレバノン停戦問題で進展が得られることを期待している」と述べた。スティーブ・ウィトコフ中東担当特使やジャレッド・クシュナー元大統領上級顧問ら米交渉チームは先にスイス入りし、事前調整を進めた。
イラン側からは、モハマド・バーゲル・ガリバフ国会議長率いる代表団が20日夜にスイスに到着した。交渉団にはアッバス・アラグチ外相をはじめ、アブドルナセル・ヘンマティ・イラン中央銀行総裁、ハミド・ボルド石油次官兼イラン国営石油公社社長らが含まれた。この人選を通じて、イランが今回の会談を通じて経済制裁の解除と凍結資産の解放に重点を置いていることが分かる。会談が2日間続くとのバンス副大統領の発言とは異なり、イランは会談が1日の日程で行われると明らかにした。
交渉初日の21日午前には、仲介国であるパキスタンとカタールが米国、イランとそれぞれ個別会談を行い、午後には仲介国と米国、イランが全て参加する拡大会談が開かれた。イランの核プログラム廃棄と核物質の具体的な処理方法、ホルムズ海峡の航行安定性確保などが主要議題として協議されたと伝えられている。エスマイル・バガイ・イラン外務省報道官は21日、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に「本日の会議は、18日に合意された終戦了解覚書(MOU)条項の履行状況を点検するための場」とし、「特に第1条である『レバノンを含む全ての戦線における戦争終結』が履行されなければ、最終合意に向けた協議段階に入ることは不可能だ」と主張した。
双方は会談開始前から激しい神経戦を繰り広げた。イラン中央軍事本部は前日、イスラエルによるヒズボラ攻撃が終戦了解覚書(MOU)違反に当たるとして、「ホルムズ海峡を再び封鎖する」と宣言した。しかし、中東地域を管轄する米中央軍司令部はソーシャルメディアXで、「20日にホルムズ海峡を通過した商船の通航量は増加した」とし、この日だけで商船55隻が海峡を通過し、1700万バレルを超える原油が輸送されたと明らかにした。このため、初の対面協議を前に出されたイランの「ホルムズ海峡再封鎖」宣言は、実際の封鎖措置というよりも交渉主導権を握るための圧力カードとの見方が出ている。
トランプ大統領も協議を前に圧力の度合いを高めた。トランプ大統領は20日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「停戦期間である60日間、ホルムズ海峡では通行料は発生しない。その後も通行料はないだろう」と投稿した。ただし、「最終合意に至らなければ、米国が中東諸国の守護天使として提供したサービスの対価として、過去・現在・未来にわたり発生した費用を補填する目的で、米国が通行料を課すことになる」とも述べた。
トランプ大統領はまた同日、「ネタニヤフの揺らぐ再選の可能性、トランプがカードを握っている」と題する米オンラインメディアの記事をトゥルース・ソーシャルで共有した。米国の制止にもかかわらずヒズボラ空爆を続けるベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、支持を撤回する可能性を警告するメッセージとの解釈が出ている。それにもかかわらずイスラエルは、レバノン国内での軍事作戦を中断しないとの立場を崩していない。イスラエル・カッツ国防相は21日の声明で、「レバノン内の脅威を除去するためのイスラエル軍の作戦遂行にはいかなる制限もない」とし、「イスラエル軍はレバノン安全地帯から決して撤収しない」と強調した。
