北海道大学

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―[貧困東大生・布施川天馬]―

 突然ですが、みなさんは宝くじが当たったらどうしますか?
 豪遊する、投資に回す、借金を返す……妄想するのは自由で楽しいですよね。

 ですが、合理的に考えれば、宝くじほど「コスパの悪い」ものはありません。還元率を見れば、買った瞬間に半分近くの価値が消滅する「ほぼ必ず損をするギャンブル」であり、いわば「愚者の税金」とも言えます。

 しかし、もし仮に「コストがほぼゼロで、絶対に損をしない宝くじ」があったとしたら?

 いやいや、そんな都合のいい話があるわけない……そんな予想を裏切ったのが、先日発表された「北海道大学×JIG-SAW(ジグソー)奨学金」です。

北海道大学×JIG-SAW(ジグソー)奨学金とは

 概要は極めてシンプル。

「使途不問」「返済不要」の100万円が、抽選と選考を突破した4名に給付されます。応募にかかる時間はわずか1分程度。

 もちろん、貰いっぱなしではなく、「サイエンスフェスタ2026(仮称)」での登壇報告を含む、定期的な研究進捗の報告が義務付けられます。

 とはいえ、その程度の義務は、どの奨学金でも似たようなもの。

 特筆すべきは、応募資格が実質「現役北大生」と非常に緩いにもかかわらず、「応募者多数の場合は、抽選等で先行イベント参加者を決定」すると明記されていること。

 乱暴に言うなら「たった1分の応募で、100万円が手に入るかもしれないガチャ」。もはや、回さない選択肢はあり得ません。

「実質応募で100万円もらえるかもだなんて、すごい!」と感じられたでしょう。

 しかし、「すごい!」だけで思考停止してしまうと、この奇妙な奨学金制度の背後に隠された、重要なリスクを見落としかねません。「うまい話に隠された裏側」を推測します。

◆企業が「タダでカネを配る」意味

 世の中、お金を稼ぐことが血を吐くほど大変なのは、大人なら誰しもが実感しているはず。

 日本一最低賃金が高い東京都ですら、たった1万円を稼ぐにしても朝から晩まで働かなければいけない。ましてや、100万円なんて……。

 資本主義において「100万円」は巨額。これほどのカネを掴むには、とてつもない労力と知恵が要求されます。

 だからこそ、冷静に逆算してみてください。利益を追求するマシーンであるはずの企業が、見ず知らずの学生に「タダでカネを配る」のはなぜか。

 それは、必ず払った金額以上の「価値」を見込んでいるからではないでしょうか?

 もっとも分かりやすいのは「広告」でしょう。

 100万円を4人に配って、合計400万円。これで「使途不問の100万円ガチャをやるヤバい企業があるぞ」と北大生やSNS界隈で話題になるなら安いもの。

 個人単位では大金ですが、企業の採用PRやブランディングの費用として見れば、400万円はむしろ破格レベルの安値なのです。

 実際に、Xでは連日「北大宝くじ」として話題が沸騰していますから、「JIG-SAW社の広告」としてみるなら大成功といえるでしょう。

 さらに、この「使途不問の100万円ガチャ」という座組みそのものが、JIG-SAWの掲げる「新たな挑戦」であり、「フロンティア精神」を強烈にアピールする材料になっています。

「うちは既存のレールに乗らない、こういう型破りなことを平気でやる会社だぞ」と言いふらすより、よっぽど自社のカルチャーを売り込める、極めて合理的なパフォーマンスです。

◆100万円の「限界」を知る者だけが勝つ

 企業側が型破りなスタンスを見せている以上、当然ながら学生側にも「型破りな何か」が期待されていると察するべき。

 ただ単に「100万円でハワイに行って豪遊します」なんて凡庸極まりない発想なんて、企業は求めていません。