この記事をまとめると

■軽自動車は規格制約のなかで各メーカーが個性豊かなモデルを生み出してきた

■独自のレイアウトや機構で現在も高い評価を受けているものも多い

■現在は自社開発をやめたメーカーの独特モデルを紹介

軽自動車に宿った“メーカーの意地”

 ボディサイズと排気量に制限がある軽自動車は、その制限がある反面、税金などの維持費の面で優遇されていることはご存じのとおりで、近年では普通車に勝るとも劣らない装備を誇るモデルも多く、ファーストカーとして選ばれることも珍しくなくなってきている。

 とはいえ、基本的には日本専売のモデルということもあり、利益率がそこまで高くないこともあって、いまでは軽自動車の開発・生産から手を引いてOEM供給を受けて販売するメーカーも少なくない。そこで今回は、そんな過去に軽自動車を自社開発していたメーカーの車両から印象的なモデルをピックアップしてご紹介したい。

スバル・サンバー

 スバルといえば水平対向エンジンが知られるところだが、自社製品時代のスバルの軽といえば4気筒エンジンと4輪独立サスペンションがアイデンティティとなっていた。

 なかでも商用モデルとして誕生したサンバー(バン&トラック)は4気筒エンジンと4輪独立サスペンションだけでなく、初代から一貫してリヤエンジンのレイアウトを守り続けていたことでも知られている。

 リヤエンジンゆえに空荷でもリヤへのトラクションが掛かりやすく、4輪独立サスペンションは荒れた路面でも路面追従性が高いという美点があり、コレクターズアイテムとしても最終型の中古車は高騰しているのだ。

オートザム(マツダ)・キャロル

 現在はスズキからのOEMモデルのみを販売しているマツダだが、過去には自社生産のモデルやパワートレインのみスズキのものを使用してオリジナリティあふれるモデルをラインアップしていた。そんなオリジナルモデルのなかで、いまだにコアなファンが多いのが、当時のオートザムブランドから販売されていたキャロルだ。

 360cc時代から数えると2代目となるこのモデルは、1989年10月に発表されたもので、プラットフォームやパワートレインは当時のアルトのものを流用しながらも、内外装はマツダ独自のものとなっており、レトロな雰囲気が人気となっている。

 アルトワークスのようなツインカムターボモデルこそ存在しなかったが、ターボモデルやキャンバストップ仕様もラインアップされ、独自色を強めていた。

軽なのに四輪独立サス! ミドシップ!

スバル・ヴィヴィオ

 サンバーの項でスバルの軽の特徴として4気筒エンジンと4輪独立サスペンションを挙げたが、もうひとつ忘れてはいけないのが、スーパーチャージャーを搭載したモデルがラインアップされていたことだろう。

 スバル以外のメーカーは、軽自動車の過給機モデルとしてターボを選択していたが、1988年にレックスにスーパーチャージャーモデルを追加してからは、一貫してスーパーチャージャーを選択していた。

 そんなスーパーチャージャー搭載車のなかでもっともホットなモデルといえるのが、1992年から1998年まで販売されていたヴィヴィオに設定されていた「RX-R」だろう。このグレードは、スーパーチャージャーエンジンに5速MTのみを組み合わせたもので、2WDのほかフルタイム4WDも用意されており、1993年のサファリラリーではクラス優勝を果たしているのだ。

三菱 i

 最後はちょっとイレギュラーで、三菱自体はオリジナルの軽自動車を販売しているものの、日産との合弁会社で開発しているもので、完全に自社のみで開発しているのは長らくラインアップされ続けているミニキャブEVだけということで、特別に1台ご紹介したい。

 それが2006年から2013年まで生産していたi(アイ)で、4人乗りの5ドアハッチバックでありながら、エンジンをミッドシップに搭載するMRレイアウトを採用していたのだ。

 開発時点では、このMRプラットフォームをほかのさまざまな車種に転用する予定だったようだが、結局BEVモデルのi-MiEVとそのOEMモデル(プジョーとシトロエン)が登場したのみで、1世代で姿を消してしまったが、その凝った作りと軽自動車とは思えない走りの質感の高さはいまでも評価が高い1台なのだ。