[4.21 ACLE準決勝 町田 1-0 シャバブ・アルアハリ ジッダ]

 ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)による超異例の判定介入に救われ、FC町田ゼルビアがAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)初出場にして初の決勝進出を果たした。試合後、フラッシュインタビューに対応したDF岡村大八は「VARに助けられたゲームだった」と率直に振り返った。

 物議を呼んだのは町田の1点リードで迎えた後半アディショナルタイム1分のシーン。町田の選手交代を巡る審判員の対応が大混乱を生んだ。

 町田は右ウイングバックのMF中村帆高に代わってMF望月ヘンリー海輝を投入する手続きを取っていたなか、対戦相手のシャバブ・アルアハリは再開を急ぐあまり、望月がピッチに入る前にスローインでリスタート。ショーン・エバンス主審もプレー再開を止めることはしないまま、相手は1人少ない状況だった町田の右サイドを攻め込み、MFギリェルミ・バラが強烈なミドルシュートを突き刺した。

 一度は同点ゴールが認められたかと思われたが、町田のベンチが交代手続きに関して猛抗議を行うなか、そこでVARが介入。エバンス主審がピッチ脇モニターでオンフィールド・レビューを行った結果、最終的に判定が覆り、ゴールの取り消しが決まった。選手交代中に行われたシャバブ・アルアハリのスローインが不適切だったことを映像で判断したとみられる。

 もっとも、審判員の笛を待たずに試合を再開したり、FKの再開方法・位置が間違っていたり、ファウルスローが行われたりという「不正なリスタート」においては、VARの導入開始以降、介入の対象外とするという原則が広く認識されている。VARはもともと「最小限の干渉で最大の利益を得る」という哲学に基づいて導入されており、リスタートにまでVARが目を配るのは「過介入」につながるという考えがあるからだ。

 したがって、こうしたリスタートに関する判定介入は世界的にも超異例の運用だ。その一方、こうした原則はサッカー競技規則に明記されているわけではなく、VAR運用初期に発表された審判員用のハンドブックを通じて広がったもの。したがって、現場の審判員が原則に反する判断をしたからと言って、ただちに「VARの運用ミス」と言い切れるものではないのも事実だ。

 とはいえ、結果的には町田が1-0のまま勝利したことで、敗れたシャバブ・アルアハリの選手・スタッフは試合後も審判員に激しく抗議を行っていおり、この件に関する議論が今後も紛糾することは間違いない。アジアサッカー連盟(AFC)は何らかの説明を迫られることになりそうだ。