【永田 雅乙】15年前に「山岡家株を10万円分買っていたら」今ごろ1400万円に…なぜラーメンチェーンが「エヌビディア超えの株価急騰」を記録したのか
ラーメン界のNVIDIA(エヌビディア)――そんな言葉を聞いたことはないだろうか。
近年、市場関係者がこぞって、その動向に熱い視線をおくるラーメンチェーンがある。「ガツンと来て、クセになる。」というキャッチコピー通り、豚骨を炊き上げる中毒性抜群な濃厚なスープで人気を博す「ラーメン山岡家」だ。
なぜ「山岡家」が、業界のまったく異なる半導体最大手・エヌビディアと比較されるのか。それは同チェーンを運営する株式会社丸千代山岡家の“株価”が、驚きの値動きを示しているからだ。
この5年で「エヌビディアより株価高騰」
周知の通り、米エヌビディアは、AI技術の発展に伴う超高速半導体需要の拡大を受けて、急速に企業価値を高めている企業だ。創業こそ1993年にさかのぼるが、約10年前、2015年頃までは同社の株価は1株32セントほどに過ぎなかった。
ところが、2016年頃からじわじわと成長を続け、いつしかAI分野において圧倒的な地位を築くようになると株価は急騰。2024年にはマイクロソフト社を抜いて時価総額世界一となり、今も株価は180〜190ドル台で推移している。つまり、たった15年で約600倍に化けた計算だ。
だが、〈直近5年間の株価変動率〉で言えば、「山岡家」はエヌビディアをも凌駕していることをご存じだろうか。
エヌビディアはこの5年で、株価はプラス172.8ドル、上昇率は1086.3%となっている(4月10日時点、以下同)。株式投資の世界では、「テンバガー(=買い値から株価が10倍になる)」銘柄すら憧れの的となっている。まして、エヌビディアのように100倍にまで成長する銘柄はごくまれだ。
では気になる「山岡家」はどうだろうか。エヌビディアと同期間で、株価はプラス3298.7円、上昇率は驚異の“1396.3%”。つまり数字上では、エヌビディアの約1.2倍、株価が高騰していると言えるのだ。
ちなみに、「山岡家」を運営する株式会社丸千代山岡家が、東証スタンダード(旧ジャスダック)に上場を果たしたのは2006年2月。その後、2008年頃には1株28円という安値をつけている。それが今年の年初来高値は4010円(2月27日)を記録したことから、仮に当時、「山岡家」株を10万円でも買っていれば、今頃約1400万円(!)という大金になっていた計算だ。
なぜいま「ロードサイド」が元気なのか
それでは、なぜ「山岡家」の株価はこれほどまでに高騰しているのか。ひとえに同社の業績が、株価の推移と同じくらい急成長を遂げていることに起因する。
株式会社丸千代山岡家が3月16日に発表した2026年1月通期の決算を見れば、その“力強さ”は一目瞭然。売上高430億円、営業利益46億7800万円、そして純利益が36億8800万円と過去最高を更新。また、すべての指標で前期比20%超えの伸びを見せるなど、高い成長力を維持する様子もうかがえる結果となった。
今回の「山岡家」の好業績に関して、専門家はどう評価しているのか。フードビジネスコンサルタントの永田雅乙氏が解説する。
「『山岡家』に限らず、ラーメンチェーンで業績が伸びている店舗には明確な共通点があります。丸源ラーメン、来来亭、ラーメン魁力屋……これらはいずれも“ロードサイドの大型店舗中心”という立地特性を持っています。
都市部のラーメン店というのは、どうしても事前にその店を目指して訪れる目的来店が主になっています。そのため専門性が求められるため、普遍性で勝負するチェーン店には分が悪い。一方、ロードサイドでは“生活インフラ”としての食事の場にこそ需要があります。
その点、『山岡家』はカウンターだけでなく、ボックス席も多数あり、ファミリーやグループでの利用もしやすい。何より他チェーンにはない『24時間営業』という特徴があり、ロードサイドで無類の集客力を誇っているのでしょう」
「賛否両論分かれる」ことが求められる時代
「山岡家」の集客力の高さは、実際に店を訪れてみればよくわかる。ラーメンチェーンながら、昼夜問わず行列ができることもザラだ。実際、4月3日に四国初進出となる「ラーメン山岡家 高松中央インター店」がオープンした際には、客席数55席とかなりの大箱ながら、開店前に200人以上の行列、昼前には入店まで約2時間待ちとなったという。
もうひとつ、「山岡家」には他のロードサイド中心のラーメンチェーンにはない強みがある。それが“コアなファン”の存在だ。前出の永田氏が続ける。
「2026年1月期の既存店売上高は前期比19.1%増、来店客数は前期比15.8%増と堅実に伸びており、これは同チェーンのリピーターの多さを示しています。
元々24時間営業ということで、深夜や早朝に来店する若者やトラックドライバーなどに根強い人気がありました。また、セントラルキッチンを使っていないことで各店の味に個性が出たり、オーダーがカスタマイズできるなど、マニア心をくすぐる要素もあります。
そうした土壌にくわえて、私としてはあえて“人を選ぶような濃い味に振り切っている”ことが、集客につながっていると考えています。SNS時代の飲食店においては『万人受けする』より、『賛否両論分かれる』ほうが、結果的に差別化となって成功するケースが多々あります。『山岡家』も振り切る覚悟があったからこそ、いまの急成長につながっているのでしょう」
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