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近年、富裕層の間で増加している「母子留学」。幼少時から海外に暮らして英語力を身につけるのは、国内で英語を学ぶよりも高い成果を得られるケースが多いといえます。あるオーナー企業のファミリーは、わが子のためにタイの首都、バンコクで母子留学を敢行。すると、ビジネスのほうでも一定の成果が得られる可能性が見えてきました。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

教育にかける「お金・時間」と「リターンの大きさ」の関係を考えると、「英語」は勉強全般・スポーツ・音楽等と比べて、最も効率的な成果を出せる分野だと言えます。

もちろん、英語は日本国内でも学べますが、幼少時から海外に暮らし、英語で教育を受ける効果は非常に大きく、近年では、父親が日本に残って母子が海外に移住する「母子留学」や、一家で海外に移る「家族留学」も増えています。

富裕層の「母子留学」の実情を知るため、タイの首都、バンコクで母子留学をする小泉さん(仮名)にお話を聞くと、勉強だけでなく、家業においても可能性が見えてきたことがわかりました。

国内のインター幼稚園に通い、「英語の素地」を準備して臨む

OWL:小学校に上がるタイミングで、お子さんがバンコクのインターナショナルスクールに入学されたとのことですが、お子さんの英語教育は元々なさっていましたか?

小泉:うちの子は幼稚園もインターだったので、バンコクでインターナショナルスクールに入る前から英語には親しんでいました。ただ、最初からインターの幼稚園を選ぶつもりだったわけではありません。いわゆる「お受験」を目指す幼稚園に違和感があり、モンテッソーリ教育の幼稚園を選んだらインターになった…という感じです。

OWL:そこから、タイのインターに入るという決断に至った経緯は?

小泉:日本人同士の夫婦の家庭の場合、小学校から名門のインターナショナルスクールに入れるのは、相当な「狭き門」です。見学にも行きましたが、無理してまで入学させたいというイメージは湧きませんでした。それなら、海外のインターナショナルスクールに入れるのも手だな、と思い始めました。

「タイ」「母子留学」を選んだ理由

OWL:海外で学ぶ場合、いろいろな国が選択肢になると思います。また、一家での移住も、母子留学もあります。そうした中で「タイのインターナショナルスクール」への「母子留学」を選んだ理由はなんでしょう?

小泉:わが家は会社を経営していて、夫が社長です。そのため、一家そろっての海外移住は無理なので、母子留学しか選択肢がありませんでした。そのうえで、夫が行き来することを考えると、日本から比較的近い、タイ・マレーシア・シンガポールのどこかだろうと考えました。また、わが社は海外事業もあるのですが、会社の仕事でタイとは関わりがあったので、自然とタイが第一候補になりました。

OWL:タイにはインターナショナルスクールがたくさんありますが、どうやって学校を選びましたか?

小泉:幼稚園時代の夏休み、観光ついでに学校見学に行きました。そのうえで、いきなり大規模校だと子どもが委縮してしまうのではないかと思い、比較的小規模な学校を選びました。

バンコク市内のインターナショナルスクール、筆者撮影

日本人居住エリアにありながら、日本人が多すぎない小規模校

OWL:お子さんの通っているインターナショナルスクールは、どういった学校でしょうか?

小泉:まずは、少人数クラスという点が特徴です。1クラス12人で、先生が1人・ティーチングアシスタント(TA)2人です。

OWL:1学年の人数も少ないのでしょうか?

小泉:うちの子の学年の場合は5クラスなので、1学年約60人です。学年全体の人数が少ないわけではありません。ですから、少人数制のよさと、学年人数の活気の両方があると思います。

OWL:日本人の生徒が多いかどうかを気にする方も多いのですが、お子さんが通うインターナショナルスクールの場合はどうでしょう?

小泉:生徒の国籍は偏っておらず、どこの国の生徒が多いという印象はありません。いちばん多いのはタイ人で30〜40%です。日本人は10%くらいでしょうか。

OWL:日本人の教職員の方もいらっしゃいますか?

小泉:北米(アメリカ・カナダ)出身の方が20%くらいで、日本人はいないです。日本人居住エリアの真ん中にあるにもかかわらず、日本人の生徒がそれほど多くないのは、日本人の教職員がいないからかもしれません。

OWL:勉強の進め方は日本の学校とはかなり違いますか?

小泉:わが子はYear1(小学1年)ですが、日本的な詰め込み式の勉強ではありません。何らかのテーマを決めて、そのテーマについて深掘りしていく、いわゆる「アクティブラーニング」重視のスタイルです。

日本語と英語のバランスは? 将来の展望は?

OWL:お子さんは相当英語に慣れてきていると思いますが、英語と日本語のバランスはどうでしょうか?

小泉:家の中では日本語を使っていますし、そろそろ日本語で学ぶ塾にも通わせようと思っています。海外のインターナショナルスクールに通わせるとしても、英語しかできないと将来困ってしまいますから、日本語力を高めることは必須だと思います。

OWL:なるほど。

小泉:どの国に移住しようか検討していたとき、EUの永住権を取れるオランダにも興味を持ちました。ですが、欧米の文化・価値観の中に身を置く難しさがあると思い、移住先としてタイを選んだ経緯があります。バンコクなら、環境的にもなじみやすく、日本語教育もアクセスしやすいですから。

OWL:お子さんの将来をどのようにお考えですか?

小泉:今の学校は小学校だけなので、その先をどうするか検討中です。中学校からバンコクの別の学校に通わせるかもしれません。あるいは、日本のインターナショナルスクールに編入するか、中学受験の帰国生入試を目指すかですが、いまのところ、まだ決めていません。

バンコク市内の日本人が多く住むエリア内のコンドミニアム、筆者撮影

ビジネス面でのメリット

OWL:小泉さんは日本国内の非上場企業のオーナーファミリーの方ですが、「企業オーナーだからこそ」といえる事情は何かありましたか?

小泉:わが社はコンサルティング事業を営んでいますが、日本国内の事業だけでなく、海外事業も営んでいます。これまでは日本法人を起点に業務を行ってきましたが、私がタイに移住するのを機に、海外事業の法人を日本国外に設立し、その海外法人で海外事業を扱うようにしています。さらに、日本国内の仕事のうち、海外法人で扱うべき作業も海外法人で扱っていく方向です。それにより、会社全体の節税になるならありがたいことです。

OWL:今日は、ありがとうございました。

(2026年3月9日インタビュー)

小峰 孝史
OWL Investments
マネージングディレクター・弁護士