築古マンションでも2億円超…都心不動産が高騰する裏で「富裕層」がさらに儲け続ける〈残酷な真実〉【不動産コンサルタントが解説】

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「失われた30年」が終わり、本格的なインフレ時代に突入した日本。都心では築古マンションが2億円で取引されるなど不動産価格が高騰し、購入できるのは富裕層や世帯年収3000万円超のパワーカップルに限られつつあります。本記事では、柳澤寿志子氏の著書『富裕層を魅了する 東京一等地不動産』(星野書房)より一部を抜粋・編集し、富裕層が急増している本当の理由と、広がる格差社会のリアルを解説します。

築古でも2億円…「一般人には買えない」都心不動産高騰の実態

都心では、中古マンションも株価に押し上げられる形で価格が上昇しています。物件によっては、1億円を超えるケースがすでに出ています。

新築マンションは、すでに1億円を超えるのが当たり前になっています。たとえば築古のマンションであっても、港区、渋谷区などでは70平米で2億円といった物件が見られるのです。

中古でも、もはや簡単には買えないほど、マンション価格は上がり続けています。

株価上昇によって含み資産が増えた富裕層やパワーカップル(夫婦ともに高収入を得ている共働き世帯)が、都内のマンションを実需、もしくは投機目的で購入しています。このような層の需要によって、都内のマンション価格は高騰し続けているのです。

世帯年収3000万円でギリギリ…不動産市場を牽引する「一握りの上流層」

たしかに不動産の流動化は進んでいますが、動いているのはアッパーマス層以上、とくに富裕層、さらにその上の超富裕層です。1億円以上、場合によっては5億円以上の資産を持つ方々の間で、不動産が動いているということです。

上流層の中で不動産の流動化が進んでいる、というのが現在の傾向なのです。以前は、サラリーマンが不動産を購入する際の目安は、年収のおよそ7倍と言われていました。つまり、年収1000万円であれば7000万円程度が目安だったのですが、昨今ではその基準で買うのが難しくなり、10倍程度まで出さなければ都心の不動産は手に入りません。

不動産そのものが高騰しているため、一般の人には手が届かなくなっています。世帯年収が3000万円ほどあるパワーカップルであれば、ようやく購入できるかどうか、という水準です。

株高を背景に殺到…地方・海外の富裕層が進める「都心物件への資産組み替え」

さまざまなデータを見ても、まだまだ不動産価格が上がっていることがわかります。株高を背景に、富裕層が物件を探している状況なのです。

中古マンションでも1年で38%上昇しているという数字もニュースになっていましたが、その背景として、株高を背景に地方の富裕層や海外居住の富裕層がセカンドハウスとして都心部に不動産を保有する傾向が強くなっていること、地方の経営者の方々が事業承継対策として都心の不動産を保有するケースも増えていることが挙げられます。

いま起きているのは、このような上流層における不動産への資産の組み替えです。この流れが、現在の不動産市場を形づくっていると言えるでしょう。

資産500倍の事例も…日本に「富裕層」が急増した本当の理由

実際のところ、数十年単位の超長期で株式や不動産を持ち続けてきた人は、大きく資産を増やしているはずです。たとえば日経平均株価で見ると、1950年から保有し続けていた株式は、現在およそ500倍になっています。

株価と不動産価格は連動すると言われているため、同じ1950年に1000万円で土地を購入していた場合、50億円ほどになっていても不思議ではありません。つまり、株式も不動産も長い時間軸で見れば、基本的には値上がりし続けてきたということです。

「富裕層が急激に増えている」背景には、マネタリーベースの増加があります。市場にあふれたお金が、割安と見られた日本株や不動産に流れ込み、結果として含み益が大きく膨らんだと考えていいでしょう。

株価や不動産価格は物価に連動しますが、ご存じの通り、日本ではここ数年インフレが進んでいます。

1億円の価値が「5500万円」に…インフレがもたらす残酷な資産の二極化

「富裕層や超富裕層が増え、アッパーマス層が減っている」という現象は、「インフレに強い株式や不動産を持っている人は、さらに富を増やし、現預金で持ち続けている人は相対的に貧しくなる」という構図のあらわれです。

なぜなら、現金のまま資産を持っていると、インフレによって価値が目減りしてしまうからです。

たとえば、年2%のインフレが続いた場合、現在1億円を現預金で保有している人が30年後に買えるモノやサービスの量は、現在の約5500万円分まで下がってしまいます。

「失われた30年」と呼ばれたデフレの時代が終わり、いまはインフレの時代に入っています。その結果、「持っている人はより裕福に、持っていない人はより貧しくなる」という二極化は、今後さらに激しくなっていくでしょう。

現在すでに富裕層であっても、決して油断はできません。時代の変化を敏感に察知し、行動し続けなければ、資産を守れない可能性もあるということです。

柳澤 寿志子

不動産コンサルタント