「認知症の人に言ってはいけない5つの言葉」はご存知ですか?【医師解説】

認知症の人に言ってはいけない言葉とは?メディカルドック監修医が解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「認知症の人に言ってはいけない言葉」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 佳宏(医師)

・和クリニック 院長
・精神科/心療内科医
・精神保健指定医
「泣きたくなったら壁を押せ」著者
大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。
島根大学医学部卒業。その後、東京大学医学部附属病院精神神経科に入局、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

「認知症」とは?

認知症は、いったんは正常に発達した認知機能が徐々に低下し、社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。
日本でも高齢化の進展によって、認知症の人も増加しています。
そのため、認知症の人への接し方は、家族や介護者にとって重要な課題となっています。
しかし、無意識のうちにかける一言が、相手を傷つけたり不安を増幅させたりすることもあります。
この記事では、認知症の人に「言ってはいけない言葉」、やってはいけないこと、そしてやるべき対応について、医師の視点から詳しく解説します。

認知症の人に言ってはいけない言葉

ここでは、認知症の人に言ってはいけない言葉の例を挙げていきます。

「なんで覚えていないの?」

認知症の人は記憶力が低下しており、何度も同じことを聞くことがあります。このような言葉は相手に自責の念を抱かせ、精神的な負担となります。

「また間違えたの?」

間違いを指摘することで自信を失わせ、症状が悪化する可能性があります。間違いを責めるのではなく、優しく訂正したり、流したりする姿勢が求められます。

「もう何回も言ったでしょ!」

何度も同じ質問をされると苛立つこともありますが、繰り返しを否定することで相手を混乱させてしまいます。穏やかに答えることで安心感を与えましょう。

「自分で考えて」

認知症の人は判断力が低下しています。「考える」ことを強要すると、ストレスを与えてしまいます。選択肢を提示するなど、サポートが必要です。

「そんなこともわからないの?」

この言葉は、認知症の人に対して強い劣等感や恥ずかしさを与える可能性があります。記憶や理解力が低下していることは本人も自覚している場合が多く、「わからない自分」を責めるきっかけになりかねません。代わりに「一緒にやってみよう」「大丈夫、一緒に思い出そう」と声をかけ、安心感を与えることが大切です。

「認知症の人に言ってはいけない言葉」についてよくある質問

ここまで認知症の人に言ってはいけない言葉などを紹介しました。ここでは「認知症の人に言ってはいけない言葉」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

認知症の進行を悪化させる言葉・言動について教えてください。

前田 佳宏(医師)

認知症の人に「また忘れたの?」「何度言えばわかるの?」といった言葉をかけると、本人は責められたように感じ、自信を失うことがあります。たとえ同じことを繰り返し聞かれても、「大丈夫だよ」「一緒にやろうね」と優しく対応することが大切です。
また、繰り返しの話に対して無視をしたり、冷たい態度をとったりすると、「迷惑をかけている」と感じさせてしまいます。話を最後まで聞き、「そうだね」と共感するだけで安心感を与えられます。
「早くして」や「自分で考えて」と急かすことも避けましょう。焦ることで混乱し、さらに時間がかかることがあるため、「ゆっくりでいいよ」と声をかけてあげてください。
間違いを指摘したり、「それは違うよ」と強く否定したりすることも認知症の人を不安にさせます。「そうだったね」と話を合わせ、本人の気持ちを尊重しましょう。
「年だから仕方ないね」「子どもみたいだね」といった言葉もプライドを傷つけます。「頑張っているね」「助かるよ」と感謝の言葉を伝えることで、安心感を持ってもらうことができます。
認知症の人には、否定するのではなく共感と思いやりを持って接することが、脳神経へのストレスを軽減し、進行を遅らせるために大切とされています。

認知症の方が喜ぶことについて教えてください。

前田 佳宏(医師)

認知症の方が喜ぶのは、安心感や懐かしさを感じる時間です。家族や友人と一緒に過ごすこと、昔好きだった音楽を聴く、思い出の写真を見ることなどが効果的です。また、簡単な家事や趣味を一緒に行うことで「役に立っている」という自信が持てます。本人のペースを大切にし、「できること」に目を向けることが大切です。

編集部まとめ

認知症は誰でもなる可能性がある疾患です。
認知症の方に対しても、敬意を持って接することが大切です。
避けた方が良い言葉を知ることは、認知症の人と良好なコミュニケーションをとる助けとなるでしょう。
今回の記事が参考になれば幸いです。

「認知症」と関連する病気

「認知症」と関連する病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

アルツハイマー病

レビー小体型認知症

前頭側頭葉変性症

大脳皮質基底核変性症

進行性核上性麻痺

脳血管障害

脳炎

エイズ脳症

プリオン病脳腫瘍

神経ベーチェット病

多発性硬化症

正常圧水頭症

内分泌科の病気

甲状腺機能低下症副甲状腺機能亢進症

一般内科の病気

アルコール中毒

ビタミンB12欠乏症

認知症をきたす病気にはさまざまなものがあります。おかしいなと思った際には放置せずに、脳神経内科や脳神経外科を受診するようにしましょう。

「認知症」と関連する症状

「認知症」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

物忘れ(健忘)

せん妄

うつ病

失語症

注意障害

行動障害

幻覚・妄想

社会的行動の変化

判断力の低下

認知症になると、認知機能の低下の他にも、このような症状が現れることがあります。

参考文献

知っておきたい認知症の基本(政府広報オンライン)