竹前美結容疑者(TikTokより)

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 FNNプライムオンラインは5月20日、「【独自】栃木強盗殺人 実行役の少年ら被害者の犬も殺したか 吠えられるのを警戒し侵入直後に 動物愛護法違反容疑でも追及へ」との記事を配信した。栃木県上三川町の住宅では14日、16歳の少年4人が1階の窓を割って侵入。室内にいた69歳の女性の胸などをめった刺しにして殺害した。4人は強盗殺人の容疑で逮捕されたが、栃木県警の捜査で侵入の直後に被害者女性の飼い犬も殺していたことが分かったという。(全2回の第1回)

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 県警は4人の少年が犬に吠えられるのを警戒して殺害したと見ており、動物愛護法違反の疑いでも追及する方針という。

竹前美結容疑者(TikTokより)

 FNNプライムオンラインの報道などでこの事実が知られると、Xでは少年たちを強く非難する投稿が殺到、極刑を求める声も少なくなかった。数例を引用するが、強烈な表現が目立ったため一部を書き替えた。

「犬も殺した少年たちの更生は不可能だと思うし、情状酌量の余地はない」

「指示役に脅されていたとの報道もあったが、被害者をめった刺しにして、犬を殺すなど脅迫されてもできるはずがない。お願いだから全員を極刑にしてほしい」

「飼い犬は紛れもなく家族の一員。人を殺したのと変わらない。犬が吠えることを計算に入れており、少年たちが冷静な精神状態で犯行に及んだのは明らかだろう。指示役の夫婦と合わせ、6人全員の極刑を求めたい」

 過激すぎる意見と受け止める向きもあるだろう。だが強盗殺人罪には極めて重い刑が科せられるのは紛れもない事実だ。刑法第240条によると強盗が人を殺した場合、「死刑または無期拘禁刑」の2つしかない。

 これに対して殺人罪は刑法第199条で「死刑、無期懲役、または5年以上の拘禁刑」と定められている。強盗殺人罪とは異なり、有期刑も規定されているのだ。

18歳と19歳は厳罰化

 では裁判で少年4人に極刑が言い渡される可能性はあるのだろうか。ここで彼らの年齢が16歳ということが大きな意味を持つ。

 少年法第51条は「罪を犯すとき18歳に満たない者」なら死刑相当の場合でも無期拘禁刑を科する、と定めている。さらに無期拘禁刑が相当の場合でも10年以上20年以下の拘禁刑に減刑できると定めている。

 元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏は「少年事件であっても凶悪な犯罪には厳罰を求める世論が高まったため、2022年4月に改正少年法が施行されました」と解説する。

「基本的に少年事件は家庭裁判所で審判が行われ、処分が決定されます。ところが改正された少年法では18歳と19歳の被疑者で、『死刑または無期もしくは短期1年以上の拘禁刑』に該当する罪の場合は原則として刑事裁判を開き、『特定少年』として20歳以上と同じ取り扱いにすることを決めました。つまり厳罰化を求めた世論を受け、凶悪な事件を犯した18歳と19歳の少年は大人と変わらない重い刑を科せるよう少年法を改正したとも言えるのです」

 今回の強盗殺人事件が凶悪犯罪であることは論を俟たない。世論が少年4人に厳罰を求めている最大の理由であるわけだが、若狭弁護士は「これ以上の少年犯罪における厳罰化を推し進めるのは、少なくとも現時点では難しいでしょう」と言う。

無期懲役の判決も

「例えば『特定少年』の範囲を16歳まで拡げることで、さらなる厳罰化を実施するという議論が政治や法曹の世界で活発になるかと言えば、その可能性は低いと考えています。改正少年法が施行された2022年4月には、民法も改正されて成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。そのため16歳や17歳は“大人の入口”と見なされることもあります。しかし、その一方で16歳や17歳の少年が犯した殺人事件の捜査内容や判決を見ますと、やはり精神的に脆弱であったり、判断能力が未熟だったりするケースが目立つのも事実なのです」

 少年法第51条が「死刑の緩和」を定めている以上、4人の少年に死刑が求刑されたり、死刑判決が下ったりする可能性はゼロだ。さらに裁判所が少年法の根本精神である「更生」を重視した場合は、無期拘禁刑ではなく有期拘禁刑の判決が下ったとしても不思議ではない。

 無期拘禁刑の判例が皆無というわけではない。2013年に吉祥寺で発生した強盗殺人事件では、当時17歳だったルーマニア国籍の少年と、18歳だった日本国籍の少年が逮捕され、2人とも無期懲役の判決が確定した。

 だが今回の事件には指示役が存在する。少年4人に強盗を行うよう命令したとして、栃木県警は横浜市港北区の無職・竹前海斗と妻である美結の両容疑者を強盗殺人容疑で逮捕している。

情状酌量の可能性

「捜査の結果、夫婦の指示に従わざるを得なかったという事実が明らかになれば、これは少年たちに対する情状酌量の対象になり得ます。他には少年たちの反省が考えられます。彼らが犯行に加担したことを心の底から悔やんでいると認められた場合、大人の被疑者が反省した場合よりも裁判所は重視するはずです。ただし警察や検察といった捜査機関には『引っ張り込みの危険』という戒めの言葉があります。共犯者がいる場合、被疑者は自分の罪を軽くしようと虚偽の供述を行い、相手に罪をなすりつけようとすることが多いので注意が必要だという意味です。県警や地検は少年たちの供述を鵜呑みにせず、具体的な裏付けがないか厳密な調べを積み重ね、真相解明を目指すはずです」(同・若狭弁護士)

 指示役の竹前海斗と美結の両容疑者も強盗殺人の容疑で逮捕された。では、彼ら夫婦にはどんな量刑が下るのだろうか。

 第2回【【栃木強盗殺人】実行犯ではない「指示役」夫婦に極刑は下せるか 「共謀共同正犯」が成立しても、減刑のカギを握る「さらなる指示役」の存在】では、若狭弁護士の徹底解説を詳しくお伝えする──。

デイリー新潮編集部