UTグループは、5月13日から5月15日にかけてインテックス大阪で開催された展示会「ネプコン ジャパン」に出展した。

会場ではブース展示に加え、「半導体テスト領域 国内回帰の潮流を捉えた新たな協業モデル」をテーマとしたセミナーを実施。

UTエイム執行役員の小泉純氏が登壇し、製造業や半導体業界で深刻化する人材不足の現状や、それに対する新たな協業のあり方について説明した。

ネプコン ジャパンに出展されたUTグループのブース

ネプコン ジャパン会場内で実施されたセミナー「半導体テスト領域 国内回帰の潮流を捉えた新たな協業モデル」の様子

「工場は作れても人がいない」半導体業界の現実

セミナー冒頭、小泉氏は製造業全体で深刻化している人材不足について説明した。

リクルートワークスの「未来予測2040」では、2040年には1100万人規模の労働供給量不足が発生すると予測されている。さらに直近では、2028年には労働力の需給が反転し、人材獲得競争がさらに激化するという。

リクルートワークスの「未来予測2040」をもとに、2040年に1100万人規模の労働供給不足が発生するとの予測が紹介された

小泉氏は、かつては広告投資を行えば人材を確保しやすい時代があったと振り返る。一方で現在は、単に就業人口が減少しているだけでなく、“働く人の仕事の探し方そのもの"が大きく変化しているという。

以前は、仕事探しの手段はハローワークや求人広告が中心だったが、現在はSNSや掲示板などを通じて、応募者自身がさまざまな情報を比較検討しながら仕事を選ぶ時代に変化している。

製造業を取り巻く採用環境の変化や、人材確保の難しさについて説明するUTエイム執行役員の小泉純氏

「人が減っていること」と、「働く側がさまざまな情報を比較しながら仕事を選ぶようになったこと」、この2つが重なった結果、採用の人気・不人気が極端に二極化しているという。特に製造業では、一般消費者向け製品を展開する知名度の高いメーカーと比べると、採用面で苦戦している。

また、そういった厳しい環境の中で採用ができたとしても、入社後の活躍に課題が出るケースや、現場側とのミスマッチ、早期離職などが発生し、採用コストを増やしても根本解決にならない負のスパイラルにつながっていると説明した。

採用単価の高騰や、採用後のミスマッチ増加、早期離職など、製造業の採用現場で起きている課題についても説明した

半導体投資拡大で深刻化するエンジニア不足

続いて小泉氏は、半導体業界が抱える固有の課題についても言及した。理系新卒の就職人気ランキングも紹介され、半導体業界が新卒採用に苦戦している現状にも触れた。

その一方で、半導体分野では政府主導による投資が拡大しており、2023年から2030年にかけて10兆円規模の投資目標が掲げられている。国内では工場建設が相次ぐ一方、それを支える人材不足が大きな課題となっているという。工場建設ラッシュが続く中、2030年以降には半導体エンジニアが数万人規模で不足するとの見通しも示された。

半導体分野では政府主導による投資が進む一方、2030年以降には半導体エンジニア不足が数万人規模に拡大する見通し

小泉氏は、「需要拡大に対して、人材供給が追いついていない。工場は作れても、人が追いつかないというのが、日本の製造業が直面している課題です」と指摘。

その上で「採用競争を続けるだけでは限界が来ています。人を囲い込む時代から、人を生かし合う時代への転換を考えていきたい」と語り、従来の人材活用のあり方を見直す必要性を訴えた。

「人を派遣する」から「人材をシェアする」へ、UTエイムが提案する新たな人材戦略

こうした課題に対し、UTエイムでは従来の「人を派遣すればいい」という人材サービスから脱却し、人材をシェアしながら工程を支援する新たな協業モデルを提案している。

UTエイムでは、従来の「1対1」の雇用・派遣モデルから、人材やスキルを共有する「1対N」の協業モデルへの転換を提案している

小泉氏は、これまでの日本企業では、各社が個別に人材を抱え込み、自社内で育成する考え方が中心だったと説明。今後は、固定化された雇用や組織への帰属にとらわれない働き方が広がり、「人を囲い込む」のではなく、人材やスキルをシェアしながら産業全体で活用していく考え方が必要だと語った。

背景には、働き方そのものの変化もある。小泉氏によると、近年は「雇用形態」を重視しない20代が増えているという。かつては「派遣社員より正社員」といった雇用へのこだわりが強かった一方、現在は「何の仕事をするか」を重視する傾向が高まっている。

こうした考え方のもと、UTエイムが支援領域として注力しているのが、半導体のテスト工程だ。テスト工程は「品質保証の最後の砦とも言われる重要領域」である一方で、設計や前工程と比べると、人員や設備投資が後回しになりやすい。

全体の工程の最後に位置付けられるため、そこだけにリソースを確保することが難しいという課題もある。

品質保証の最後の砦であるテスト工程について、人材不足と低投資によってボトルネックが常態化している

UTエイムではこのテスト工程を一括受託し、人材やスキルをシェアしながら業界全体のサポートをしていく考えだ。

そのための教育・研修の準備も整っており、東京・小平の育成センターを中心に、半導体人材育成拠点として全国5拠点を構えている。現在、このテスト工程領域では、約120人規模の体制を整えている。

最後に小泉氏は、「人材不足や、人材が育っていかないという日本の産業界全体の課題に対して、人材会社としてどんな役割を担っていくのかを考えている。人を送り込むという関係から、共に現場をつくる関係になっていきたい」と述べ、人材会社としての今後の展望を語った。

UTエイムでは、「人を送り込む」から「共に現場を創る」パートナーへの転換を掲げている