路上での“客引き行為”が不良外国人にとって極めて重要な意味を持つ理由…「仲間たちと路上で色々な犯罪の計画をしたよ。日本は自由だね」
外国人犯罪の実態を理解する上で見落とされがちなのは、不良外国人の「思考法」と「行動様式」だろう。ある日本人が在留外国人に対して、異国の地で暮らす苦労を不憫に思ったとしても、それは当人の自由だ。真面目な外国人が相手なら、彼らに協力したり世話を焼いたりすることは、たとえ過剰なものであったとしても構わない。だが相手が不良外国人となると話は大きく違ってくる。【藤原良/作家・ノンフィクションライター】(全2回の第1回)
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日本人の“善意”は外国人に対する一方的な捉え方に根ざしている場合が多い。世話を焼かれた外国人が“善意”をどのように考え、どのように受け止め、どのように解釈しているのかという点について、日本人は全く考えが及んでいないことを知ってほしいのだ。

もちろん、筆者は「外国人に対して偏見を持て」と言いたいわけではない。ただ、外国人なかには、不良外国人という悪意ある存在が一定数いることを理解してもらいたいのだ。
実際、長年にわたって外国人犯罪を取材している記者は、「不良外国人の場合、内心では日本人を小馬鹿にし、見下している者がかなりいます」と指摘する。具体例を挙げよう。
【1】
何かあれば「日本語分かりません」で全てOK。さらに「差別」と言えば日本人はすぐに萎縮する。これを利用すれば、たやすくコントロールできる。
【2】
「日本語分かりません」と言っておきながら、なぜ「差別」という難しい日本語を知っているのか──こんな矛盾を突く日本人はまずいない。
【3】
それでも、さらに何か問題を指摘されたら、すぐに謝ると日本人は許してくれる。
こうした経験を積み重ねることで、不良外国人は「日本人はバカだ」と考える。何しろ一部の外国では「言葉が分かりません」と言った時点で、その人間は異国で暮らす準備が不足しており、社会適応能力が不足していると解釈されることも珍しくない。
お人好しの日本人
ところがわが国の場合、少なからぬ日本人は外国人から「日本語分かりません」と言われると、その真偽を確かめることなく素直に信じてしまう。費用を請求しても不思議ではない日本語のサポートが無償で行われるケースも目立つ。
外国人のことを何も知らず、安易に協力してしまう無知な日本人が多いにしても、相手が真面目な外国人であれば問題は起きない。だが相手が不良外国人だと、場合によっては犯罪や不法行為の手助けになる場合さえある。
こうした問題に気づいている日本人は稀だ。お人好しの日本人が不良外国人にも喜んで手助けを行う状況を、彼らは「本当にありがたい限り」と笑う。
不良外国人に対する日本人の善意が巡り巡って日本人の犯罪被害者を産んでいる状況を見て、彼らは「日本人はバカだ」と有頂天になり、日本人は犯罪行為の“畑の肥やし”と揶揄する。こうした現状を知れば、私たちの“安易な善意”に罪はないとはいえ、何らかの対策が必要だと考え直す日本人も増えるはずだ。
だが、ここで特筆しておかなければならないのは、不良外国人と聞くと「近年の政策により大量に入国している、技能実習生などの外国人労働者」を思い浮かべる日本人が多いことだ。
外国人客引きの実態
このイメージは事実に反している。もちろん人手不足に悩む日本に労働力として入国した外国人が、あっという間に犯罪者へ変貌した例もある。だが日本国内に一定期間定住してきた在留外国人で“不良化”した者も決して少なくないことを知ってほしい。
むしろ、こういった“定住外国人”のほうが日本人の特徴をよく把握しており、その分だけ日本人を騙すコツを熟知している。さらに彼らが本物の不良外国人になると、凶悪犯罪に手を染めることも珍しくない。
不良外国人の動向を見る上で重要な場所がある。夜の繁華街だ。外国人クラブや違法マッサージ店などで客引きのアルバイトを行う不良外国人は多い。
東京都の場合、客引きは迷惑防止条例違反として禁止されている。だが実際のところ、当局による注意や摘発は追いついていない。不良外国人の客引きたちが堂々と路上を占拠している絵面も珍しくない。
客引きを担当する不良外国人に対する報酬は日払いがほとんどだ。終電までの半日勤務だと日当は最低でも5000円。連れ込み客のノルマを大きく上回って達成し、テーブル売上なども加算されると、一晩で2万円以上を楽に稼げる日もある。
客引きネットワークの脅威
さらに客引きのアルバイトは不良外国人たちの交流の場になっている。ここを足がかりにして特殊詐欺のメンバーに加わったり、違法薬物を売買するコネクションの一員になったりすることも多い。
客引きで捕まったとしても都条例による罰金ぐらいで済む。強盗殺人事件が起きれば日本人の防犯意識は喚起されるが、客引き行為に対する問題意識は低いのが現状だ。
だが、客引き同士のネットワークにより多くの外国人犯罪グループが結成されており、外国人犯罪者の供給源となっている。不良外国人による客引きの現状を決して甘く見るべきではない。繁華街の路上で客引き行為を行う不良外国人を軽視するのは、特殊詐欺、違法薬物、強盗殺人の発生を容認することと同じなのだ。
以前、とある歓楽街で不良外国人の客引きたちからショバ代を獲ろうとした地元の暴力団員がいた。暴力団には彼らなりの勝手な言い分があり、自分たちの縄張りだと主張するエリアで客引き行為をするのなら、1人あたり一晩2000円のショバ代を払ってもらうのが“業界の習慣”となっていた。
不良外国人が死守したもの
繁華街に増殖した不良外国人の客引きに対し、暴力団員は当然のこととしてショバ代を要求した。すると瞬く間に不良外国人たちに包囲されて袋叩きにされ、この暴力団員は片耳をナイフで切り落とされてしまった。
その後、警察が捜査を開始。暴力団は事態の収拾を警察に一任し、不良外国人の数名だけでなく、片耳を切り落とされた暴力団員も逮捕された。
ここで考えなければならないことは暴力団のパワーダウンだけでなく、不良外国人グループの激しさである。1人あたり一晩2000円のショバ代を支払いたくないため、わざわざ彼らは組員の片耳を切り落としたのだろうか?
絶対にそれだけではないはずだ。地元の暴力団と揉めてでも彼らが守りたかったものとは一体、何なのだろうか?
彼らが守りたかったものは「カネを産む犯罪の源泉となる、不良外国人同士の交流の場」だ。交流の場を死守したかったということに尽きる。たかが客引きと軽く見ている空間が、不良外国人たちにとっては地元の暴力団と揉めてでも固守しなければならない重要なテリトリーだったのだ。
客引き歴は10年を超え、前科5犯の“ベテラン”不良外国人の男性は「仲間たちと路上で色々な犯罪の計画をしたよ。日本は自由だね」と言う。
住所不定の不良外国人
こうしたテリトリーに出没する不良外国人の中には、スマートフォンなどの通信機器を一切持っていない者も多い。なぜなら、外国人登録証とは異なる住居に引っ越したからだ。
つまり“逃亡”状態にあることから現住所を役所や入管に申し出ず、住所不定となっている。これではスマホなど通信機器の新規契約はできない。オーバーステイとなり不法就労で生活費を稼ぐ不良外国人もいる。
そんな不良外国人の溜まり場が、夜の歓楽街に生まれていると知れば、日本人の意識も少しは変わるのではないだろうか。真面目な外国人ではなく、不良外国人に大して何らかの思いやりから協力しようとする日本人は、もはや犯罪を助長し、幇助している共犯者と言われても仕方がないのかもしれない。
今、不良外国人が目をつけているのが失業手当の不正受給だという。第2回【不良外国人が注目する「失業手当の不正受給」…裏社会に詳しい作家が明かす「12カ月計画」で資金を膨らませて「カレー店」をオープンさせた不届き者】では、その知られざる実態について詳しくお伝えする──。
藤原良(ふじわら・りょう)
作家・ノンフィクションライター。週刊誌や月刊誌等で、マンガ原作やアウトロー記事を多数執筆。万物斉同の精神で取材や執筆にあたり、主にアウトロー分野のライターとして定評がある。著書に『山口組対山口組』、『M資金 欲望の地下資産』、『山口組東京進出第一号 「西」からひとりで来た男』、『闇バイトの歴史 「名前のない犯罪」の系譜』(以上、太田出版)など。
デイリー新潮編集部
